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AGM-158巡航ミサイルを投下するB-2 スピリット

戦略爆撃機(せんりゃくばくげきき)は、前線後方の戦略目標(司令部生産施設発電所など)の破壊に使用される爆撃機。爆撃機の発展とともに戦略爆撃機のみになったが、戦術爆撃にも使用される。戦略目標の爆撃に戦術機の戦闘攻撃機核兵器を投入できるようになり、戦略爆撃と戦術爆撃の区別が難しくなり、冷戦後は明確な戦術機と戦略機の区別がなくなっている[1]

目次

性能編集

戦略爆撃機にはその攻撃目標の性質上次のような性能が求められる。

  1. 敵地奥深くに侵入するための航続
  2. 爆弾を多量に搭載する能力
  3. 護衛戦闘機がつかない場合の防御火器、高々度飛行能力、高速飛行能力

これらの性能を満たすために、大型の発動機を四つまたはそれ以上有している。

歴史編集

その歴史は古く、人類が航空機を発明してから十数年後の第一次世界大戦時にはすでに実戦投入されている。

世界で最初に実用化に成功した戦略爆撃機(厳密には大型爆撃機)の祖は、3発エンジンのイタリア軍のカプロニCa.36型といわれ、296機生産されたという。第一次大戦中には、ロシア帝国が世界最初の4発爆撃機イリヤ・ムロメッツ5を約80機。イギリスが4発のハンドレページV-1500を36機生産し、ベルリンを夜間空襲。また、ドイツ帝国はツェッペリン飛行船を使用してロンドンパリを夜間空襲。大戦後期には4発の巨大爆撃機ツェッペリン・シュタッケンR-6を18機生産。英仏連合軍への夜間空襲に使用した。当時の爆撃機はいずれも低速だったので、損害を減らすため主に夜間に使われた。

第二次世界大戦では、上記のような性能を持った4発エンジンの戦略爆撃機を枢軸国側(ハインケル He 177 グライフP.108)もソビエト連邦(ペトリャコフ Pe-8)も大量生産はできず、少数生産された機体も、戦略爆撃を行うには若干性能面で劣っていたため、この分野では連合国側のアメリカ合衆国・イギリス両国の爆撃機に限定された。アメリカのB-17及びB-24が主に昼間爆撃に、イギリスアブロ ランカスターハンドレページ ハリファックスショート スターリングが主に夜間爆撃に使用された。

アメリカは大戦末期に日本本土に対して戦略爆撃を実施したが、長大な航続距離を要する事から上記のB-17及びB-24ではいずれも不十分で、当時の最新鋭で最高性能の大型戦略爆撃機B-29を投入し、史上初の核兵器による攻撃である日本への原子爆弾投下を実行した機体にもなった。

第二次大戦後は、核爆弾による攻撃を主軸に置きはじめ、冷戦の影響もあって開発が進んだ。さらに核兵器の小型化によりミサイル弾頭への搭載も可能となり、核兵器の運用が可能な戦略爆撃機は大陸間弾道ミサイル潜水艦発射弾道ミサイルと並んで「核の三本柱」とと称されるようになった。しかし、ミサイル技術がより一層の発展を見たことから、航続距離や搭載量を重視する伝統的な戦略爆撃機の役割は縮小していった。それと同時に、航空機技術の進歩により戦闘爆撃機マルチロール機が発達したため、戦闘機を兼務する小型な機体であっても、かつての戦略爆撃機に近い、あるいは同等の能力を得たことも、この傾向に拍車をかけることとなる。現在でも大型の戦略爆撃機を運用しているのは、アメリカ合衆国、ロシア連邦中華人民共和国に限られている。現在のフランス空軍において戦略爆撃機として運用されているミラージュ2000Nは戦闘機ベースの機体であり、しかも原型機のミラージュ2000は、同時代のジェット戦闘機としても比較的小型・軽量な部類に入る。

ただし近年では、ベトナム戦争のような大戦争からアメリカ主導の対テロ戦争のような低強度紛争に至るまで、爆弾の搭載量の多さを生かした拠点制圧などにおける有効性が再評価されてきている。しかしながら新規の戦略爆撃機の開発は停滞傾向にあり、アメリカ合衆国のB-52やロシアのTu-95、中国の轟炸六型(ロシアのTu-16を国産化・近代化改修)など、現在でも1950年代に開発された旧式機材が主体となっている。

戦略爆撃機の一覧編集

第一次世界大戦期

  ドイツ帝国

  イギリス

  ロシア

第二次世界大戦期

  アメリカ合衆国

  イギリス

冷戦期

  アメリカ合衆国

  イギリス

  フランス

  ソビエト連邦

冷戦後

  アメリカ合衆国

  ロシア

  • ツポレフ Tu-22M (NATOコード名「バックファイア」)
  • ツポレフ Tu-95 (NATOコード名「ベア」)
  • ツポレフ Tu-160 (NATOコード名「ブラックジャック」)
  • PAK DA - 開発中

  中国

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ 青木謙知『ミリタリー選書1現代軍用機入門 (軍用機知識の基礎から応用まで)』イカロス出版14頁