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本記事では、痩身(そうしん)や減量(げんりょう)について解説する。

痩身とは、痩せた身体[1](または引き締まった身体)のこと、そのような身体にすることである。また、そのような身体にすることの意味で「減量」という言葉が用いられることがある。「痩身」と「減量」、いずれも同じニュアンスで用いられやすい。

厳密に言えば「痩身と減量」は同義ではない。「減量」は、総体重に着目した概念である。身体から脂肪が減って筋肉量が増えると、体重は増えるが身体は引き締まる。また、格闘技のような厳格な体重別階級制のあるスポーツの選手が、なるべく低い体重の階級で競技するために減量に励むこともある。

痩身や減量を行うには、栄養代謝に関する知識を身に付ける必要がある。

「痩身や減量というのは、ダイエット(規定食、食事制限)や運動(身体活動、エクササイズ)などを行って可能になるものであり、それらをしないで放置しておきながら、他の何かをすることで痩身や減量ができるということはない」[2]と言われることが多い。

目次

カロリー理論編集

人の身体で、1日ごとに消費されているエネルギー量はその人の体格や運動量によってひとりひとり異なっており[3]、その量は《基礎代謝量》と《身体活動レベル》を用いて概算できる[3]

自分の《基礎代謝量》に関しては「基礎代謝」を参照。

《身体活動レベル》については、次の表の右側を見て、左側から該当の数値を見つける。

身体活動レベル[3]
活動
レベル
身体活動
レベル
生活パターン
低い 1.50 生活の大部分で座っており(=座位)、(つまり、デスクワークなど)静的な活動が中心の場合
普通 1.75 座位中心の生活だが、仕事で立ったりすることもあり、あるいは通勤買い物家事、軽いスポーツをすることが含まれる場合
高い 2.00 仕事で移動することや立っていることが多い場合。あるいは日常的にスポーツや活発な活動を行う習慣がある場合。

次の式が成り立つ。

一日の基礎代謝量(kcal) × 身体活動レベル = 一日に消費されるカロリー

例えば年齢が30代で基礎代謝量が1,140kcalの女性で、通勤してデスクワーク中心の仕事をしている人(=身体活動レベルが普通、つまり数値が1.75)の女性ならば

一日に身体が消費するカロリーは、1,140(kcal) x 1.75 = 1995(kcal) となる。

口から入るカロリー < 身体が消費するカロリー

この不等式を成立させるためのポイントは「食事の制限」と「運動の実行」である。左辺を小さくするために「食事の制限」を行い、右辺を大きくするために「運動を実行」する。

  • 食事の制限:ビタミンやミネラルは摂取し食品のバランスは保ち健康に配慮しつつ、総カロリーを抑える食事制限(ダイエット)を行い、口から入るカロリーを制限する。
  • 運動の実行:運動(散歩、家事、身体を使った仕事、エクササイズ、筋力トレーニング 等々等々)を実行することによって消費カロリーを増やす。

BMI編集

減量するべき場合と、するべきでない場合とがある。

あくまで目安ではあるが、BMIBody mass index, ボディマス指数と呼ばれる)の数値を見て判断する。BMIにより、「普通体重」と判定される範囲(18.5以上 ~ 25未満)であれば、特には痩身(減量)を行う必要はない。BMIによって「肥満」と判定された場合、とくにその数値がより高ければ高いほど(「肥満度数 2」と比較して「肥満度数 3」、「3」と比較して「肥満度数 4」など)、「減量を推進すべき」とみなされやすい。

BMIの数値が「18.5未満」の人の場合は「痩せすぎ」と判定され、その場合、それ以上体重を減らしてはいけない。見るからに異様に痩せているにもかかわらず、それでも減量を続行しようとして病気を患ったり、命を落とした事例もある(口述)。

食事療法編集


運動編集


断食・絶食療法編集

一切の固形物を摂取することなく、水、茶、ブラックコーヒー、ビタミンとミネラルのみで生活する方法がある。この断食を382日間続け、456ポンド(約207㎏)あった体重を180ポンド(約82㎏)まで減らしたスコットランド人、アンガス・バルビエーリ( Angus Barbieri )がいる。バルビエーリが行った断食は、1971年版のギネスブックにも登録されている[4][5]

手術編集

痩身を目的とした手術には以下のものがある。手術の効果に関しては個人差が大きく、場合によっては命の危険もある。

痩せ薬編集

どうすれば痩せ、どうすれば太るのかを知らない人につけこんで、痩身にも減量にも役立たない商品やサービスを売りつける業者も存在する[2]アメリカ合衆国を例に挙げると、その市場規模は約330億ドルだという[6]

「痩せる」ことを目的に薬物を服用する方法であるが、いずれも根拠は薄い。

種類編集

「痩せ薬」とされているものについては、以下の種類がある。

事例編集

ヨーロッパ各国でつい最近まで使われていたものとしてフェンフルラミンがある。脳内にあるセロトニン受容体に直接作用してセロトニンの濃度を高めることにより、食欲を抑制する作用がある。アメリカ合衆国では1996年に許可が下り、市場に出回った。しかし、その翌年に心臓弁膜症肺高血圧を誘発する危険性を指摘されたことで、FDAの要請に基づいて市場から回収された。日本でも、このフェンフルラミンや甲状腺ホルモンの混入した健康食品が、インターネットや口コミを通じて出回り、重大な健康被害を引き起こす例が多発して社会問題になった(2002年)。

EMEAやFDA、厚生労働省により承認された痩せ薬の多くは中枢神経系に作用する薬物であり、これらの薬は少なくとも、日本においては本来医師が処するものであり、実際に日本で承認されているマジンドール処方箋医薬品である。しかし、日本においてはマジンドール以外の薬物は承認されておらず、かつその適応基準は非常に厳格に設定されている(後述)。

現在EMEAあるいはFDAに認可されている痩せ薬はBMI≧30の高度肥満症であるか、BMI≧27でかつ2型糖尿病や脂質代謝障害などの基礎疾患を有している人が投与対象である[7][8][9][10]。特に、日本における投与についてはBMI≧35または70%以上の肥満度の高度肥満症であること(マジンドールの適用基準)が前提となっており、一段と厳しい基準を課している[11]

以上のような基準を満たさない人は、痩せ薬の本来の投与対象でないため、医師による処方はなされないと考えてよい。

痩せ薬と社会問題編集

アメリカ合衆国では、少女らによる減量目的のステロイド剤の使用が社会問題と化している。2005年に行われた報告によれば、女子高校生のおおよそ5%、女子中学生のおおよそ7%が、少なくとも一度はステロイド剤を使用した経験があるという[12]

宣伝を行う業者編集

いずれも痩身効果は医学的に証明されておらず疑似科学に近い(これに関連して、TVインターネットで紹介された減量法は、いずれも何の根拠も無いものであったり、実験データを捏造したり、不十分であったりして、健康被害が発生した例が実際に報告されている[13])。

1. サプリメントを服用することにより、結果として食事の内容や量、バランスを変化させたのと同様の効果を期待するというもの。その類のサプリメントには大きく分けて、

  • 「通常の食事の代わりに服用して満腹中枢を刺激する(結果として摂食量の減少が期待できる)」とされるもの
  • 「食事中に含まれる、熱量となる栄養素の一部吸収を阻害する」とされるもの(例:カテキンキトサン)がある[注 1]

2. 主に脂肪を物理的に刺激することで部分的に減量することを目的とする。

  • 利用される方法は(「サウナスーツ」。 発汗作用により、一時的に体重を減らす)、高周波振動(電動式痩身ローラー・ベルト)、低周波振動(マッサージ器)、磁力 etc.
  • エステティックサロンなどで行われているマッサージによる「脂肪のもみ出し」 ・・・ これは脂肪の流動性を高める、あるいは脂肪細胞を破壊し血中に溶出させ脂肪量を減少させる、というもの。だが、脂肪細胞といえどあくまで他組織と密接に関係する生体組織であり、マッサージを受けることで温度が上昇し、一時的に柔らかくなることはあっても流動性が高くなったり移動したりするものではない(そのようなことで移動していては脂肪細胞のほとんどすべてが足に集まってしまう)。また、マッサージで実際に脂肪細胞を破壊するような力を加えたならば、周辺組織の破壊を伴う重傷を負うであろう
  • 補正下着ガードルボディスーツ) ・・・ 細身の外見に見せることが可能。だが、痩身効果や体型の補正効果が医学的に示されたことは1度もない。マルチ商法ネットワークビジネスで販売されることが多い

これらはいずれも、減量できるかどうかの論拠は薄い。

精神疾患編集

最初は美容の目的で手段として体重を減らしたが、次第に「手段の目的化」がおこり、体型を客観的に把握できず単純に体重の数値のみに拘泥する状態になることがある。これが行き過ぎると、自身が理想としている体型への強い渇望感が変質して生じる「神経性無食欲症」( anorexia, 「拒食症」とも)と呼ばれる精神疾患に罹患することがある。ファッションモデルをやっていたアナ・カロリナ・レストンや、ルイゼル/エリアナ・ラモス姉妹は、体重の増減に憑りつかれた挙句、栄養失調が原因で死亡している。

リバウンド編集

痩身行動によって、一時体重を目標もしくはそれ以下まで落としたものの、その後再び体重が増えてダイエット開始前と同じ体重に戻ったり、以前よりも体脂肪率が増加する。これは俗にリバウンドと呼ばれている。

減量とリバウンドを繰り返すと、一般的には筋肉より脂肪の割合が増加、以前と同じ体重であっても体脂肪率や肉体の体積は増大し、体型はより太く見える。こうなると、痩せにくく、太りやすい状態となる。

痩身法と詐欺・健康被害の問題編集

ダイエット・痩身法は、健康被害や詐欺に結びつきやすい分野でもある。例として、以下のようなものがあげられる。

  • 副作用が強い薬や、有害な成分を含むダイエット食品
  • 期待される効果やサービスの内容に対して著しく料金が高額なもの
  • 科学的に効果が期待できないもの
    • 波動アルカリ性食品など、オカルト疑似科学を理論の中心に据えているもの
    • 捏造または信頼性の低い実験データを根拠としているもの、そもそも実験すら行っていないもの - テレビ番組「発掘!あるある大事典II」で行われたデータの捏造
    • 科学的な検証に堪えないアンケート結果や「体験談」を根拠としているもの - バイブル商法の項も参照
  • 宣伝・勧誘の方法に問題があるもの
    • 不安や恐怖心を煽りながら勧誘を行うもの
    • 宣伝に登場する「専門家」の経歴が、ディプロマミルのように信用に値しないもの
    • クーリングオフに応じない例
    • フィットネスクラブなどで、最初は低料金のコースで入会させ、後から高額のコースへの変更や別料金が必要なオプションの追加を行わせるもの
    • カルトなどが美容や痩身を謳った本やサークルを勧誘の手段とするケース - 法の華三法行など

脚注編集

  1. ^ 近年の代表的なものとしてBeautyCreate社のSLIMZEROが挙げられる[要出典]

出典編集

  1. ^ 広辞苑 第六版「痩身」
  2. ^ a b NHK「『いままでにないダイエット』 表示やめるよう命令」
  3. ^ a b c 『見てわかる!栄養の図解事典』p.10-18
  4. ^ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2495396/
  5. ^ https://www.eveningtelegraph.co.uk/fp/tale-angus-barbieri-fasted-year-lost-21-stone/
  6. ^ 「“夢のやせ薬”、開発競争の裏側 20社余りの製薬会社が、肥満治療薬の市場に参入」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年3月17日付配信
  7. ^ [1][リンク切れ]
  8. ^ [2][リンク切れ]
  9. ^ [3][リンク切れ]
  10. ^ [4]
  11. ^ サノレックス錠0.5mg 添付文書 (PDF)”. 日本医薬情報センター(JAPIC) (2014年12月). 2016年8月4日閲覧。
  12. ^ 米国少女たちの危険なダイエット=ステロイド使用が社会問題に livedoor (AP通信)
  13. ^ [5]

関連項目編集