1-クロロプロパン
有機塩素化合物
1-クロロプロパンはハロゲン化アルキルの一種で、化学式C3H7Clで表される無色の可燃性液体である。n-プロピルクロリドとも称する。塩化亜鉛を触媒として、1-プロパノールを三塩化リンに反応させることで得られる[3]。
1-クロロプロパン | |
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1-Chloropropane | |
別称 n-プロピルクロリド | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 540-54-5 |
PubChem | 10899 |
ChemSpider | 10437 |
UNII | TUV7462NWK |
EC番号 | 208-749-7 |
国連/北米番号 | 1278 |
ChEMBL | CHEMBL15697 |
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特性 | |
化学式 | C3H7Cl |
モル質量 | 78.54 g mol−1 |
外観 | 無色の液体 |
匂い | クロロホルム臭[1] |
密度 | 0.890 |
融点 |
-122.8 °C, 150 K, -189 °F |
沸点 |
46.7 °C, 320 K, 116 °F |
水への溶解度 | 2.72g/L, 25℃ |
有機溶媒への溶解度 | アルコール、エーテルに混和[1] |
屈折率 (nD) | 1.3886 |
粘度 | 4.416 cP at 0 °C 3.589 cP at 20 °C |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | External MSDS |
GHSピクトグラム | |
GHSシグナルワード | 危険(DANGER) |
Hフレーズ | H225, H302, H312, H332 |
Pフレーズ | P210, P233, P240, P241, P242, P243, P261, P264, P270, P271, P280, P301+312, P302+352, P303+361+353 |
主な危険性 | 可燃性の高い液体で、蒸気は引火性がある。飲み込んだり吸引したら有害で、皮膚からの吸収でも有害な場合がある。中枢神経に影響を及ぼす。皮膚、眼、気道に対し刺激性がある。 |
NFPA 704 | |
引火点 | −18 °C (0 °F; 255 K) |
発火点 | 520℃[2] |
爆発限界 | 2.5 - 11 %[2] |
関連する物質 | |
関連するハロゲン化アルキル | クロロエタン 2-クロロプロパン tert-ブチルクロリド |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
製造
編集プロパンを塩素化することにより、1-クロロプロパンが得られる。この時の温度によっては、異性体の2-クロロプロパンも多く生じる.[4]。三塩化リン、五塩化リン、または塩化チオニルを1-プロパノールに反応させることによっても生成する[5]。
性質
編集揮発性の高い無色の液体で、クロロホルムのような特異臭がある。多くのハロゲン化アルキルと異なり、水より密度が低い特徴を持つ。
用途
編集フリーデル・クラフツ反応や、グリニャール試薬や有機金属化合物製造時のアルキル化剤として使用される[6]。プロピルアミン・麻酔薬・駆虫薬の反応中間体、発泡剤としての用途もある[1]。
脚注
編集- ^ a b c “1-クロロプロパン”. 安全データシート(厚生労働省 職場のあんぜんサイト) (2009年3月30日). 2022年2月12日閲覧。
- ^ a b “1-クロロプロパン”. 東京化成工業 (2018年10月4日). 2022年2月12日閲覧。
- ^ Merck Index of Chemicals and Drugs, 9th ed., monograph 7635
- ^ Chemgapedia: Chlorierung höherer Alkane.
- ^ S. Hauptmann, J. Graefe, H. Remane: Lehrbuch der Organischen Chemie, VEB Deutscher Verlag für Grundstoffindustrie, Leipzig 1980.
- ^ Record of 1-Chlorpropan 労働安全衛生研究所(IFA)発行のGESTIS物質データベース