恋せよまやかし天使ども

恋せよまやかし天使ども』(こいせよ まやかしてんしども)は、卯月ココによる日本漫画作品。

恋せよまやかし天使ども
ジャンル 少女漫画恋愛漫画学園漫画
漫画
作者 卯月ココ
出版社 講談社
掲載誌 デザート
レーベル KCデザート
発表号 2023年6月号 - 連載中
発表期間 2023年4月24日[1] - 連載中
巻数 既刊2巻(2024年2月13日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

本作は、表の顔は学園中から注目される「完璧美少女」と「完璧美男子」でありながら、表の顔からは想像もつかない裏の顔を共有するふたりの恋模様をコメディタッチで描く少女漫画である[2][3][4]。作者の卯月ココによると、もともと裏表のギャップがあるキャラクターが好みなので、キャラクター像を練っていると些細なギャップがどうしても生じてしまうため、思い切ってギャップそのものをメインとした作品にしようと思ったのが、本作執筆のきっかけである[3]。2023年4月、月刊漫画雑誌デザート』にて掲載が開始され[1]、同年9月、単行本化された。

本作は、X(旧Twitter)に第1話が投稿されるとすぐに脚光を浴びて19.5万「いいね」を獲得し[3][4][5]アマゾンのカスタマーレビューでは、満点評価である星5.0のうち星4.9という驚異的な高評価を得た[3]。読者からは「私の心も撃ち抜かれました」「ニヤケがとまらない」「まさかの展開」などの感想が寄せられており、多くの注目を集める話題作となった[2][4][5]。また、本作は業界からも注目されており、2023年(令和5年)12月発表の宝島社このマンガがすごい! 2024 オンナ編」ではランキング第18位[6]、2024年2月発表の日本出版販売全国書店員が選んだおすすめコミック」のスピンオフ企画「出版社コミック担当が選んだおすすめコミック2024」では第4位となった[7]

あらすじ 編集

「学園のマドンナ」「心撃の天使」として学園中の注目を浴びる「完璧美少女」桂おとぎは、美貌だけではなく、その性格や振る舞いで、一目を置かれる存在。しかし、その姿は、幼少の頃から周囲の期待に合わせて作り上げた表の顔であり、淑やかな外見からは想像もできない「男前」な裏の顔があった。そんなおとぎにとって、同じクラスの美男子で優等生な一刻は気になる存在だったが、あまりに完璧に過ぎる一刻の外面に自分と同じ裏の顔があると疑い、こっそり一刻の観察を開始。しかし、観察を一週間続けたものの、一刻の様子は常に変わらず、相変わらずの「完璧美男子」ぶりであった。一刻を疑ったことを心の中で謝罪したおとぎだが、その後、駅でのトラブルで自分の裏の顔が一刻に知られてしまい、同時に一刻の裏の顔を知ってしまうという予想外の展開に直面するのであった。

登場人物 編集

主要人物 編集

桂 おとぎ(かつら おとぎ)
主人公。1年A組委員長。自他共に認める「完璧美少女」。
容姿端麗、品行方正、淑やかな振る舞いで学園の注目を集める「学園のマドンナ」であるが、それは、幼少の頃から周囲の期待に応え作り上げてきた表の顔であった。その裏の顔は、ぶっちゃけキャラであり、喧嘩上等で男前な性格をしているが、幼馴染の桃井紅以外には隠し通してきた。
目を合わせただけで相手の心を撃ち抜くほどの魅力から「心撃(しんげき)の天使(エンジェル)」と呼ばれているが、本人は「ダサい」ので嫌がっている。
ナルシストであり、「完璧美少女」の自分にふさわしい初恋相手として、「完璧美男子」の刻に目を付けていた。しかし、駅でのトラブルをきっかけに自分の裏の顔を刻に知られ、同時に刻の裏の顔を知ることになり、振り回されていく。
刻と交流し、裏の顔で接するようになってからは、刻を「いっこく」と呼んでいる。もともと「いっこく」は、「一刻」の正しい読み方がわからなかったおとぎが付けた、内心のニックネームだった。
一 刻(にのまえ とき)
1年A組副委員長。長身長髪の美男子。
外見だけではなく成績優秀、態度や言葉遣いも丁寧で人気がある「完璧美男子」だが、それは、おとぎと同じように作り上げてきた表の顔であり、実際には、裏の顔を隠していた。
おとぎは、一刻の裏の顔を「ブラックいっこく」と呼んでいる。

その他 編集

桃井 紅(ももい べに)
おとぎの幼馴染。おとぎからは「紅(べに)ちゃん」と呼ばれている。
おとぎが裏の顔で気楽に話すことができる唯一の相手。
白羽 弦(しらはね げん)
刻の年上の幼馴染。刻から「弦兄」(げんにい)と呼ばれ、慕われている。
両親の喫茶店の運営を任されている。
鳳 ネネ(おおとり ネネ)
おとぎや刻と同じクラスの男子生徒。刻になついている。
隣のクラスの鳳ノノは、ネネの双子の弟。
鳳 ノノ(おおとり ノノ)
鳳ネネの双子の弟。おとぎたちの隣のクラス。

評価 編集

マンガライターのたけのこは、『このマンガがすごい! 2024』のレビューにおいて、周囲の視線を計算しつつ、努力して理想の自分を創り上げるヒロインは、これまでも多くの少女漫画に登場しているが、その中でも本作主人公のおとぎは「トップクラス」と述べるとともに[8]、おとぎの表向きの姿について、幼い頃から周囲が自分に求める姿を自覚し「無理することなく自発的に理想像を演じてきたゆえに、演技する表向きの姿もいつわることのない彼女自身」と指摘し、そのような主人公を据えた本作を「とても現代的」と評した[8]。また、相手役の一刻についても表裏のギャップの魅力に言及し、表向きは優しく成績優秀な「完璧美男子」が荒々しい素顔を自分にだけ不意に向けてくるのだから、主人公ならずとも「そのギャップの虜になること必至だ」と述べている[8]

その他 編集

書誌情報 編集

  • 卯月ココ 『恋せよまやかし天使ども』 講談社〈KCデザート〉、既刊2巻(2024年2月13日現在)
    1. 2023年9月13日発行(同日発売[11])、ISBN 978-4-06-532998-6
      • 漫画雑誌『デザート』2023年6月号-8月号初出。
      • EP・1「こちとらマドンナ」、EP・2「てごわいトキメキ」、EP・3「ざわめきロマンス」、EP・4「よろめきクギヅケ」の計4話を収録。この巻収録の各話タイトルは、平仮名4文字と片仮名4文字の組み合わせで統一されている。
    2. 2024年2月13日発行(同日発売[12])、ISBN 978-4-06-534640-2
      • 漫画雑誌『デザート』2023年11月号-2024年2月号初出。
      • EP・5「クラクラ」、EP・6「ドキドキ」、EP・7「キラキラ」、EP・8「グラグラ」の計4話を収録。この巻収録の各話タイトルは、片仮名4文字の擬声語で統一されている。

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b 自他ともに認める完璧な美男美女を巡る新連載「恋せよまやかし天使ども」デザートで”. コミックナタリー. ナターシャ (2023年4月24日). 2024年4月9日閲覧。
  2. ^ a b ほんのひきだし編集部 「完璧男女の“騙し合い”ラブコメ『恋せよまやかし天使ども』、「王様のブランチ」で紹介の『鏡の国』がランクイン|本屋で今検索されている本ランキング(2023年9月13日~9月19日)ほんのひきだし 2023年9月22日付、2024年2月28日閲覧.
  3. ^ a b c d 本性がバレた!?優しい笑顔と真逆のギャップもいい!ラストで心を撃ち抜かれる19.5万の胸キュン漫画【作者インタビュー】ウォーカープラス 2023年10月27日付、2024年2月28日閲覧.
  4. ^ a b c 【漫画】完璧美男子の弱点を探ったら? 予想以上の「裏の顔」に「だ、誰?」マグミクス 2023年11月14日付、2024年2月28日閲覧.
  5. ^ a b 美男美女が互いの“裏の顔”を知ってしまうも…なぜか胸キュン!話題の少女漫画「恋せよまやかし天使ども」作者を直撃ウォーカープラス 2024年1月25日付、2024年2月28日閲覧.
  6. ^ 『このマンガがすごい!』編集部 『このマンガがすごい! 2024宝島社 2023年、p.17.
  7. ^ 日本出版販売株式会社企画課 山田 「コミック編集者&販売担当が選ぶ「悔しいけど面白い他社の漫画」は? 「出版社コミック担当が選んだおすすめコミック2024」ほんのひきだし 2024年2月1日付、2024年2月28日閲覧.
  8. ^ a b c たけのこ 「自覚的に理想像を演じる令和のヒロイン像」 『このマンガがすごい!』編集部 『このマンガがすごい! 2024宝島社 2023年、p.86.
  9. ^ スピカワークス 「『恋せよまやかし天使ども』1巻発売記念 卯月ココ先生スペシャルインタビューnote 2023年9月13日付、2024年2月28日閲覧.
  10. ^ a b 施設・設備宣真高等学校公式サイト、2024年2月28日閲覧.
  11. ^ 『恋せよまやかし天使ども (1)』(卯月 ココ)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2024年3月2日閲覧。
  12. ^ 『恋せよまやかし天使ども (2)』(卯月 ココ)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2024年3月2日閲覧。

外部リンク 編集