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椿油(つばきあぶら)は、ツバキ科ツバキ属のヤブツバキの種子から採取される植物性油脂ユチャ英語版、お茶の種から取れた油など、ツバキ属の種子から取ったものの総称はカメリア油(camellia seed oil)と呼ばれ、区別される。酸化されにくいオレイン酸を多く含むため、他の食用の油脂に比べて酸化されにくく固まりにくい性質を持つ(不乾性油)。

歴史編集

利用の歴史は古く、続日本紀には、777年、渤海国使が帰るときに海石榴(つばき)油を所望したので贈った、との記述がある。

ツバキ油は純油なので、エンジンオイルには不乾性油を使用したものの、太平洋戦争時にゼロ戦の燃料として使われた[1][信頼性要検証]

用途編集

食用のほか、化粧品薬品、また石鹸などの原料としても用いられる。

食用油
天婦羅油、炒め物サラダ用などに使用。長崎県の五島うどんは、引き延ばす際に地元の椿油を生地の表面に塗る伝統がある。
化粧品
髪油鬢付け油)、スキンケア、保湿に用いられる。中でも純日本産(長崎・五島列島や伊豆諸島産)の椿油は純度が高く重宝されている。
薬用
日本薬局方に収載されており、他の薬効成分と配合して用いられる。
工業用
塗料などの樹脂原料
その他
日本刀の磨き油のほか、木刀碁盤将棋盤将棋駒、木彫り、など木製品の磨き・ツヤ出しに使用する。

原料・産地編集

ヤブツバキ(薮椿)
日本における代表的原料植物であり、東京都の伊豆大島利島、静岡県の伊豆、長崎県(五島列島)の福江島新潟県佐渡島のものが有名。
サザンカ(山茶花)
長崎県諫早地方ではヤブツバキよりサザンカの種子から採油するのが一般的である。この地方ではツバキ類の種実のことをカタシの実、サザンカのことをヒメカタシと呼ぶので、椿油をカタシ油と呼ぶ。
ユチャ英語版(油茶)
中国における代表的原料植物。安徽省湖南省浙江省などで生産されている。中国では、炒め油に使うほか、擂茶と呼ばれる飲み物に加えたり、製菓原料などにもされる。
セッコウベニバナユチャ(浙江紅花油茶、学名 Camellia chekiangoleosa H.H.Hu)
中国浙江省特産。ヤブツバキに似た性質を持ち、化粧品原料などとされている。
チャノキ(茶之木)
飲用にするの木であるが、中国においては、種から搾油にも使用されている。


製法編集

種から油分を取り出す方法として次の2種が用いられている。

圧搾
加圧によって種子から液状の油分を分離するもの。コールドプレスともいう。本来の味や成分が、より保持される製法。
溶剤抽出
粉砕した種子と有機溶剤をまぜて、油分を溶剤に溶かし込んだ後、蒸留して溶剤を再分離するもの。圧搾よりも効率よく取ることができる。

いずれも、粗油を得た後、濾過と脱色を行って、精製品が得られる。

有効性編集

椿油やその配合シャンプーでは、脂漏性皮膚炎の原因菌と遊離脂肪酸を減少させ、22名中95%で「やや有用」以上の評価があった[2]

成分表編集

椿油(camellia japonica)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 3,699 kJ (884 kcal)
0 g
糖類 0 g
食物繊維 0 g
100 g
飽和脂肪酸 9.7 g
一価不飽和 87.0 g
多価不飽和 3.1 g
0 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
0 μg
(0%)
0 μg
0 μg
チアミン (B1)
(0%)
0 mg
リボフラビン (B2)
(0%)
0 mg
ナイアシン (B3)
(0%)
0 mg
パントテン酸 (B5)
(0%)
0 mg
ビタミンB6
(0%)
0 mg
葉酸 (B9)
(0%)
0 μg
ビタミンB12
(0%)
0 μg
ビタミンC
(0%)
0 mg
ビタミンE
(139%)
20.8 mg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
0 mg
カリウム
(0%)
0 mg
カルシウム
(0%)
0 mg
マグネシウム
(0%)
0 mg
リン
(0%)
0 mg
鉄分
(0%)
0 mg
亜鉛
(0%)
0 mg
セレン
(0%)
0 μg
他の成分
水分 0 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
椿油(100g中)の主な脂肪酸の種類[3]
項目 分量(g)
脂肪 100
飽和脂肪酸 9.7
16:0(パルミチン酸 7.5
18:0(ステアリン酸 2.1
一価不飽和脂肪酸 87.0
16:1(パルミトレイン酸 0.1
18:1(オレイン酸 86.6
22:1 0.3
多価不飽和脂肪酸 3.1
18:2(リノール酸 3.0
18:3(α-リノレン酸 0.1

脚注編集

  1. ^ 椿油(カメリア油)の基礎知識 (PDF)”. サトウ椿株式会社. 2017年8月18日閲覧。
  2. ^ 清佳浩、飯塚正男、秋久俊博「脂漏性皮膚炎患者に対するツバキ油・ツバキ油配合シャンプーの安全性及び有用性の検討」『皮膚の科学』第4巻第3号、2005年、 309-316頁、 NAID 130004934401
  3. ^ Zeng, Wei; Endo, Yasushi (2019). “Lipid Characteristics of Camellia Seed Oil” (英語). Journal of Oleo Science 68 (7): 649–658. doi:10.5650/jos.ess18234. ISSN 1345-8957. https://doi.org/10.5650/jos.ess18234. 

関連項目編集