江本 勝(えもと まさる、1943年7月22日 - 2014年10月17日[1])は、日本の経営者。株式会社I.H.M.代表取締役、I.H.M.総合研究所(任意団体)所長、I.H.M.国際波動友の会(任意団体)代表。『水からの伝言』などの著作を通じて波動理論の普及に努め、自身の会社で波動測定器(MRA)を販売した[2]横浜市出身。

履歴 編集

1943年7月22日、横浜市生まれ。横浜市立大学文理学部国際関係論学科(1995年に国際文化学部と理学部へ改組され現存しない)卒業。中部読売新聞社(現読売新聞中部支社)勤務などを経て1986年にインターナショナルヘルスメディカル(現・I.H.M.)を設立[3]

1989年アメリカで開発されたMRA(Magnetic Resonance Analyzer、磁場共鳴分析器)の日本での独占販売権を得て[4]、これを「波動測定器」と呼んで自らオペレータとなり、「波動」に関するビジネスを始める。

1991年、インドの非認定大学オープン・インターナショナル・ユニバーシティより代替医療の“博士号”を受けたが、この大学は偽医療者をターゲットにして学位を売る詐欺的な大学で[5]、後に閉鎖された[6][7]

1999年、『水からの伝言』を出版。海外でも出版され、アメリカ合衆国ではニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに数カ月間ランクインした[8]。江本は、本書について「ポエムであって科学だとは思っていない」と述べている[9][2]

2014年10月17日、肺炎のため死去[1]。71歳没。同年12月には明治大学のリバティアカデミーオープン講座で「ガイア、この水と微生物の共鳴する世界」と題する講義が予定されていたが、9月までに中止となっていた[10]

人物 編集

  • 独自の波動理論について多くの著作を発表した[2]。江本の理論では、人間の意識から「愛の波動」や「ネガティブな感情の波動」が発せられると説明されており、科学的な波動とは異なる概念を提唱している[2]
  • 5分でを消すというトリック[11]に引っ掛かったり[12]、野生動物は死んだ瞬間に消えるという矢追純一の事実無根な主張[13]を真に受けたりと[14]、非科学的な話を信じ込み易い。
  • 「神は我々を(中略)創造されたのであろう」「あらかじめ設計されてもいたのであろう」と、創造論の信奉を窺わせている[15]

著書 編集

単著 編集

著書の多くは日本十進分類法で超心理学に分類されている。

  • 『波動時代への序幕 秘められた数値への挑戦』 サンロード、1992年
  • 『波動の人間学』 ビジネス社、1994年
  • 『波動の真理 人間・地球・自然の未来のために』 PHP研究所、1994年
  • 『波動と水と生命と 意識革命で未来が見える』  PHP研究所、1995年
  • 『波動革命 "新たな科学思考"が人類と地球を救う』 PHP研究所、1995年
  • 『波動の幸福論 最先端科学が生み出す新しい哲学』 PHP研究所、1996年
  • 『波動学のすすめ 新世紀思考への意識革命』 PHP研究所、1996年
  • 『波動とは何か 科学と心の共鳴エネルギー』 PHP研究所、1996年
  • 『甦る潜在記憶 新しい自分を求めて』 PHP研究所、1997年
  • 水からの伝言 世界初!!水の氷結結晶写真集 今日も水にありがとう』 波動教育社、1999年
  • 『水からの伝言2』 波動教育社、1999年
  • 『水は語る Water,it tells us precious things』 成星出版、2000年
  • 『水は答えを知っている その結晶にこめられたメッセージ』 サンマーク出版、2001年
  • 『水は答えを知っている2』 サンマーク出版、2003年
  • 『水は語る 魂をうつしだす結晶の真実』 講談社、2003年
  • 『結晶物語 水が教えてくれたこと』 サンマーク出版、2003年
  • 『水の「真」力 心と体のウォーター・ヒーリング』 講談社、2003年
  • 『水が伝える愛のかたち』 徳間書店、2003年
  • 『水と音楽癒しのメッセージ(DVDブック)』 講談社、2004年
  • 『自分を愛するということ―水からの伝言 Vol.3』 波動教育社 2004年
  • 『水は音楽を聴いている』 三笠書房、2004年
  • 『水と音楽のことば(CD付)』 学習研究社、2004年
  • 『水と音楽のおくりもの(CD付)』 学習研究社、2004年
  • 『自分が変わる水の奇跡 「愛と感謝」の想いが前向きなエネルギーをつくる』 青春出版社、2005年
  • 『水の癒し やさしさと元気が戻ってくる本』 青春出版社、2006年
  • 『水からの伝言Vol.4 水はことばの鏡』 OFFICE MASARU EMOTO 2008年
  • 『水宇宙からのメッセージ』 ビジネス社 2009年
  • 『幸運を呼び込む、日本一使える波動の本』 ヴォイス、2010年
  • 『水の預言 アセンションの鍵は水にあった』 ソフトバンククリエイティブ、2010年
  • 『宇宙からのヒーリング信号は水が受け取っている』 徳間書店、2011年
  • 『地球隠れ宮一万五千年のメッセージ 幣立神宮が発する日本の『超』中心力』 ヒカルランド、2011年
  • 『水が答えた般若心経』 ソレイユ出版、2012年
  • 『水が答えた日本の宗教』 ソレイユ出版、2012年

共著 編集

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ a b 株式会社I.H.M.の「お知らせ・新着情報」(PDF)、Facebook 2014年10月18日閲覧
  2. ^ a b c d 雨宮純『あなたを陰謀論者にする言葉』フォレスト出版、2021年10月26日、「第8章 舩井幸雄が広めたビジネス系スピリチュアル」頁。ISBN 978-4866808130 
  3. ^ 「水からの伝言」 と EM(菌)” (PDF). 「物理学」2014.7.25 科学的に考えるためのレッスン その3 長島雅裕(文教大学教育学部). 2024年4月18日閲覧。
  4. ^ 江本勝『波動時代への除幕』(サンロード、1992年)5刷、P.24
  5. ^ Fake university 'VC' targeted only quacks to issue degrees - Times of India”. The Times of India. 2019年3月11日閲覧。
  6. ^ Dunning, Brian [in 英語] (23 September 2014). "Skeptoid #433: The Water Woo of Masaru Emoto". Skeptoid. 2018年5月4日閲覧
  7. ^ Jaisankar, C. (2019年1月11日). “Fake varsity sealed after operating for 12 years” (英語). The Hindu. ISSN 0971-751X. https://www.thehindu.com/news/national/tamil-nadu/fake-varsity-sealed-after-operating-for-12-years/article25963820.ece 2019年3月11日閲覧。 
  8. ^ Inside the list - The New York Times (2005.03.13)
  9. ^ 朝日新聞社「AERA」2005年12月5日号 P.35、『学校の授業でも「水からの伝言」の仰天』
  10. ^ 「ガイア、この水と微生物の共鳴する世界」 | 江本 勝 | 明治大学リバティアカデミー
  11. ^ 山本弘『超能力番組を10倍楽しむ本』P.19-21
  12. ^ 『波動の人間学』P.198
  13. ^ 山本弘『カラスは反物質爆弾だった?』(と学会「トンデモ本の逆襲」P.34-40)
  14. ^ 『波動の真理』3刷 P.140
  15. ^ 『波動時代への除幕』5刷 P.78

関連項目 編集

外部リンク 編集