片塰満則
片塰 満則(かたあま みつのり、1964年6月15日[1] - )は、日本のコンピュータグラフィック (CG) アニメーションディレクター。山口県岩国市出身[2]。元スタジオジブリCG室長と[3] ポリゴン・ピクチュアズ。
略歴
編集中学1年生の頃に観た『宇宙戦艦ヤマト』劇場版よりアニメの魅力を知る[2]。岩国高等学校を卒業後、1984年に東京芸術大学美術学部デザイン科に入学する[2]。
1990年1月、大学を中退し、映像制作会社リンクス[注 1]に中途採用として入社。OVA『マクロスプラス』やテレビアニメ『マクロス7』で3DCGとセルアニメのマッチングに挑戦する。アニメ監督瀬下寛之は新卒採用として1989年4月より同社に在籍していた[3]。
1994年秋、『マクロスプラス』『マクロス7』のために制作した3DCGのデモリールを携え、スタジオジブリでプレゼンを行う[5]。これに興味を持った宮崎駿は、4ヶ月後に短編アニメ『On Your Mark』の3DCGカットをリンクスに直接依頼[5]。それを担当した片塰は1995年にスタジオジブリへ移籍し、新設されたCG制作室の主力スタッフとして『もののけ姫』以降の劇場作品や、三鷹の森ジブリ美術館で上映する短編作品を手がける。『ホーホケキョ となりの山田くん』では水彩画タッチの3DCGに挑戦する[6]。
2007年、カシオエンターテイメントへ移籍し、映画『しんぼる』やバラエティ番組『リンカーン』のOPアニメなどを制作。同社の解散後、2010年に瀬下と共に日本の老舗CGスタジオポリゴン・ピクチュアズに入社[7]。『山賊の娘ローニャ』『シドニアの騎士』『亜人』といったテレビシリーズや、『BLAME!』『GODZILLA 怪獣惑星』などの劇場長編作品を手がけ、2Dのキャラクターデザインをセルルックの3DCGで表現している。
職名
編集ポリゴン・ピクチュアズの多くの仕事では「造形監督」という職名を用いている。立場的にはデザイナーとCGモデラーの間に立ち、デザイナーの意図を明確にすることで全体の質を高める仕事と説明している[8]、映画制作における美術監督(アートディレクター)の役割に近く[7]、また、ファッションデザインにおけるパタンナーの仕事にも例えている[7]。
劇場版『BLAME!』、『Levius -レビウス-』では「ディレクター・オブ・フォトグラフィー(光画監督[9])」、劇場版『シドニアの騎士 あいつむぐほし』では「アートディレクター」とクレジットされている。
参加作品
編集- 1994年 - 1995年 マクロスプラス(OVA・劇場版) - CGディレクター
- 1994年 マクロス7(テレビアニメ) - オープニングCGパート
- 1995年 On Your Mark(短編アニメ) - CG制作
- 1997年 もののけ姫(アニメ映画) - CG制作
- 1999年 ホーホケキョ となりの山田くん(アニメ映画) - CG制作
- 2001年 千と千尋の神隠し(アニメ映画) - デジタル作画監督
- 2002年 ギブリーズ episode2(短編アニメ) - CG監督
- 2002年 めいとこねこバス(短編アニメ) - デジタル作画監督
- 2002年 空想の空飛ぶ機械達(短編アニメ) - デジタル作画監督
- 2002年 空想の機械達の中の破壊の発明(短編アニメ) - CG
- 2004年 ハウルの動く城(アニメ映画) - デジタル作画監督
- 2006年 ゲド戦記(アニメ映画) - デジタル作画監督
- 2006年 星をかった日(短編アニメ) - デジタル作画監督
- 2006年 水グモもんもん(短編アニメ) - デジタル作画監督
- 2009年 しんぼる(実写映画) - VFXアートディレクター
- 2010年 リンカーン (テレビ番組)OP(短編アニメ) - アートディレクター
- 2012年 トロン:ライジング(テレビアニメ) - 造形監督
- 2014年 シドニアの騎士(テレビアニメ) - 造形監督
- 2014年 山賊の娘ローニャ(テレビアニメ) - モデル造形ディレクター
- 2015年 劇場版 シドニアの騎士(アニメ映画) - 造形監督
- 2015年 亜人 -衝動-(アニメ映画) - 造形監督
- 2015年 シドニアの騎士 第九惑星戦役(テレビアニメ) - 造形監督
- 2016年 亜人(テレビアニメ1期・2期) - 造形監督
- 2016年 亜人 -衝突-(アニメ映画) - 造形監督
- 2016年 亜人 -衝戟-(アニメ映画) - 造形監督
- 2017年 BLAME!(アニメ映画) - ディレクター・オブ・フォトグラフィー
- 2017年 GODZILLA 怪獣惑星(アニメ映画) - 造形監督
- 2018年 GODZILLA 決戦機動増殖都市(アニメ映画) - 造形監督
- 2018年 GODZILLA 星を喰う者(アニメ映画) - 造形監督
- 2019年 Levius -レビウス-(Webアニメ) - ディレクター・オブ・フォトグラフィー
- 2021年 劇場版 シドニアの騎士 あいつむぐほし(アニメ映画) - アートディレクター
- 2023年 ルパン三世VSキャッツ・アイ(アニメ映画[注 2]) - アートディレクター[10]
脚注
編集注釈
編集- ^ 1982年に「トーヨーリンクス」として設立、1989年に「リンクス」、2000年に「リンクス・デジワークス」へと社名変更し、2010年にIMAGICAに事業統合された[4]。
- ^ Amazon Prime Videoによる配信。
出典
編集- ^ 『THIS IS ANIMATION THE SELECT マクロスプラス MOVIE EDITION』、小学館、1995年、ISBN 4091015840、70頁。
- ^ a b c 片塰満則さんの紹介 - 岩国市(2016年8月29日)
- ^ a b TVアニメ『シドニアの騎士』、そのコダワリに迫る記事を「CGWORLD」誌から特別掲載! 第2回はメカデザインに迫ります。 - アフタヌーン公式サイト(2014年6月7日)
- ^ 3DCG の夜明け 〜日本のフルCGアニメの未来を探る〜第10回:瀬下寛之氏(監督) - AREA JAPAN、2018年3月29日閲覧。
- ^ a b 片塰満則 [@ktmax4] (2020年12月19日). "昨日追加されたスタジオジブリ作品場面写真に、ジブリ入社前に担当した『On Your Mark』のCGカットも含まれてました!1994年の秋に、『マクロスプラス』と『マクロス7』のCGカットをまとめたリールを携てジブリに営業に行った4ヶ月後くらいに、宮崎監督直々に発注の電話をいただきました。". X(旧Twitter)より2020年12月20日閲覧。
- ^ ポリゴン・ピクチュアズにおける造形監督とは? 片塰満則が語る『亜人』の造形プラン page1/4 - おたぽる(2016年1月20日)
- ^ a b c デザイナーとモデラーをつなぐ造形監督という仕事 『シドニアの騎士』造形監督 片塰満則、各話ストーリーボード 森田宏幸(第1回) - AniKo(2015年7月10日)
- ^ 劇場アニメ「亜人」での造型監督の仕事 ポリゴン・ピクチュアズ片塰満則氏が紹介@あにつく2015 - アニメ!アニメ!(2015年9月26日)
- ^ CGWORLD2017 クリエイティブ カンファレンス ポリゴン・ピクチュアズの光画監督の仕事【ポリゴン・ピクチュアズ】 - CGWORLD(2017年)
- ^ “「ルパン三世」×「キャッツ・アイ」コラボアニメ決定!制作はトムスが担当”. コミックナタリー. ナターシャ (2022年9月22日). 2022年9月22日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 片塰満則 (@ktmax4) - X(旧Twitter)
- 私の岩国 片塰満則さん - 岩国市