赤と白とロイヤルブルー

赤と白とロイヤルブルー』(原題:Red, White & Royal Blue)は2023年のアメリカのロマンティック・コメディ映画。監督はマシュー・ロペス英語版ケイシー・マクイストン英語版による2019年の同名の小説が原作で、テイラー・ザカー・ペレス英語版演じるアメリカ合衆国大統領の息子とニコラス・ガリツィン演じるイギリスの王子が恋に落ちる。

赤と白とロイヤルブルー
監督 マシュー・ロペス英語版
脚本
  • マシュー・ロペス
  • テッド・マラワー
原作 ケイシー・マクイストン英語版
Red, White & Royal Blue
製作
出演者
音楽 Drum & Lace英語版
撮影 スティーヴン・ゴールドブラット
編集
製作会社
配給 Amazon Prime Video
公開
  • 2023年7月22日 (2023-07-22) (BFI IMAX)
  • 2023年8月11日 (2023-08-11)
上映時間 121分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
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2019年にAmazonスタジオグレッグ・バーランティをプロデューサーに映画化の企画をしていることを発表。ロペスは2021年に監督およびマラワーと共同脚本として発表された。キャスティングの発表は2022年6月にペレス、ガリツィン、サーマンのそれぞれの役から始まり、他の主要キャストは翌月に発表された。

本作のプレミアはロンドンのBFI IMAX英語版で2023年7月22日に行われ、同年8月11日にAmazon Prime Video で配信開始した。

また日本では二見書房より原作小説の邦訳版『赤と白とロイヤルブルー』の書籍が2021年に刊行されている。

あらすじ 編集

アメリカ合衆国初の女性大統領であるエレン・クレアモントの息子、アレックス・クレアモント・ディアスは、イギリス国王の皇太孫・フィリップ王子の結婚式に招待され、親友のノーラ・ホレランと同行する。アレックスはフィリップの弟で王位継承者のスペアであるヘンリー王子をとても嫌っている。披露宴の最中、アレックスとヘンリーは口論になった結果ウェディングケーキを倒壊させ二人はケーキまみれになり、次の朝刊で政治的にやっかいな記事になる。

この事件の報道からくるとりわけエレンの再選への影響を和らげるため、アレックスとヘンリーは友人関係を装って一連のインタビューや公の場に出ることを強いられる。その際、アレックスは大統領の息子として初の公の場でヘンリーに拒絶されたことで彼を嫌いになったと明かす。ヘンリーは父が亡くなったばかりにもかかわらず公の場から退くこと許されなかったため、冷淡な態度になってしまったことを明らかにする。誤解が解け二人は仲直りし、電話番号を交換して友達になる。

アレックスのニューイヤーズパーティーに招待されたヘンリーは、アレックスが複数の女の子とキスする瞬間を目撃し、突然その場を去る。アレックスはヘンリーを追って庭に出るとキスをされ、ヘンリーは帰ってしまう。アレックスはヘンリーに連絡をとるも数ヶ月にわたり無視され困惑する。これらのことをノーラに打ち明けた後、アレックスはヘンリーに惹かれていることに気づく。

数週間後の大統領晩餐会でアレックスはヘンリーと再会し、キスをする。二人は体だけの付き合いを始めるが、ノーラ、ヘンリーの妹・ベアトリスと親友・パーシー、シークレットサービスMI5のボディガード以外には自分たちの関係を秘密にする。

二人はパリで再会する。ホテルの部屋で二人きりになり、ヘンリーは愛を交わすべきだと提案する。アレックスは同意するが、これまで他の男性とセックスしたことがないため緊張していた。ヘンリーはアレックスに男性間のセックスの初体験をさせる。その後、二人はベッドでお互いの人生について語り合う。

アレックスが次の選挙で母親がテキサス州で勝利するための計画を思いつく。エレンはアレックスをテキサス州に派遣し、選挙運動を主導させる。その後、アレックスはブルックリン民主党全国大会で講演するためにニューヨークに行く。ヘンリーがサプライズで訪ね、二人はそのまま一夜を共にする。翌朝、寝坊したアレックスを起こしにきたホワイトハウス副首席補佐官のザハラが二人の関係を知って叱責し、ヘンリーにすぐさまイギリスへ帰国するよう要求する。アレックスは後にエレンにカミングアウトする。エレンは支えとなるが、彼らの普通ではない境遇から必ず生じるすべての課題を考慮し、自分達の関係を慎重に考えるようアドバイスする。

アレックスはヘンリー、ノーラ、パーシーをオースティンにある父親の別荘に招待する。アレックスはヘンリーに恋に落ちていることを打ち明け始めるが、ヘンリーは困惑して会話から逃げる。ヘンリーはイギリスに急いで戻ってしまい、アレックスの連絡にも応じようとしない。アレックスは突然ヘンリーの元を訪ね、彼の行動の真意を追及する。ヘンリーはアレックスが自分を愛しているのと同じように、自分もアレックスを愛していることを認めるが、王族という立場上、同性愛関係は不可能であると説明する。アレックスはヘンリーの不安は杞憂であると断言し、二人は和解する。

アレックスがホワイトハウスに戻った翌朝、アレックスとヘンリーがお互いに送っていた私的なメールが報道機関に漏洩してしまう。ホワイトハウスも宮殿も一切の連絡を遮断したが、ザハラが密かに恋愛関係にあったヘンリーの侍従であるシャーンと連絡を取る。アレックスはヘンリーと再会するためにすぐにロンドンへ飛ぶ。イギリス国王は二人を招集し、彼らの愛は本物だと信じているが、二人の関係は王室の伝統にそぐわないため一緒になることができないと告げる。しかし、アレックスとヘンリーは、バッキンガム宮殿の門の前に彼らを支持する大勢の人々が集まっていることに気づく。二人は一緒に外に出て、初めてカップルとして公に挨拶する。

選挙の夜、アレックスと一緒にいるためヘンリーはアメリカに戻る。母親のためにテキサスを勝ち取るアレックスの計画は、最終的に母親の再選をもたらす。お祝いのため、アレックスとヘンリーはアレックスが幼少期を過ごした家を訪れる。

登場人物 編集

アレックス・クレアモント・ディアス
演 - テイラー・ザカー・ペレス英語版、日本語吹替 - 小林親弘[1]
アメリカ合衆国大統領の長男[2]
ヘンリー王子
演 - ニコラス・ガリツィン、日本語吹替 - 益山武明
イギリス王室の王位継承者[2]
オスカー・ディアス上院議員
演 - クリフトン・コリンズ・Jr、日本語吹替 - 平林剛[3]
アレックスの父[4]
ザハラ・バンクストン
演 - サラ・シャヒ、日本語吹替 - 斎藤恵理
エレンの首席補佐官代理[2]
ノーラ・ホレラン
演 - レイチェル・ヒルソン、日本語吹替 - 大平あひる
アレックスの親友で、アメリカ合衆国副大統領の孫[2]
ジェームズ3世国王
演 - スティーヴン・フライ、日本語吹替 - 立川三貴
ヘンリーの祖父[5]
エレン・クレアモント
演 - ユマ・サーマン、日本語吹替 - 唐沢潤
アメリカ合衆国初の女性大統領で、アレックスの母[2]
ビアトリス
演 - エリー・バンバー英語版
ヘンリーの妹[2]
フィリップ王子
演 - トーマス・フリン
ヘンリーの兄[6]
パーシー・オコンジョ
演 - マルコム・アトブラ
ヘンリーの親友[7]
シャーン
演 - アクシー・カンナ
ヘンリーの侍従。
イギリス首相
演 - シャロン・D・クラーク英語版
エイミー
演 - アニーシュ・シェス英語版
アレックスのシークレットサービス[4][8]
ミゲル・ラモス
演 - ジュアン・カスタノ、日本語吹替 - 星野貴紀
政治記者。アレックスとは過去に一時的な情事にあった。

その他、大統領選挙でエレンと対立する共和党の大統領候補、ジェフリー・リチャーズをドナルド・セージ・マッケイが演じており、ニュースキャスターとしてレイチェル・マドージョイ・レイド英語版が登場する。また、原作者のケイシー・マクイストンがカメオ出演している。

制作 編集

 
ヴィクトリア&アルバート博物館の彫刻ギャラリー

企画 編集

2019年4月、Amazonスタジオが本作の映画化権を獲得したこと、バーランティ・プロダクションの子会社であるバーランティ・スケッチャー・フィルムズによって制作されることが報道される[9]。2021年10月、ロペスが監督およびテッド・マラワーによる脚本草稿のリライトとして報道された[10][11]

キャスティング 編集

2022年6月、ペレスとガリツィンがそれぞれアレックスとヘンリーとして映画を主演することが発表される[12]。続いてサーマンがエレン役として確認された[13]。同月、コリンズ、フライ、シャヒ、ヒルソン、バンバー、シェス、ポロ・モーリン、アーメッド・エルハッジ、カンナがキャストに加わったことも発表され、プロダクションがイギリスで始められた[12][14]。2022年7月、クラーク、アトブラ、フリンのキャスティングが発表された[15]

撮影 編集

主要撮影は2022年6月にイギリスで始められ、同年8月に撮影終了した[16][17]。ヴィクトリア&アルバート博物館の彫刻ギャラリーがダンスシーンで登場した[18][19][20]

音楽 編集

Drum & Lace英語版が劇伴を担当した[21]。サウンドトラックアルバムはレイクショーア・レコーズより2023年8月11日にリリースされた[22]

アルバムにはアーティストのVagabon英語版オリバー・シム英語版による楽曲が収録されている。Vagabonによる「If I Loved You英語版」は映画の配信に先立って2023年7月26日にプロモーション・シングルとしてリリースされた。この曲はミュージカル『Carousel』の楽曲のカバーである。[23]続く同年8月3日には、シムの2022年のアルバム『Hideous Bastard英語版』 の収録曲でもある「Fruit」のオーケストラver.がリリースされた[24]

配信 編集

SAG-AFTRAストライキで俳優達が不在の中、2023年7月22日にロンドンのBFI IMAXでワールド・プレミアが行われた。ロペスはプロダクションメンバーの中で唯一出席していたが、全米脚本家組合ストライキ中でもあったため、レッドカーペットを歩かず、インタビューにも応じなかった[25]

2023年8月11日にAmazon Prime Videoで配信が開始された[26]。配信初週末では、同プラットフォーム上で世界トップの視聴数を記録した[27]

脚注 編集

  1. ^ 本人投稿より”. 2024年3月6日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Tinoco, Armando (2023年6月12日). “Red, White & Royal Blue: First Look Photos Of Prime Video's Gay Rom-Com Film Adaptation”. Deadline Hollywood. 2023年6月15日閲覧。
  3. ^ 本人投稿”. 2024年3月6日閲覧。
  4. ^ a b @RWRBonPrime (2023年7月24日). "america, this is *my* first family. #RWRBMovie". X(旧Twitter)より2023年7月25日閲覧
  5. ^ H., Lea (2022年8月12日). “Stephen Fry talks about his role in the Red White and Royal Blue movie”. Q+. 2023年7月6日閲覧。
  6. ^ @RWRBonPrime (2023年7月25日). "oh, this is the royal family? i'm sat. #RWRBMovie" (英語). X(旧Twitter)より2023年8月10日閲覧
  7. ^ Gibson, Kelsie (April 26, 2023). “Everything to Know About Amazon Prime Video's Red, White & Royal Blue Film”. People. https://people.com/movies/red-white-and-royal-blue-movie-everything-to-know/ 2023年4月29日閲覧。. 
  8. ^ Stroude, Will (2023年7月25日). “Trans Red, White & Royal Blue star Aneesh Sheth says the LGBTQ+ romantic comedy ‘changed her life’”. PinkNews. https://www.thepinknews.com/2023/07/25/aneesh-sheth-trans-red-white-and-royal-blue-amy/ 2023年8月12日閲覧。 
  9. ^ Fleming, Mike Jr. (2019年4月10日). “Amazon Studios, Berlanti Productions Win Casey McQuiston Novel Red White & Royal Blue”. Deadline Hollywood. 2023年4月29日閲覧。
  10. ^ Lang, Brent (2021-10-01). “Tony Winner Matthew López to Make Directorial Debut With LGBTQ+ Romance Red, White & Royal Blu (Exclusive)”. Variety. https://variety.com/2021/film/news/matthew-lopez-red-white-and-royal-blue-1235079067/ 2023年4月29日閲覧。. 
  11. ^ Red, White & Royal Blue”. Writers Guild of America. 2023年4月29日閲覧。
  12. ^ a b Donnelly, Matt (2022-06-01). “Amazon's Gay Rom-Com Red, White & Royal Blue Finds Leads in Taylor Zakhar Perez, Nicholas Galitzine”. Variety. https://variety.com/2022/film/news/red-white-royal-blue-movie-gay-rom-com-leads-1235282600/ 2022年6月2日閲覧。. 
  13. ^ Grobar, Matt (2022年6月2日). “Red, White & Royal Blue: Uma Thurman To Play U.S. President In Amazon's Rom-Com Based On Casey McQuiston Novel”. Deadline Hollywood. 2022年6月2日閲覧。
  14. ^ Grobar, Matt (2022年6月1日). “Taylor Zakhar Perez, Nicholas Galitzine To Topline Amazon Rom-Com Red, White & Royal Blue From Director Matthew López; Clifton Collins Jr., Stephen Fry & Sarah Shahi Also Set”. https://deadline.com/2022/06/taylor-zakhar-perez-nicholas-galitzine-to-lead-red-white-royal-blue-1235036355/ 2022年6月2日閲覧。 
  15. ^ Jackson, Angelique (2022-07-13). “Sharon D Clarke, Thomas Flynn and Malcolm Atobrah Join Matthew López's Rom-Com Red, White & Royal Blue. Variety. https://variety.com/2022/film/news/red-white-royal-blue-sharon-d-clarke-1235314812/ 2022年7月13日閲覧。. 
  16. ^ Grobar, Matt (2022年6月1日). “Taylor Zakhar Perez, Nicholas Galitzine To Topline Amazon Rom-Com Red, White & Royal Blue From Director Matthew López; Clifton Collins Jr., Stephen Fry & Sarah Shahi Also Set”. Deadline Hollywood. 2022年11月16日閲覧。
  17. ^ Maskell, Emily (15 August 2022). Red, White & Royal Blue stars confirm filming has wrapped on gay rom-com”. Attitude. https://attitude.co.uk/article/red-white-and-royal-blue-stars-confirm-filming-has-wrapped-on-gay-rom-com/27651/ 2022年8月16日閲覧。. 
  18. ^ https://ew.com/movies/red-white-royal-blue-victoria-and-albert-museum-scene/
  19. ^ https://www.looper.com/1363525/red-white-royal-blue-movie-v-and-a-museum-real-life/
  20. ^ https://www.sceen-it.com/sceen/7299/Red-White-Royal-Blue/Victoria-and-Albert-Museum
  21. ^ Drum & Lace Scoring Matthew López's 'Red White & Royal Blue'”. Film Music Reporter (2023年4月14日). 2023年8月5日閲覧。
  22. ^ 'Red, White & Royal Blue' Soundtrack Album Announced”. Film Music Reporter (2023年7月27日). 2023年8月5日閲覧。
  23. ^ If I Loved You (From the Amazon Original Movie "Red, White & Royal Blue")” (2023年7月26日). 2023年8月5日閲覧。
  24. ^ “27 New Songs Out Today”. (2023年8月4日). https://www.brooklynvegan.com/27-new-songs-out-today-42/ 2023年8月4日閲覧。 
  25. ^ Bamigboye, Baz (2023年7月28日). “Breaking Baz: Empty Red Carpet For London Premiere Of 'Red, White & Royal Blue' Amid Strikes; Stars Absent, Writer-Director Poses With Back To Camera”. Deadline Hollywood. 2023年7月28日閲覧。
  26. ^ Franklin, McKinley (July 6, 2023). “'Red, White & Royal Blue' Trailer: Taylor Zakhar Perez and Nicholas Galitzine Heat Up the Palace in Gay Royal Romance”. Variety. https://variety.com/2023/film/news/red-white-and-royal-blue-trailer-1235624294/ 2023年8月5日閲覧。. 
  27. ^ Campione, Katie (2023年8月16日). “Red, White & Royal Blue Becomes Prime Video’s No. 1 Movie Globally In Premiere Weekend”. Deadline Hollywood. 2023年8月17日閲覧。

外部リンク 編集