敷島のキンメイチク

敷島の金明竹から転送)

敷島のキンメイチク(しきしまのキンメイチク)は、群馬県渋川市赤城町津久田の、上の森八幡宮境内にある国の天然記念物に指定された竹藪である。なお、指定名称はキンメイチクであるが本種は厳密にはギンメイチクである(後述)。

敷島のキンメイチク。2018年6月2日撮影。

キンメイチク(金明竹)またはギンメイチク(銀明竹)は、マダケ(真竹)の突然変異によって出来たタケで、主に鉢植えなどの園芸品種として流通しているが、当指定地は小規模ではあるものの100本以上の群生地を形成しており[1]1953年昭和28年)11月14日に国の天然記念物に指定された[2][3]

解説 編集

 
 
敷島の
キンメイチク
敷島のキンメイチクの位置
 
色の異なる稈の芽溝部。2018年6月2日撮影。

敷島のキンメイチクは渋川市北東部の津久田地区(旧勢多郡赤城村)にある上の森八幡宮境内に自生している[4][5]。この場所は利根川沼尾川合流点東南方の河岸段丘上にあたり、渋川市立赤城北中学校から県道151号線を挟んだ県道東側沿いに面している[6]

すべての竹類の稈(かん)は3層から構成されている[7]。通常の竹は一番外側の第1層が緑色であるのに対し、キンメイチクの場合、第1層が黄色に変色し、第2層が元通り緑色であるが、節の部分から芽(枝)が出ると、第1層の金色の組織の一部が枝の方に出るため、第1層が薄くなり芽溝部(がこうぶ)が形成される。芽溝部は薄いため第2層の緑色が透けて見える[8]

敷島のキンメイチクの場合、第1層は緑色であるが、第2層は薄い黄色である。そのため芽溝部は黄色く見える。昭和20年代までは稈に白条、または黄条のあるものはすべてキンメイチクと呼んでいたため、この竹林の名称は敷島の「キンメイチク」であるが、上記の経緯のとおり厳密には「ギンメイチク」である[7]

指定地はコンクリートの枠で仕切られており、面積は255平方メートルである[4][6]

1968年昭和43年)より群馬県全域に発生したタケの開花により、県内他所の竹林同様に敷島のキンメイチクも枯れはじめ一時は瀕死寸前の状態になったが、関係者による伐採や施肥など積極的な育成管理により回復した[4][6][9]。 今日ではコンクリートで囲われた枠いっぱいに100本以上が自生し、稈の周囲も10センチから25センチに及ぶものが多い[7]

交通アクセス 編集

所在地
  • 群馬県渋川市赤城町津久田313-3[5]
交通

脚注 編集

  1. ^ 加藤編、室井綽(1995)、p.543
  2. ^ 敷島のキンメイチク(国指定文化財等データベース) 文化庁ウェブサイト、2018年6月16日閲覧。
  3. ^ 敷島のキンメイチク(文化遺産オンライン) 文化庁ウェブサイト、2018年6月16日閲覧。
  4. ^ a b c 安盛博(1989)、pp.54-55
  5. ^ a b 敷島のキンメイチク 国指定天然記念物(渋川市) 群馬Travel&Portal WEB GUNMA 2018年6月16日閲覧。
  6. ^ a b c 安盛博(1983)、pp.125-126
  7. ^ a b c 加藤編、室井綽(1995)、p.544
  8. ^ 加藤編、室井綽(1995)、p.545
  9. ^ 敷島のキンメイチク 苦境はね返す生命力 2016年10月23日東京新聞アーカイブ、2018年6月16日閲覧。

参考文献・資料 編集

  • 加藤陸奥雄室井綽、1995年3月20日 第1刷発行、『日本の天然記念物』、講談社 ISBN 4-06-180589-4
  • 安盛博、1983年3月30日 発行、『上州の大樹を尋ねて』、みやま文庫 /ASIN B000J751WG
  • 安盛博、1989年3月10日 発行、『<群馬県>巨樹・名木巡り』、牧野出版 ISBN 4-89500-002-8

関連項目 編集

外部リンク 編集

座標: 北緯36度33分8.5秒 東経139度2分51.9秒 / 北緯36.552361度 東経139.047750度 / 36.552361; 139.047750