将棋 > 将棋の戦法 > 端攻め

端攻め(はしぜめ)とは、将棋の戦術において相手の陣を端側から、盤でみて9筋または1筋から攻める手法。

居飛車振り飛車から、奇襲戦法急戦持久戦また将棋の手合割問わず全ての将棋戦術で生じる攻め方である。たとえば持久戦では、王将を先手で▲8八・8九・9九(穴熊囲い)や9八(米長玉串カツ囲い)、後手で△2二・2一・1一(穴熊囲い)の位置に移動させて囲いを築くことが多く、このためどうしても陣が弱い9筋や1筋に近づくことになるので、端攻めが有効になる。このほか端角が生じる戦法(5五龍中飛車カニカニ銀アヒル囲いなど)を用いた相手に対して、その端を攻撃する手法(将棋の格言「端角には端歩」)がある。

端攻めを代表する将棋の戦法だけでも居飛車で棒銀戦法、矢倉雀刺し相掛かり塚田スペシャル他、他攻撃とからめての攻撃)、角換わりの棒銀や木村定跡地下鉄飛車三間飛車破りでの三歩突き捨て急戦棒金、振り飛車から居飛車穴熊崩しの戦法(藤井システムトマホーク中田功XPなど)等々、いくつかある。

端攻めの例 編集

端攻めは非常に多く存在するが[1]、その中で以下に代表的な攻撃例を示す。

△持ち駒 歩
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△持ち駒 歩
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△持ち駒 歩3
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これは矢倉戦のケースで、先手陣のように▲1五歩-1八飛-1九香型と、香車の頭に飛車を構える陣形の状態に、図のように仮に後手が中央から△5五歩~5五飛と歩交換してくれば、▲1四歩△同歩▲1三歩の端攻め攻撃が生じる。これを△同香ならば図のように▲同角成と角を切ってからの▲5六香が生じている。この▲1五歩-1八飛-1九香型の攻撃態勢では相手の飛車先交換以外でも、布陣を組んだ側の持駒に歩が一枚入ると、常に▲1四歩△同歩▲1三歩の端攻めが生じている。以下△同香には▲同角成△同桂▲1四飛△1二歩となるが、後は飛車を引いておいてからの▲1四歩がある。


△持ち駒 桂
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△持ち駒 桂歩
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△持ち駒 銀桂歩2
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これは有名な美濃囲いを崩す端攻め局面例で、居飛車舟囲い急戦側に、持駒に桂馬と歩が2ないし3枚になると生じる。

図のように先手が▲9五歩△同歩に▲9三歩とする。放置すると次は図の場合は質駒の桂馬を▲4五銀と取って、△同歩に▲9四桂があるので△同香とするが、以下▲9四歩△同香で、やはり桂馬を手に入れて▲8六桂と打ち、やはり次に▲9四桂を狙う。この場合「桂先の銀」△8五銀は▲4五飛が生じており(▲7七桂△8六銀▲同歩もある)△9三銀の受けでは▲8五銀の足し算攻撃が生じている。一方で美濃囲い側の持駒に銀の他に香車があると、▲8五銀でも△9一香と足し算の受けが可能。

図の先手の陣形で桂馬が7七に跳ね、持駒が桂と歩一枚の場合でも▲9五歩△同歩▲9三歩がある。以下△同香に▲8五桂があり、次に▲9三桂成を狙う。▲8五桂に△9四香ならばそこで▲8六桂打が生じる。また持駒の歩が3枚ならば図の▲9五歩△同歩に▲9二歩から打つ手もある。

この▲8六桂打(△2四桂打)や▲6六桂打(△4四桂打)の控え打ちに、もう一枚桂馬が持駒にある場合は▲7四桂打△同歩▲7四桂△7三玉▲8二銀などの手順で美濃囲いを攻略する指し方もあり、これは継ぎ桂(つぎけい)、つなぎ桂とよばれる。

また玉頭位取りのように、先手▲7六(後手△3四)に銀があると、おなじように端攻めから相手の香車を△9四(▲1六)に吊り上げてから▲7六銀~8五銀と銀を進出させる順がある。

脚注 編集

  1. ^ 大内 (1979年)

参考文献 編集

  • 将棋世界(日本将棋連盟発行) プロの端攻めテクニック - 本編 マイナビ出版 2014
  • 大内延介 (1979年) 将棋・端攻め全集 日本将棋連盟
  • 将棋・ひと目の端攻め 攻防の手順がわかる200問 週刊将棋編 日本将棋連盟 毎日コミュニケーションズ文庫 2008
  • 北島忠雄 (2018) すぐに使える!端の絶対手筋 マイナビ出版

関連項目 編集

外部リンク 編集