ミヤマザクラ(深山桜、学名: Cerasus maximowiczii (Rupr.) Kom. in Kom. & Klob.-Alis.)(シノニム: Prunus maximowiczii Rupr.)は、バラ科サクラ属落葉高木[1][2][3]。別名、シロザクラ[1]

ミヤマザクラ
福島県会津地方 2015年5月
分類クロンキスト体系
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae|Rosidae
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : サクラ亜科 Prunoideae
: サクラ属 Cerasus
: ミヤマザクラ C. maximowiczii
学名
Cerasus maximowiczii (Rupr.) Kom.
in Kom. & Klob.-Alis. (1932)
シノニム
Prunus maximowiczii Rupr. (1857)
和名
ミヤマザクラ(深山桜)[1][2]

特徴 編集

の高さは5-10m、径は40cmになる。大きいものでは高さ15m、径60-90cmに達する。樹皮は紫褐色で、横に長い皮目が並ぶ。新しいには褐色の伏した毛がやや密に生え、2年枝は灰褐色で、白色の皮目が点在する。は互生し、葉柄は長さ10-15mmになり褐色の毛を密生させる。葉身は長さ4-7cm、幅2.8-4.5cmの倒卵状長楕円形で、先端は尾状に鋭くとがり、基部は広いくさび形または切形となり、基部に1対の蜜腺がある。葉の表面は光沢がなく、斜上する毛がまばらに生え、裏面は脈上に伏した毛が生える。縁は鋭い2重鋸歯になり、先端は腺になる[1][2][3]

花期は5-6月上旬。は葉が完全に展開した後に咲き、側枝の先に長さ4-8cmの総状花序をつけ4-8個の花がつき、花序軸には褐色の毛が密生する。花序に葉状のがあり、苞は卵状で長さ約7mmになり、歯牙があり、花後も宿存して目立つ。花は径1.5-2cmで、白色の5弁花、花柄は長さ1-2.2cmで褐色の毛が密生し、花弁は広楕円形で先は円形、長さ6-8mmになり花時には水平に開く。筒は長さ約3.5mmの鐘形で伏毛があり、萼は5裂し裂片は長楕円形で先はとがり、長さ2.5-3mmになり縁に鋸歯がある。雄蕊は34-38個あり、長さ約10mmになり、花糸には毛がない。花柱は雄蕊と同じ長さ。果実は径約9mmの球形の核果で、紅紫色に熟し7-8月には黒紫色に熟す。完熟しても果肉は苦い[1][2][3]

分布 編集

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の上部から亜高山帯下部に生育し、北国や標高の高いところに多い。蛇紋岩地帯や石灰岩地帯にも生育する。国外では、朝鮮半島、中国大陸東北部、ウスリー、サハリンに分布する[1][3]

名前の由来 編集

和名は、深山に生える桜、深山桜の意で、種小名は、ロシア人で東亜植物研究者のカール・ヨハン・マキシモヴィッチへの献名[2]

ギャラリー 編集

ミヤマザクラ群 編集

ミヤマザクラ群の種は、葉が完全に展開した後に花が咲く。ミヤマザクラ群の分布の中心は、中国大陸南西部であり、四川省から雲南省にかけた地域に5種ほど分布する。ミヤマザクラ群の特徴は、花序が総状につき、花弁の先が円く、凹状に切れ込まないこと、葉状の苞が果期まで残ることなどである。日本に分布するのは、このミヤマザクラ1種のみである[1]

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g 『樹に咲く花(離弁花1) 山溪ハンディ図鑑3』pp.526-529
  2. ^ a b c d e 『新牧野日本植物圖鑑』p.310, p.1336
  3. ^ a b c d 『日本の野生植物 木本I』p.192

参考文献 編集