ボービントン戦車博物館

戦車博物館(The Tank Museum)は、戦闘車輛を収蔵するイギリスの博物館である。以前はボービントン戦車博物館(The Bovington Tank Museum)と呼ばれた。

戦車博物館
(ボービントン戦車博物館)
ボービントン戦車博物館の位置(ドーセット内)
ボービントン戦車博物館
ドーセット内の位置
施設情報
正式名称 The Tank Museum
専門分野 歴史、軍事、戦車、兵器技術
開館 1947年
所在地 イギリス、ドーセット州、ボービントン
位置 北緯50度41分43秒 西経2度14分37秒 / 北緯50.695194度 西経2.243611度 / 50.695194; -2.243611
外部リンク www.tankmuseum.org
プロジェクト:GLAM
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概要 編集

26ヶ国の約300両の車輛が展示されており、これは、世界で最も広汎な戦車と戦闘車輛のコレクションである。このコレクションは、唯一稼働するドイツ軍ティーガーIや、第一次世界大戦時のイギリス軍マーク I 戦車を含んでいる。これは、戦闘で生き残った戦車として世界で最も古い。

このコレクションは南西イングランド、ドーセット州のボービントン駐屯地(Bovington Camp)に保管されていたものである。これは、ドーセットのウールから北に約2km、プールの主要な港から西に約20kmの地点である。この駐屯地では、イギリス陸軍の装軌車輛の操縦、および生産工場と同水準の車輛修理、整備を全部門に渡って訓練する。

博物館はウールの駅から約2.4kmの距離にある。

歴史 編集

 
第二次世界大戦のドイツ軍戦車、V号戦車パンター

1916年、イギリスの陸軍省はボービントン・キャンプを戦車搭乗員用の訓練施設として設立した。第一次世界大戦時、イギリス陸軍は塹壕戦を打開するべく戦車を導入していた。1919年、配備されていた戦車はフランスからボービントンへ戻された。多数の車輛はスクラップにするため保管されたが、搭乗員と戦車設計者には、初期の戦車を遺産として残す考えがあり、損傷の少ない少数車輛は脇に取り分けられて置かれた。

1923年に、作家のラドヤード・キップリングはボービントンを訪問し、博物館を設立すべきであると強く勧めた。第二次世界大戦後、連合軍が多数の枢軸国側戦車を鹵獲したため、コレクションは大いに成長した。1947年、コレクションは一般に開放された。戦車博物館は発展を続け、今日ではこの方面に合わせて調整されたコレクションの展示で一般大衆を教育し、楽しませるものとなっている。戦車の多くは完全に作動でき、夏季の間は車輛を稼動させる特別展示を見ることができる。

展示ホール 編集

 
イギリス軍のマーク V 戦車
本車は1918年8月のアミアンの戦いで作戦に参加した
 
ロールス・ロイス装甲車

これらの展示は現在、5つの区画に分割されている。第一次世界大戦館、大戦間ホール、第二次世界大戦館、タミヤホール、イギリス鉄鋼業館である。スペースと現代化された施設のさらに5,000平方メートル(54,000平方フィート)を提供する拡大作業は、2008年まで行われた。

2008年まで、施設の近代化改修と追加の展示スペースを付与する拡大作業が行われた[1]

第一次世界大戦館 編集

最初期のリトル・ウィリーから、マーク VIII 戦車「リバティー」に至るまでの間、開発されたイギリス軍戦車を収容し、さらに、まだ実働する数少ない第一次世界大戦の戦闘車輛である、イギリス軍のマーク V 戦車がある。また、トーマス・エドワード・ローレンスの、兵士としての活動を描いたイラストの展示が加えられた。彼は近隣のクラウド・ヒルの小屋に居住し、短い期間、ボービントンの戦車部隊に勤務した。

展示品
マーク I 戦車マーク II 戦車マーク IV 戦車マーク V 戦車(雌型と雄型)マーク VIII 戦車マーク IX 戦車

大戦間ホール 編集

第二次世界大戦に至るまでの期間、急激に進歩する戦車設計のハイライトを展示している。

展示品
A1E1 インディペンデント重戦車ピアレス装甲車ロールス・ロイス装甲車ランチェスター装甲車カーデン・ロイド豆戦車マーク IIA 軽戦車巡航戦車 Mk.I

第二次世界大戦館 編集

 
ヤークトティーガー

戦争に関連した主要各国の戦車からなる最も巨大なセクションである。展示にはティーガーI(タイガー131)が含まれている。これは、1943年4月にチュニジアで鹵獲され、ボービントン戦車博物館の工場で走行可能な状態まで完全に再生された自力で走行できる唯一のティーガーIである。また、唯一残存した、浮航用のキャンバススクリーンを持つシャーマンDD戦車がある。

展示品
I号戦車II号戦車III号戦車IV号戦車V号戦車パンターティーガーIティーガーII軽駆逐戦車ヘッツァーヤークトパンターヤークトティーガーSd Kfz 251ルノーFT-17ルノーB1ソミュア S35巡航戦車 Mk.IIIコメット巡航戦車マチルダI歩兵戦車マチルダII歩兵戦車チャーチル歩兵戦車TOG 2重戦車エクセルシアー重突撃戦車ヴァリアント歩兵戦車T14突撃戦車ラム巡航戦車M24軽戦車M3中戦車M4中戦車シャーマン ファイアフライM10M48パットンM26パーシングスタッグハウンド装甲車ゼネラル・エアクラフト ハミルカーDUKWSU-76T-26T-34KV-1SU-100

タミヤホール 編集

 
T-55AD
T-55のイラク軍独自改修型、通称「エニグマ」)

1991年7月オープン。模型会社のタミヤによる寄付(2,000万円)および同額の国庫補助(マッチング・ドネーション)、並びにブリティッシュ・スチールによる資材提供を受けて建設された[2]。ここでは戦後の主力戦車、イギリスのセンチュリオン戦車やアメリカのM60パットン、ソ連のT-72などが展示されている。

イギリス鉄鋼業館 編集

46年の経歴を持ち、生産されたイギリス軍戦車の内では最良の一つであることを証明した、センチュリオン戦車の歴史のハイライトを展示。チョバム・アーマーを装備し、湾岸戦争でイラク軍と戦った。

タミヤホールとイギリス鉄鋼業館では現在展示内容を変更中だが、通常以下の車輛が展示されている。トータス重突撃戦車ブラックプリンス歩兵戦車コンカラーチャリオティアセンチュリオンチーフテンチャレンジャー1チャレンジャー2M41軽戦車M103重戦車M60パットンT-54T-55T-62T-72BMP-1AMX-3069/79式戦車Ikv 91Strv.103Stridsvagn 104

TIGER DAY 編集

博物館ではTIGER DAY(タイガー・デー)と呼ばれる催しが年に一度開かれる。開催日は4月の下旬頃であり、イベント当日はティーガーIを始めとした多くの戦車・戦闘車両が走行会を行う。参加には会場・オンライン・電話でのチケット購入が必要である。また、ティーガーIを間近で見学できるプレミアムチケットも販売されるが、こちらは要予約である。

ギャラリー 編集

出典 編集

  1. ^ Bovington News
  2. ^ 『田宮模型の仕事』(田宮俊作著、文春文庫2000年)p.135

関連項目 編集

戦車博物館 編集

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外部リンク 編集