衰退途上国(すいたいとじょうこく)は、一般的に国家の形態を表す言葉とみなされる。

概要 編集

一般的に、衰退途上国は発展途上国とは対義的な国家とされる[1]

財務省研究員によると、衰退途上国とは先進国よりも低い生産性を続けて、為替レートが安くなり、インフレーションになっても所得が伸びず、1人当たりの国民所得が低くなり、先進国からはるかに低い所得水準に落ちていくということである[2]

財務省の研究員によると、日本バブル崩壊後の政治改革議論の中では与野党はとにかく政権を獲得することを目指して、政治家官僚を悪者にして民意に訴えるという手法が主流になっている。このように政策に正面から取り組まずに部下を悪者呼ばわりしているようでは組織は発展しないとする。国家の社長は国民である。社長が社員を駄目だと思っているようでは会社は発展することは無いとしている。このようにして日本は衰退途上国へと進んで行っているとしている[2]

衰退途上国とは日本のことであるとされることがある。2019年時点では日本の1人あたりの名目GDPは世界で26位。だが2000年には日本は世界で2位だったのが、順位を落とし続けて18年間で26位にまで下落してしまったのである。そして2019年時点でのここ20年間の日本の経済成長率は、先進国の中では最下位である。名目GDPの国別ランキングでは日本は3位であるものの、実態の経済力の差は大きく開いている。これらの酷い数字から、日本は衰退途上国であるといえる。だが日本国民の多くはこの現実を受け止めておらず、まだ日本は経済大国であるという認識を持ち続けている[3]

経済の成長力や勢いでは日本はシンガポールマレーシアに抜かれている。電子産業やITの分野では中国韓国台湾に追い越されて挽回する気配も無い。世界における競争力も存在感も衰えるばかりの国家である。これらのことから日本は衰退途上国とされる[4]

日本企業が多く進出しているタイ王国では、日本は衰退途上国に入っているという一端が見える。タイの首都バンコクの人材紹介会社では、日本企業は給料が安いために敬遠されるようになっている。日本企業は入社時は給料は高いもののそれからの年収が伸びず、課長クラスではタイ企業の方が高くなっており、そこから先は差が開く一方となっている[5]

橘玲は日本が衰退途上国になっているのは、日本国民は国内に留まっていても生きていける状態であるからとする。現代の日本の若者というのは、与えられた条件の中でリスクに対して最もリターンが大きな合理的な選択をしようとしているとする。対して明治から戦後にかけて多くの日本人が決死の覚悟でアメリカやブラジルに渡っていたのは日本は貧しくて他に生きていく術が無かったためである。高度経済成長の時期にアメリカの大学に留学する日本人が増えていたのは、日本と欧米の差はまだまだ大きく、海外の知識を日本に持ち込むだけで大きな利益と名声を手にすることができていたためである。これから日本がもっと貧乏になり国内に留まっているようでは生きていけないほどになれば、若者は再び海外を目指すようになるとする[6]

2023年から2024年にかけては、幻冬舎のゴールドオンラインでは、日本が衰退途上国から抜け出すための連載が行われる[7]

脚注 編集