魔術師 (江戸川乱歩)

江戸川乱歩による日本の小説

魔術師』(まじゅつし)は、江戸川乱歩の著した長編推理小説1930年昭和5年)7月から『講談倶楽部』に掲載された。『講談倶楽部』において圧倒的な人気を得た前作『蜘蛛男』に続く通俗長編路線の第2弾。名探偵明智小五郎の恋愛を織り込み、奇妙な暗号めいた脅迫文、残酷な殺人方法、奇怪な死体の扱い、手に汗握る追跡劇、陰惨な過去の因縁など多彩な要素と展開を盛り込み、またもヒットした。

登場人物

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  • 明智小五郎:探偵
  • 奥村源造:表の顔は魔術師だが実は賊の首領
  • 奥村文代:源造の娘
  • 玉村妙子:玉村家の令嬢
  • 玉村一郎:玉村家の長男
  • 玉村二郎:玉村家の次男
  • 玉村善太郎:東京の大宝石商で玉村妙子らの父親
  • 福田得二郎:玉村善太郎の実弟で実業家
  • 進一:両親と死に別れ妙子が引き取った子供
  • 牛原耕造:玉村宝石店の上得意の成金

あらすじ

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蜘蛛男』の事件解決後、信州湖畔のホテルで静養していた明智小五郎は、そこで宝石商玉村善太郎の娘、妙子と知り合い、互いに好意を抱く。やがて妙子が先に帰京すると、妙子の叔父の福田得二郎に奇妙な脅迫状が届く。妙子に助力を要請された明智も帰京するが、明智は上野駅で何者かに誘拐されてしまい、そのあいだに得二郎は殺害され、その生首が隅田川で「獄門舟」としてさらしものにされる。目が覚めた明智に、賊の首領は、自分の復讐が成し遂げられるまでこの船中でおとなしくしておいてほしいだけだという。明智は賊の娘文代の助けを得て、ボートで脱出するが、海は大荒れで、数日後、明智溺死の報が新聞に載る。やがて、妙子が屋敷内で何者かに刺され重傷を負い、次には長男の一郎が大時計の針であわや断首されそうになり、さらには次男の二郎の恋人洋子が誘拐されて、見世物の魔術ショーで殺されるというできことが起こる。実は生きていて庭師音吉として玉村家を警護していた明智と二郎は、賊の隠れ家の洋館に踏み込むが、そこでは妙子が人質にとられていたので、交換条件を出すしかなく、明智は賊の逃亡を許すことを余儀なくされる。それからしばらく何事もおこらなかったとき、玉村家の父子4人は、上得意の成金、牛原耕造の自宅に招待される。そこの地下室で牛原は趣味で個人的に撮ったという奇妙な映画を見せる。撮影場所は当の牛原邸とこの地下室で、ある金持ちが、ある男の愛妾を奪ったうえ、相手の男をだまし、この地下室に生き埋めにするというものであった。映画が終わると、牛原は、自分はその殺された男と愛妾の子で本名は奥村源造、自分の父を殺したのは玉村善太郎の父であると正体を明かし、復讐としてそのままその地下室に玉村家の4人を閉じ込めてしまう。そんなとき、賊の娘文代が父を裏切って、明智のもとを訪れていた。二人は強く惹かれあっていたのだ。間一髪、玉村家の人々は救われ、根城の船で祝宴をはっていた奥村源造のもとに明智が踏み込み、万事休した奥村は自殺する。が、奥村は「おれが死んだからといって安心するな」と最期に言い残す。事実、奥村の死にぎわに現れた蛇が、玉村家に現れるようになる。再び厳重な警備体制が敷かれるが、玉村善太郎は自室で殺されてしまう。奥村源造はまだ生きているのだろうか? 明智が最後に真犯人として指したのは、意外な人物であった。

出版

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漫画

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テレビドラマ

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ラジオドラマ

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朗読劇

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MAG.netが企画する朗読演劇シリーズ「極上文學」の第11弾にて舞台化。上演の際は、江戸川乱歩の『人間椅子』と合わせた内容で舞台化された。

極上文學 第11弾『人間椅子/魔術師』

スタッフ

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キャスト

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外部リンク

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