河口和也

日本の社会学者

河口 和也(かわぐち かずや、1963年[1] - )は、日本の社会学者広島修道大学人文学部教授。同性婚やパートナーシップ宣誓制度の研究を行うとともに、法整備に向け、各地で講演を行っている[2][3]性的少数者LGBTなど)についての意識に関する全国調査(2015年、2019年実施)では中心的な役割を果たした[4][5][6]

河口 和也
(かわぐち かずや)
人物情報
生誕 1963年????
愛知県名古屋市
国籍 日本の旗 日本
出身校 筑波大学大学院修了
学問
研究分野 社会学ジェンダー
研究機関 広島修道大学
テンプレートを表示

来歴 編集

愛知県名古屋市出身[7]筑波大学大学院修了[8]。同大学院博士課程退学[1]

1991年2月12日、東京都が前年に同性愛者への宿泊施設「府中青年の家」の利用を拒否したことをめぐり、市民団体「動くゲイとレズビアンの会」(現・アカー)が損害賠償を求めて訴訟を提起した[9]。原告は永田雅司、風間孝、神田政典の3人が務めた[10]。河口もアカーのメンバーとして裁判をともに戦った[11][12]。1994年3月、東京地裁は原告勝訴の判決を下し、1997年9月、東京高裁は都の控訴を棄却した[13][14]

同性愛者であることを公表しており[12]、2003年12月、『クイア・スタディーズ』(岩波新書)を出版した。2010年3月には前述の風間と共著で『同性愛と異性愛』(岩波新書)を出版した。

2018年12月、広島大学のダイバーシティ研究センターに連携研究者として加わった[15]

2020年、同性婚の合憲性を問う集団訴訟(「結婚の自由をすべての人に」訴訟)において、河口は意見書を提出。欧米における同性愛の脱病理化の歴史や当事者による闘争の歴史などを解説した[16]。また、風間も赤枝香奈子との連名で原告側の主張を支持する立場の意見書を裁判所に提出し[17]、2021年から2023年にかけて出された複数の違憲判決に寄与した[12][18]

2021年11月、河口ら12人の著者による『クィア・シネマ・スタディーズ』(晃洋書房)が刊行。河口は『真夜中のパーティー』、ドキュメンタリー映画『ハーヴェイ・ミルク』、『ミルク』などについて論じた[19]

著書 編集

単著・共著
  • キース・ヴィンセント、風間孝、河口和也『ゲイ・スタディーズ』青土社、1997年6月。ISBN 978-4791755554 
  • 河口和也『クイア・スタディーズ』岩波書店、2003年12月18日。ISBN 978-4000270045 
  • 虎井まさ衛、大月純子、河口和也『性なる聖なる生―セクシュアリティと魂の交叉』緑風出版、2005年3月。ISBN 978-4846105037 
  • 風間孝、河口和也『同性愛と異性愛』岩波書店〈岩波新書〉、2010年3月20日。ISBN 978-4-00431235-2 
  • 風間孝、河口和也、守如子、赤枝香奈子『教養のためのセクシュアリティ・スタディーズ』法律文化社、2018年11月29日。ISBN 978-4589039705 
  • 菅野優香、河口和也、長島佐恵子、出雲まろう、赤枝香奈子ほか 著、菅野優香 編『クィア・シネマ・スタディーズ』晃洋書房、2021年11月10日。ISBN 978-4771035539 
編著
  • 風間孝、キース・ヴィンセント、河口和也 編『実践するセクシュアリティ―同性愛・異性愛の政治学』動くゲイとレズビアンの会、1998年8月。ISBN 978-4901039024 
訳書

脚注 編集

  1. ^ a b 河口 和也”. webちくま. 2023年6月24日閲覧。
  2. ^ 性的少数者の不安、自治体職員は理解を 広島修道大・河口教授が講演会 /広島”. 毎日新聞 (2022年7月3日). 2023年6月26日閲覧。
  3. ^ 多様性は誰の中にも セクシュアリティをめぐって”. 広島市. 2023年6月24日閲覧。
  4. ^ 同性婚法制化 男性「反対」、女性「賛成」多数 文科省研究グループ、LGBT意識調査”. 産経新聞 (2015年11月28日). 2023年6月20日閲覧。
  5. ^ 押川恵理子 (2021年10月10日). “LGBTQ「周りにいる」は12.6%「変わり始めた北陸のまち」 2015年の 5.1%から上昇”. 東京新聞. 2023年6月26日閲覧。
  6. ^ 広島修道大学 河口和也研究室”. 広島修道大学. 2023年6月24日閲覧。
  7. ^ つむぐ平和:広島二〇二一/34 性差別解消は暴力なくす 河口和也さん=安佐南区 /広島”. 毎日新聞 (2021年6月11日). 2023年6月26日閲覧。
  8. ^ 河口 和也”. researchmap. 2023年6月24日閲覧。
  9. ^ 府中青年の家事件”. 立命館大学生存学研究所. 2023年6月14日閲覧。
  10. ^ 『井田真木子 著作撰集』, p. 228.
  11. ^ 広島修道大学 教授 河口和也さん”. RCC中国放送. 2023年6月24日閲覧。
  12. ^ a b c 遠山和宏 (2021年5月3日). “記者のこだわり:「同性愛は病気じゃない」 違憲判決の原点に30年前の「事件」”. 毎日新聞. 2023年6月26日閲覧。
  13. ^ 君塚正臣 (2000年9月). “同性愛者に対する公共施設の宿泊拒否―東京都青年の家事件”. 有斐閣. 2023年6月20日閲覧。
  14. ^ 『井田真木子 著作撰集』, p. 409.
  15. ^ 令和三年度(2021年度) ダイバーシティ研究センター 報告書”. 広島大学. 2023年6月24日閲覧。
  16. ^ 河口和也 (2020年8月3日). “意見書”. 特定非営利活動法人CALL4(コールフォー). 2023年6月3日閲覧。
  17. ^ 風間孝、赤枝香奈子 (2020年8月3日). “意見書”. 特定非営利活動法人CALL4(コールフォー). 2023年6月3日閲覧。
  18. ^ 田中理知 (2023年5月30日). “同性婚不受理「個人の尊厳照らし、合理性欠く」 憲法24条違反指摘”. 毎日新聞. 2023年5月31日閲覧。
  19. ^ クィア・シネマ・スタディーズ”. 晃洋書房. 2023年6月24日閲覧。

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集