髄膜炎菌

主に髄膜炎を生じる細菌
髄膜炎菌感染症から転送)

髄膜炎菌(ずいまくえんきん、Neisseria meningitidis)とは、主に髄膜炎を生じる細菌

髄膜炎菌
Neisseria meningitidis
分類
ドメイン : 細菌 Bacteria
: プロテオバクテリア門
Proteobacteria
: βプロテオバクテリア綱
Beta Proteobacteria
: ナイセリア目 Neisseriales
: ナイセリア科 Neisseriaceae
: ナイセリア属 Neisseria
: 髄膜炎菌 N. meningitidis
学名
Neisseria meningitidis
Albrecht & Ghon 1901

歴史

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1887年オーストリア病理学者Anton Weichselbaumによって初めて分離された。

特徴

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淋菌と同じナイセリア属グラム陰性双球菌で、ヒトが保菌者であり鼻腔や上咽頭から分離される。飛沫感染により伝搬する。日本では戦中戦後に感染流行があったが、2014年では年平均30人以下になっている。5度以下の低温では不活化(死滅)してしまう。

血清型

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  • 血清型:serogroup
莢膜多糖体の種類で基本的に以下の13種類に類別される。臨床的に感染症状を生じるものは「A, B, C, Y, W-135」がほとんどである。
  • A, B, C, D, X, Y, Z, E, W-135, H, I, K, L
  • Multilocus sequence typing:MLST
細菌の生存遺伝子(house keeping gene)の塩基配列を解析することによる分子生物学的な分類方法。髄膜炎菌で最初に施行され、他黄色ブドウ球菌カンピロバクター等様々な細菌で行われている。

予防

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予防接種は、主に以下の2種類がある。2歳以上の小児に接種が推奨。血清B群の精製莢膜多糖体ワクチンは免疫惹起力が非常に弱いとされ、有効な予防ワクチンの開発は難渋されている。

  • 多糖体ワクチン(Meningococcal polysaccharide vaccine:MPSV4)
A、C、Y、W-135群の莢膜多糖体抗原製剤。
  • 結合型ワクチン(Meningococcal conjugate vaccine:MCV4)
A、C、Y、W-135群の莢膜多糖体抗原に、以下の蛋白を結合させた製剤。
  • Meningococcal polysaccharide diphtheria toxoid conjugate vaccine(MCV4-DT):ジフテリアトキソイドに結合させたもの(メナクトラ:Menactra®)
  • Meningococcal oligosaccharide diphtheria CRM197 conjugate vaccine(MCV4-CRM):無毒化の変異ジフテリアトキソイド(CRM197)に結合させたもの
  • Meningococcal polysaccharide tetanus toxoid conjugate vaccine(MCV4-T):破傷風トキソイドに結合させたもの

2歳未満には原則として投与しないが、どうしても必要な理由がある場合には生後3ヶ月から2歳未満の接種をしても良い。小児期には基本的にMCV4が推奨されているが、近年、ギラン・バレー症候群急性散在性脳脊髄炎の報告例(因果関係未証明)があったため、MCV4をためらいMPSV4を選択する親や医療従事者もある。なお、思春期以降は従来通りMPSV4を投与するのがよいとされ、下述、流行地域への渡航の際は海外ではMPSV4が一般的であるが、日本ではMCV4-DTのみ認可されている。

髄膜炎菌はアフリカ中東を中心に流行し、アフリカでは「髄膜炎ベルト」と呼ばれるように、サハラ以南を中心に流行地帯がある。特にサウジアラビアメッカへの巡礼(ハッジ)において流行することが多いため、参加する場合はワクチン接種が、ハッジ(大巡礼)では査証取得に必須、ウムラ(小巡礼)では推奨されている。

それ以外の地域も散発的に発生するため、一般論としては、予防接種を終了してからの渡航が賢明であろう。また米国英国の学校に入学(特に入寮)する際に接種証明が求められることが多い。多くの州では努力義務、または免責書類に署名。

日本でのワクチンは自由診療であり、上記の渡航前の他に、発作性夜間血色素尿症(PNH)における分子標的治療薬エクリズマブ(ソリリス)」を投与する患者や、脾臓摘出術や無脾の患者への摂取が推奨されている。

治療

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基本的に抗菌薬としてペニシリン系やセフェム系抗生物質が有効。また、感染接触者への予防投与としてリファンピシン等投与も行われる。

外部リンク

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