雲底(うんてい)とは、の最も低い部分のことである。

多数の積雲が同じ雲底高度で浮かぶ。
高山から谷側を撮影すると、雲底を真横から撮影できる。

雲底は、空気の塊が上昇に伴う断熱膨張・冷却によって露点温度に達した高度、あるいは、飽和した空気と飽和していない空気の境目だといえる。エマグラムでいう、持ち上げ凝結高度(LCL)とほぼ同じ。

湿度が高いと、雲底は低くなる傾向にある。

雲底は海抜0mからの高度mft)か、気圧(hPa)で表現する。地上からは主に雲高計(雲底計)で測定する。

雲の種類によって、雲底の傾向には違いがある。積雲や積乱雲のほか、層積雲、高積雲、高層雲は平らで地面と平行な雲底をしていることが多い。ただ、これらの雲も強い下降気流によって雲底がでこぼこすることがある。層雲は地面に接していることが多く、乱層雲は雲底が低くてでこぼこしていることが多い。巻積雲、巻層雲、巻雲はそれほど厚くならない上、高度が高いので、あまり雲底は考えない。

航空機の離着陸時は、雲底が低いと雲により視界が遮られるため、水平視程とあわせて、鉛直視程の目安として雲底高度を観測・報告して利用している。雲底が一定のレベルを下回ると、有視界飛行方式(VFR)から計器飛行方式(IFR)に切り替えられる。

ただ、降水降水雲尾流雲)や煙霧などのときは、雲底高度よりも垂直視程が短くなる。

雲低および雲全体の高度の目安[1][2]
十種雲形 雲全体 中緯度における雲底
高緯度(極・寒帯) 中緯度(温帯) 低緯度(熱帯)
上層 巻雲
巻積雲
巻層雲
3 - 8 km 5 - 13 km 6 - 18 km ふつう 6 - 12 km
※ 冬の積乱雲由来の巻雲は6 km以下に生じることがある
中層 高積雲
高層雲
乱層雲
2 - 4km 2 - 7 km 2 - 8 km ふつう 2 - 6 km
乱層雲はふつう地表 - 3 km
下層 層雲
層積雲
積雲
積乱雲
地表 - 2 km 地表 - 2 km 地表 - 2 km 層雲 : ふつう 地表 - 600 m、ときどき 地表 - 2,000 m
層積雲 : ふつう 300 - 1,350 m、ときどき 300 - 2,000 m
積雲 : ふつう 300 - 1500 m、ときどき 300 - 2,000 m
積乱雲 : ふつう 600 - 1500、ときどき 300 - 2,000 m
※ 標高約 150 m以上ではさらに低いことが多い
なお、乱層雲は上層や下層にもつながっていることがある。高層雲は上層にもつながっていることがある。発達した積雲や積乱雲は雲頂が中層や上層に達する[1]
乾燥地域や熱帯では、この表の範囲から外れた高度に雲底をもつ雲が現れ、観測上混乱のもとになる場合がある[2]

出典 編集

  1. ^ a b Definitions of clouds”. International Cloud Atlas. World Meteorological Organization (2017年). 2023年3月4日閲覧。
  2. ^ a b Chapter 15. Observation of clouds” (pdf). WMO Guide to Meteorological Instruments and Methods of Observation (WMO-No.8, the CIMO Guide). World Meteorological Organization (2014 edition, Updated in 2017). 2023年3月4日閲覧。

関連項目 編集