アンジェラ・モーティマー

フローレンス・アンジェラ・マーガレット・モーティマー・バレットFlorence Angela Margaret Mortimer Barrett, 1932年4月21日 - )は、イングランドプリマス出身の女子テニス選手。1950年代後半から1960年代初頭にかけて活躍し、4大大会女子シングルス「3勝」を挙げた選手である。彼女の活躍した時代は、しばらく4大大会でイギリス人の女子優勝者が途絶えていたため、モーティマーの優勝記録には「イギリス人女子選手として…年ぶり」のものが多い。

アンジェラ・モーティマー
Angela Mortimer
基本情報
フルネーム Florence Angela Margaret Mortimer Barrett
国籍 イギリスの旗 イギリス
出身地 イングランドプリマス
生年月日 (1932-04-21) 1932年4月21日(92歳)
利き手
殿堂入り 1993年
生涯獲得賞金 値なし
4大大会最高成績・シングルス
全豪 優勝(1958)
全仏 優勝(1955)
全英 優勝(1961)
全米 ベスト4(1961)
優勝回数 3(豪1・仏1・英1)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 準優勝(1958)
全英 優勝(1955)
優勝回数 1(英1)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 準優勝(1958)
全英 ベスト8(1966)

来歴 編集

モーティマーは15歳という遅い年齢からテニスを始めたが、ゲームに必要な決断力、スピード、知性を備えたプレースタイルでめきめきと才能を伸ばした。彼女は1951年から地元大会のウィンブルドン選手権に出場し始め、翌1952年全米選手権ドリス・ハートとの準々決勝に進出する。1955年全仏選手権で、モーティマーは女子シングルス決勝でドロシー・ヘッド・ノードアメリカ)と対戦し、2時間4分の長い試合時間の末に 2-6, 7-5, 10-8 の逆転で初優勝を飾った。モーティマーの全仏初優勝は、1937年ウィンブルドン選手権で優勝したドロシー・ラウンド以来「18年ぶり」となる、イギリス人女性による4大大会シングルス優勝であった。続くウィンブルドン選手権で、モーティマーはアン・シルコックとペアを組んだ女子ダブルスで優勝した。ところが、1956年全仏選手権決勝で、モーティマーは黒人選手のアリシア・ギブソンに 0-6, 10-12 で敗れ、大会2連覇を逃した。ギブソンはこの優勝により、黒人テニス選手として史上初の4大大会優勝者になった。

それから3年後の1958年、モーティマーは全豪選手権に初出場し、女子シングルス・女子ダブルス・混合ダブルスの3部門すべてで決勝に進出した。女子シングルスではロレイン・コグランを 6-3, 6-4 で破り、3年ぶりの4大大会2冠を獲得する。コグランと組んだ女子ダブルスと、ピーター・ニューマンとの混合ダブルスでは準優勝になった。これがモーティマーの唯一の全豪選手権出場である。半年後のウィンブルドン選手権で、モーティマーは初めて女子シングルス決勝に進出したが、ここでもギブソンに 6-8, 2-6 で敗れた。

アンジェラ・モーティマーがウィンブルドンの栄冠を獲得したのは、1961年の大会であった。ギブソンに敗れてから3年がたち、モーティマーは部分的な難聴を抱えるようになっていた。第7シードから勝ち上がった29歳のモーティマーは、決勝でクリスティン・トルーマンと「イギリス人同士の決勝」を戦い、第6シードだった20歳のトルーマンに 4-6, 6-4, 7-5 の逆転勝利を収めた。モーティマーが優勝後に語ったところによれば、彼女は「観客の喝采だけが聞こえて、他の音は聞こえなかったので、かえって試合に集中できた」という。イギリス人女性によるウィンブルドン優勝は、1937年ドロシー・ラウンド以来「24年ぶり」の偉業として賞賛を集めた。ウィンブルドンで初優勝した年、モーティマーは全米選手権で同じイギリスアン・ヘイドンとの準決勝に進出したが、この大会だけは優勝できず、キャリア3冠王で終わっている。

モーティマーはウィンブルドン優勝の翌年、1962年に30歳で現役を引退した。引退後にジョン・エドワード・バレット(John Edward Barrett)と結婚し、1993年国際テニス殿堂入りを果たしている。

4大大会優勝 編集

  • 全豪選手権 女子シングルス:1勝(1958年) [同大会で女子ダブルス・混合ダブルス準優勝]
  • 全仏選手権 女子シングルス:1勝(1955年) [同部門準優勝:1956年]
  • ウィンブルドン選手権 女子シングルス:1勝(1961年)/女子ダブルス:1勝(1955年) [女子シングルス準優勝:1958年]
大会 対戦相手 試合結果
1955年 全仏選手権   ドロシー・ヘッド・ノード 2-6, 7-5, 10-8
1958年 全豪選手権   ロレイン・コグラン 6-3, 6-4
1961年 ウィンブルドン選手権   クリスティン・トルーマン 4-6, 6-4, 7-5

外部リンク 編集