韓国鉄道8200形電気機関車

8200形電気機関車(8200がたでんききかんしゃ)は、韓国鉄道公社(KORAIL、旧:鉄道庁)が保有する交流電気機関車である。2003年から2008年にかけて83両が製造された。

韓国鉄道公社8200形電気機関車
8200形電気機関車 (京釜線新吉駅にて)
8200形電気機関車 (京釜線新吉駅にて)
基本情報
運用者 韓国鉄道公社
製造所 ロテム
製造年 2003年 - 2008年
製造数 83両
主要諸元
軸配置 Bo-Bo
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25000V/60Hz
機関車重量 88 t
主電動機出力 1,300kW
歯車比 107:17 (6.29)
制御装置 GTO素子VVVFインバータ制御
制動装置 交流回生ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
保安装置 ATS
最高運転速度 150 km/h
設計最高速度 220 km/h
定格出力 5,200 kW
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概要 編集

2003年8000形の後継機として製作された。最初は当初から電化されていた中央線太白線咸白線嶺東線で使用されていたが、2005年以降電化が急速に進むにつれて運行範囲も拡大し、現在は京釜線系統をはじめ広範囲の電化路線で使用されている。客車にサービス電源を供給する補助電源装置(SIV[1])が搭載されているため、電源車の連結を不要としている。セクションを通過する際は瞬間的に回生ブレーキを動作させ、SIVに電力を供給する仕組みとなっているが、回生ブレーキによる電力の供給能力に問題があることから8両以上の客車を牽引する際には電源車を連結している。

本機は、ドイツシーメンス社がヨーロッパの汎用電気機関車として開発した「ユーロスプリンター」(EuroSprinter)のES64F型をベースに、同社の協力により、韓国で製造された系列である。もともとES64F型は、定格出力6,400kW、交流15kV16.7Hzの単電源対応で、最高速度140km/hの貨物用交流電気機関車である。ドイツ鉄道の貨物部門(ドイツレイリオン)では、同形機を152形として運用している。

韓国への導入においては、運用条件を考慮し、定格出力5,200kW、交流25kV60Hzの客貨両用にカスタマイズした上で投入されている。

シーメンス製のGTO素子「SIBAS32」によるVVVFインバータ制御を採用しているため、発車時の磁励音が音階に聞こえるのが特徴である。

運転席は座り心地を配慮したバケットシートが採用されたほか、運転台には小型の冷・温蔵庫が設置されており、機関士の長時間乗務を考慮した設計がされている。

歴史 編集

2003年から2006年にかけて初期型55両が製造され、2008年には後期型28両が製造された。

初期型は当初、車番表記がシールによるものであり、ATPが搭載されていなかったが、2019年現在は後期型と同様に金属プレートによる車番表記となり、ATPが追設された。

2008年に製造された後期型は車番表記が金属プレートによるものに変更され、製造当初よりATPが搭載されたほか、衝突事故対策としてアンチクライマーが取り付けられた。

2019年現在は、事故廃車となった8252号機[2]を除く82両が在籍し、韓国各地の電化路線で主にムグンファ号の牽引に充当されている[3]

 
8200形電気機関車 (京釜線衿井駅にて)

脚注 編集

  1. ^ 供給能力は客車12両分である。
  2. ^ 2017年9月13日に、中央線の楊平駅-元徳駅間で7400形7468号機と8500形8569号機に追突し、大破したため同年中に廃車となった。
  3. ^ ただし京釜線、湖南線全羅線は午前1時から午前5時の間は架線への送電が停止されるため、午後9時以降は運行されない。