第一大蔵卿
第一大蔵卿(だいいちおおくらきょう、英: First Lord of the Treasury)は、イギリスの国庫を預かる大蔵卿委員会 (Lords Commissioners of the Treasury) 委員長のことで、イギリスの首相が兼任する役職。駐日英国大使館のウェブページでは、財務第一卿と称している。
![]() 第一大蔵卿 First Lord of the Treasury | |
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担当官庁 | 大蔵卿委員会 |
初代 | ハリファックス伯 |
創設 | 1714年10月13日[1] |
![]() 大蔵卿委員会 Lords Commissioners of the Treasury | |
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![]() 第一大蔵卿官邸(首相官邸) | |
役職 | |
第一大蔵卿(首相兼任) | リシ・スナク |
第二大蔵卿(財務大臣兼任) | ジェレミー・ハント |
概要 | |
設置 | 1714年 |
解説編集
1714年に大蔵卿 が廃止されるのに伴い、王室財政を担当する機関として大蔵卿委員会が創設された。その長である第一大蔵卿の歴史もこの時に始まる。
初期の大蔵卿委員は年功序列によって「第一大蔵卿」「第二――」…と番号が割り振られていた(21世紀の現在では第一・第二卿、他に6人の委員、計8人がいる)が、次第に第一大蔵卿が政府の首席とみなされるようになる。1721年のロバート・ウォルポール以後、事実上の首相となり、以降財政を司るのは、大蔵卿委員会の次席である第二大蔵卿 (Second Lord of the Treasury) を兼務する財務大臣 (Chancellor of the Exchequer) となった。
「首相 (Prime minister) 」は、その後も俗称にすぎなかったが、アーサー・バルフォア内閣時代の1905年になって正式な官職となった。首相は、わずかな例外を除いて第一大蔵卿を兼任するのが慣例である。ウィリアム・ピット(小ピット)は、首相兼第一大蔵卿のあり方について「財政の先頭にある人であるべきだ(ought to be the person at the head of the finances.)」という言葉を残している[2]。1942年までは英国議会の庶民院院内総務又は貴族院院内総務も兼ねるのが通例であった。
なお、イングランドでは、宮廷内の財務を扱う大蔵省 (Treasury) と国家財政を扱う財務省 (Exchequer) とが別箇の官庁であったが、チャールズ・グレイ内閣時代の1833年の行政改革により、大蔵省に統合された。
参考編集
- ^ ウィキペディア英語版「First Lord of the Treasury」掲載のリストに基づく。
- ^ Andrew Blick and George Jones (2010年6月). “The power of the Prime Minister” (English). History & Policy. United Kingdom: History & Policy. 2011年8月14日閲覧。