見当たり捜査
見当たり捜査(みあたりそうさ)とは、警察の捜査手法の一つ。警察官が被疑者の顔写真や外見的特徴を記憶し、繁華街や駅などの雑踏の中から、または被疑者が行きそうな場所へ先回りして被疑者を見つけ出すこと。
概要 編集
警察官(人混みに紛れる必要上、私服の捜査員。目立ち過ぎる背広姿でもない、完全な休暇中風)が駅や空港、繁華街などでパトロール、辻立ちを行う中で行う日常的な捜査方法の一つ。捜査員の中には500人近くの顔写真を記憶して臨む者もいる[1]。日本では11月頃に行われる指名手配被疑者捜査強化月間においては特に強化される[2][3]。1978年に大阪府警察で初めて開始された[4][5]。
効果 編集
監視カメラやAIなどを活用した捜査[6]などと比べて古典的な捜査方法となりつつあるが、世界的に行われて成果を収めている。特に、埼玉県警察の見当たり班員・中村(仮名)刑事は「AIやカメラは目撃者にはなり得ても逮捕が出来ない」[7][8]、大阪府警の担当者は「カメラだと誤認があり得る。見当たりなら最後には人間が判断する」[9]。職務質問にしても相手の氏名が分かっているので、声を掛ける時に名を呼べば観念するという。
日本では警視庁刑事部捜査共助課見当たり捜査班・北海道警察・大阪府警察(日本で初導入)・福岡(刑事部刑事総務課)他9県に専従班がある。兵庫県警察の例では、2008年9月に「見当たり捜査班」を発足させて以来、2020年までに200人近くを逮捕している[5]。
イギリスのバーミンガム、ウエスト・ミッドランズ警察署の警察補助員は、2018年には発見した容疑者が1000人を突破して話題となった[10]。
ドラマ・小説の題材として 編集
脚注 編集
- ^ “手配犯500人の顔記憶!〝刑事の勘〟「見当たり捜査」摘発4千人を突破…大阪府警「職人技」導入38年、13都道府県警に拡大(1/2)”. 産経新聞 (2016年8月24日). 2020年12月19日閲覧。
- ^ “あなたの通報が検挙につながる 指名手配被疑者の捜査にご協力を”. 政府広報ホームページ (2019年8月13日). 2020年12月19日閲覧。
- ^ “指名手配318人摘発 強化月間で全国警察”. 産経新聞iza (2020年12月18日). 2020年12月19日閲覧。
- ^ 「あの目は間違いない」 捜査員の執念、数百人の顔記憶朝日新聞2017年11月18日
- ^ a b “捜査員「俺の目はごまかせん」…マスク姿でも雑踏の中から容疑者見つけ出す”. 読売新聞 (2020年8月14日). 2020年12月19日閲覧。
- ^ “顔認証社会 中国 光と影 ライブ会場 容疑者発見 市民活動の監視強化 懸念も”. 西日本新聞 (2018年6月18日). 2020年12月19日閲覧。
- ^ 顔写真から容疑者を発見 「見当たり捜査」の極意に迫る、NHK「事件記者取材NOTE」
- ^ 中村刑事が容疑者を検挙した際の報道。埼玉の女性殺害事件、41歳の知人の男を殺人容疑で逮捕朝日新聞2019年6月15日
- ^ 手配犯500人の顔記憶!〝刑事の勘〟 「見当たり捜査」摘発4千人を突破…大阪府警「職人技」導入38年、13都道府県警に拡大(2/2) 産経新聞大阪2016年8月24日
- ^ “手配人の顔を記憶、2000人を発見 英バーミンガムの警官”. BBC (2020年12月29日). 2020年12月19日閲覧。