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野埼(のさき[9])は、日本海軍特務艦。雑役船「南海」として竣工[1]、後に運送艦(給糧艦)に類別された[10]。片桐大自の研究によれば、艦名は大分県佐伯湾野埼鼻にちなむとされる[10]

野埼
1941年3月、下関沖で公試中と推定される「南海」(後の「野埼」)[1]
1941年3月、下関沖で公試中と推定される「南海」(後の「野埼」)[1]
基本情報
建造所 三菱重工業下関造船所[2]
運用者  大日本帝国海軍
艦種 運送艦[2](給糧艦)
艦歴
計画 昭和14年度(1939年)[3]
起工 1939年10月18日[4]
進水 1940年7月22日[4]
竣工 1941年3月18日[4]
最期 1944年12月28日沈没[2]
除籍 1945年3月10日[2]
要目(計画)
基準排水量 640英トン[5]
公試排水量 660トン[6]
全長 53.80m[6]
水線長 49.03m[6]
垂線間長 48.37m[6]
最大幅 8.20m[6]
深さ 3.90m[6]
吃水 公試状態 2.88m[6]
主機 艦本式23号乙6型ディーゼル2基[2][4][注釈 1]
推進 2軸[4]
出力 1,200hp[6]
速力 13.0ノット[5]
燃料 重油 33トン[6]
航続距離 2,000カイリ / 12ノット[6]
乗員 計画乗員 35名[4]
1942年定員 37名[7]
兵装 8cm単装高角砲1門[6]
7.7mm機銃2挺[6]
その他 補給物件
生糧品43.1トン[6](3,000人10日分[8])
真水40トン[6]
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計画、建造編集

軍需部の要望として、冷凍品や生糧品の補給と、漁場で直接買い付けた魚をその場で冷凍し供給する艦があった[3]。 そこで昭和14年度(1939年)に小型と中型の冷凍船をそれぞれ1隻建造し、比較検討することとなった[3]。 小型船の方はトロール船の建造経験が深い三菱重工業下関造船所で雑役船として建造され、「冷凍船」に類別された[3]

艦型編集

船体は3島型とし[11]、船艙には肉、魚、野菜など合計235立方メートルの冷凍庫を設置、3,000人10日分の生糧品が冷凍庫で約2カ月間保存できた[8]。 生糧品の揚収のために前部マストにデリックを1トン1本、3トン1本の計2本を装備した[12]。 後部には小さい雑品倉庫があり[6]、 後部マストにもデリックを2本装備した[13]。 兵装は艦首に砲台を設け[2] 8cm単装高角砲1門を装備、その他7.7mm機銃2挺も装備した[6]。 全体として民間のトロール船や冷凍船と大きな違いはないが、海軍の補給船として兵器、補給用真水を搭載し、民間船より速力があり、乗員が多いなどの違いが出た[11]

中型冷凍船(後の「杵崎」)との比較の結果、艦型が小型すぎるとして同型艦は建造されなかった[3]

運用編集

1941年(昭和16年)3月の完成当時には冷凍運搬船として使われる予定であったが艦隊への食料補給などを行っていたため艦種変更を受け艦名を「野埼」とされた。大戦中は高雄から香港、海南島方面への補給に従事、1944年後半には護衛艦としての役割も担うようになり12月28日に沈没した[2]

艦歴編集

特務艦長編集

  1. 坂野正己 予備大尉:1942年4月1日[19] - 1942年11月20日[20]
  2. 石井留吉 予備大尉/大尉:1942年11月20日[20] - 1943年7月20日[21]
  3. 磯村留男 大尉:1943年7月20日[21] - 1944年12月28日 戦死、同日付任海軍少佐[22]

脚注編集

注釈編集

  1. ^ #海軍造船技術概要p.915では「艦本式23号甲6型ディーゼル2基」となっている。

出典編集

  1. ^ a b #日本海軍全艦艇史p.868
  2. ^ a b c d e f g #日本海軍特務艦船史p.30
  3. ^ a b c d e #海軍造船技術概要p.913。
  4. ^ a b c d e f g h i #昭和造船史第1巻pp.794-795。
  5. ^ a b #海軍造船技術概要p.937。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p #海軍造船技術概要p.915。
  7. ^ 昭和17年4月1日付 内令第560号別表』 アジア歴史資料センター Ref.C12070162200 
  8. ^ a b 『海軍造船技術概要』916頁。
  9. ^ a b 昭和17年4月1日付 海軍大臣達 第93号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C12070114600 で閲覧可能。のざきではない。
  10. ^ a b c #聯合艦隊軍艦銘銘伝pp.595-596。
  11. ^ a b #海軍造船技術概要p.914。
  12. ^ #海軍造船技術概要pp.914-915。
  13. ^ #日本海軍特務艦船史p.30の写真、及び艦型図による。
  14. ^ 昭和15年7月1日付 海軍大臣官房 官房第305号ノ6』 アジア歴史資料センター Ref.C12070389000 
  15. ^ 昭和15年10月25日付 海軍大臣官房 官房第433号ノ10。
  16. ^ 昭和17年4月1日付 海軍内令 第550号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C12070162200 で閲覧可能。
  17. ^ #日本海軍全艦艇史艦歴表30頁。
  18. ^ 昭和20年3月10日付 海軍内令 第228号。
  19. ^ 昭和17年4月1日付 海軍辞令公報 (部内限) 第837号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072085000 で閲覧可能。
  20. ^ a b 昭和17年11月20日付 海軍辞令公報 (部内限) 第992号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072088200 で閲覧可能。
  21. ^ a b 昭和18年7月20日付 海軍辞令公報 (部内限) 第1174号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072092200 で閲覧可能。
  22. ^ 昭和20年8月29日付 秘海軍辞令公報 甲 第1899号。アジア歴史資料センター レファレンスコード C13072107000 で閲覧可能。

参考文献編集

  • 片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝<普及版> 全八六〇余隻の栄光と悲劇』光人社、2014年(原著1993年)。ISBN 978-4-7698-1565-5
  • 福井静夫『写真 日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1
  • 『海軍造船技術概要』牧野茂福井静夫/編、今日の話題社、1987年。ISBN 4-87565-205-4
  • 『昭和造船史(第1巻)』(社)日本造船学会/編、原書房〈明治百年史叢書〉、1981年(原著1977年)、第3版。ISBN 4-562-00302-2
  • 『日本海軍特務艦船史』第522集(増刊第47集)、海人社〈世界の艦船〉、1997年3月。

関連項目編集