メインメニューを開く

GO AHEAD!

GO AHEAD!』(ゴー・アヘッド)は、1978年12月20日に発売された山下達郎通算3作目のスタジオ・アルバム

GO AHEAD!
山下達郎スタジオ・アルバム
リリース
録音 ONKIO HAUS 1st, 2nd & 3rd
MEDIA 2nd
RCA 1st
ジャンル ジャズ[1]
ファンク / ソウル[1]
ポップ・ミュージック[1]
ジャズ・ロック[1]
レーベル RCA ⁄ RVC
LP:RVL-8037
プロデュース 山下達郎
チャート最高順位
山下達郎 年表
IT'S A POPPIN' TIME
1978年
GO AHEAD!
(1978年)
MOONGLOW
1979年
『GO AHEAD!』収録のシングル
  1. LET'S DANCE BABY
    リリース: 1979年1月25日 (1979-01-25)
テンプレートを表示

目次

解説編集

前作 『IT'S A POPPIN' TIME[注 1]に収録されているライブの雰囲気からも分かるように、東京を中心とした山下への音楽的評価は決して低いものではなかった。当時の山下のレコードセールスはその8割近くが東京周辺におけるものだった、という。CM音楽等において、匿名性の下で活動する作家・ミュージシャンとしての山下の需要は高かったが、レコード会社の契約ミュージシャンとしての、換言するならば「トータル・キャラクター」としての山下への評価は「技術はあるが(セールスの)数字が期待できない」というものにならざるを得なかった。

山下自身もこの状況には強い危機感を抱いていたようで、この時期には商業音楽の制作・流通に関して徹底的に学んでいた、と証言している。しかし、レコード会社側も色よい反応を見せず、セールスの向上の兆しがない状態の中、山下は、ソロミュージシャンとしての自らのキャリアを終えざるを得ないのではないか、という心境に至る。そういう状況下で、このアルバムは制作された。

「これが最後になるかもしれない」という思いの中、山下は、自らの広範な音楽指向を縛ることなく、書きたい曲を書き、録音しよう、と考えた。そのために、このアルバムには、山下が後に「五目味」と言い表したように、シカゴ・ソウルやファンクのフレイバーを持つ曲から、カバー曲、果てにはフィル・スペクター的なアレンジの曲まで、一人のミュージシャンのセルフ・プロデュースアルバムとは思えない多彩な作風の曲が収録されることになった。このアルバムに収録されたファンク・ナンバー「BOMBER」によって、ソロミュージシャンとしての山下のキャリアは大きく加速することになった。

LET'S DANCE BABY」「BOMBER」「潮騒 (THE WHISPERING SEA)」の3曲は、ベスト・アルバムGREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA[注 2]に収録されたほか、「PAPER DOLL」を加えた4曲がオールタイム・ベスト・アルバムOPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜[注 3]に収録された。

本作品では、担当ディレクターの小杉理宇造も、コーラスやパーカッションの演奏で参加している[注 4]

収録曲編集

SIDE A編集

  1. OVERTURE  – (0:48)
    一人アカペラによるオープニング曲。主にCMの仕事で実験してきた一人多重コーラスの成果を、本作から意識的に多用し始めた。
  2. LOVE CELEBRATION  – (4:26)
    もともとは1978年 (1978)春に、細野晴臣プロデュースでリンダ・キャリエール(Linda Carriere)[注 5]という女性シンガーのアルバムが企画・制作されたが、ボーカル の出来が思わしくなく、デモ・レコーディングのみで中止となった。山下はそのアルバムのために2曲を書き下ろしたが、もったいないのでそのうちの1曲であるこの曲を、本作で使用した。山下によれば曲調は1970年代のシカゴR&Bを目論んだものだが、上原裕と田中章弘のリズム・セクションだとマイアミあたりの雰囲気になるという[2]。同年、この曲には安井かずみによる「バイブレイション」という日本語の歌詞が付けられ、笠井紀美子の歌でシングル・カットされた(アルバム『TOKYO SPECIAL』に収録、編曲鈴木"コルゲン"宏昌)。
  3. LET'S DANCE BABY  – (4:12)
    ある日、東芝のディレクターからザ・キングトーンズのアルバムを作るので曲を書いて欲しいと、突然電話が来た。言ってみると、既に歌詞はすべてできていて、3曲分が渡された。吉岡治の詞が2曲、クリス・モズデルの英語詞が1曲。その中の1曲がこの<レッツ・ダンス・ベイビー>だった。当時、自分用の曲が全然できなかったため、この曲もこのアルバムのレコーディング・リストに加えたところ、この曲のいきさつを全く知らなかったディレクター小杉理宇造が「これはいい。この曲をシングルにしよう」と、あれよあれよという間に、アルバム4作目にして初のシングル曲となった。この当時、レコード会社は何の関心も示さず、そのためジャケット写真はアメリカで小杉に撮ってもらったスナップが使われた[2]。“心臓に指鉄砲”の箇所にシャレで入れたピストルのSEを、あるとき2人の客がクラッカーで真似をして、それが全国に拡がっていったエピソードとともに、その後もライブで演奏されている。
  4. MONDAY BLUE  – (7:12)
    R&Bテイストの三連バラードを前から作ってみたいとの思いから、村上秀一、岡沢章、松木恒秀佐藤博という陣容を想定して、自身が言うところの“座付き作家”パターンで作った作品。4人の緊張感の衝突ともいうべき演奏によって山下自身、素晴らしいテイクに仕上がったと思っている。エンディング近くのピアノのグリス・ダウンが落ちきって静寂が訪れた時、コントロール・ルームで聴いていた全員がため息をついたという[2]
  5. ついておいで (FOLLOW ME ALONG)  – (4:48)
    当時アメリカで流行していた16ビートの世界をやってみたいとの理由で作られた。ヴァースには、別に作られていたモチーフから持ってきたものが付けられている[2]2010年発売のシングル「街物語(まちものがたり)[注 6]2009年のライブ・ヴァージョンが収録された。

SIDE B編集

  1. BOMBER  – (5:58)
    このアルバムで最初にレコーディンされたこの曲は当時、ポリリズム・ファンクに耽溺していたので、こういった曲調を一度やってみたかったというだけの作品だったという。本作のレコーディングはそれまでとは違ったライン・アップで行きたいと思い、以前からセッションで目を付けていた難波弘之と、旧友の椎名和夫に声をかけ、前作『SPACY』のレコーディング・メンバーだった上原・田中の二人を加えたメンバーで録音された[2]。次作『MOONGLOW[注 7]は、全面的にこのメンバーでレコーディングが行われた。「LET'S DANCE BABY」のB面曲。
  2. 潮騒 (THE WHISPERING SEA)  – (4:23)
    自分にとっての隠れた人気曲にあたるというこの曲を作ったもともとの動機は、トッド・ラングレンのようなコード・プログレッションで1曲やってみたかった、という安易な発想だったという[2]。後にシングル「愛を描いて -LET'S KISS THE SUN-[注 8]のB面に収録された。
  3. PAPER DOLL  – (3:27)
    シングル用にと1978年春にレコーディングされた作品だったが、レコード会社に「売れない」とシングル発売を拒否された。ギター・ソロも山下自身の演奏だが、ワウが不得手なので、後からペダルを手で動かしている[2]。楽器のソロ回しがしやすいことから、ライブでよく演奏されている。
  4. THIS COULD BE THE NIGHT  – (3:56)
    フィル・スペクターのプロデュースによるモダン・フォーク・カルテット1965年の作品は長い間未発売だったが、1970年代になってリリースされたスペクターのレア音源集に収録されたのを聴いて触発され、自分でカヴァーしたもの。山下が一人でドラム、ベース、ピアノ、ギターを演奏した上に、坂本龍一が当時最先端だったポリ・モーグ・シンセを加えて完成された。山下によれば、自分の前のレコーディングだった桑名正博のバンドのドラマーのセットをそのまま借りて、この曲のドラムをレコーディングしたという[2]
  5. 2000トンの雨 (2000t OF RAIN)  – (3:05)
    「ペイパー・ドール」と同じ日のセッションで録音された曲。従ってこれもアルバム『IT'S A POPPIN' TIME[注 1]以前の作品となる。『ポッピン・タイム』収録の「スペイス・クラッシュ」はこの曲の歌詞のバリエーションだったが、発表が後先になった。1975年 (1975)に始まった文化放送「電リク'75」のエンディング・テーマ(インストゥルメンタル)のモチーフからふくらませて作られた曲。山下によれば、小ぶりのウォール・オブ・サウンドといったところで、この曲も「潮騒」同様、隠れた人気曲だという[2]。2003年 (2003)松竹映画恋愛寫眞 Collage of Our life』の主題歌に使用されるのに併せ、ボーカルの再録音と、ピアノのオーバー・ダビングを行い“2003 New Vocal Remix”としてシングル・リリースされた[注 9]

クレジット編集

PRODUCED BY TATSURO YAMASHITA FOR P.M.P.INC., ALL SONGS ARRANGED BY TATSURO YAMASHITA, DIRECTED BY RYUZO “JUNIOR” KOSUGI (RCA), ENGINEERED BY TAMOTSU YOSHIDA
SESSION CO-ORDINATOR-RYUZO KOSUGI, ASSISTANT ENGINEER-TOSHIHIRO ITOH (Onkio Haus), RECORDING STUDIOS-ONKIO HAUS 1ST, 2ND & 3RD   MEDIA 2ND   RCA 1ST
SPECIAL THANKS TO-AKIRA IKUTA, KUNIO MURAMATSU FOR THEIR ASSISTANCE. ALL SONGS PUBLISHED BY © 1978 P.M.P., 1977 P.M.P., EXCEPT; “LOVE CELEBRATION” BY © 1977 ALFA MUSIC LTD.,
“LET'S DANCE BABY” BY © 1978 J&K MUSIC PUB., “THIS COULD BE THE NIGHT” BY © ROCK MUSIC, THE RIGHTS FOR JAPAN ASSIGNED TO TOSHIBA MUSIC PUB.

CD:BVCR-17015編集

GO AHEAD!
山下達郎スタジオ・アルバム
リリース
録音 ONKIO HAUS 1st, 2nd & 3rd
MEDIA 2nd
RCA 1st
ジャンル ロック
ポップス
時間
レーベル RCA ⁄ BMGファンハウス
CD:BVCR-17015
プロデュース 山下達郎
チャート最高順位
EANコード
ASIN B00005UD3U
JAN 4988017607312
テンプレートを表示

解説編集

2002年、“山下達郎 RCA/AIRイヤーズ 1976-1982”として、『CIRCUS TOWN[注 10]から『FOR YOU[注 11]までの7タイトルが山下監修によるデジタル・リマスタリング、および、自身によるライナーノーツと曲解説。CDには各タイトル毎に未発表音源を含むボーナス・トラック収録にて再度リイシューされた。本作には未発表音源3曲をボーナス・トラックとして収録。また、本作を含むRCA/AIRイヤーズ対象商品7タイトル購入者に応募者全員への特典として、リマスター盤『COME ALONG』がプレゼントされた。

収録曲編集

  1. OVERTURE(オーヴァーチュア)  – (0:47)[3]
  2. LOVE CELEBRATION(ラブ・セレブレイション)  – (4:25)[3]
  3. LET'S DANCE BABY(レッツ・ダンス・ベイビー)  – (4:14)[3]
  4. MONDAY BLUE(マンデイ・ブルー)  – (7:12)[3]
  5. ついておいで (FOLLOW ME ALONG)  – (4:51)[3]
  6. BOMBER(ボンバー)  – (5:56)[3]
  7. 潮騒 (THE WHISPERING SEA)  – (4:22)[3]
  8. PAPER DOLL(ペイパー・ドール)  – (3:28)[3]
  9. THIS COULD BE THE NIGHT(ディス・クッド・ビー・ザ・ナイト)  – (3:55)[3]
  10. 2000トンの雨 (2000t OF RAIN)  – (3:09)[3]
    <Bonus Tracks>
  11. 潮騒 [英語ヴァージョン -English Version-] (未発表 -Previously Unreleased-)  – (4:21)[3]
    当時、山下が所属していた出版社、PMPでは、海外マーケットに売り込む目的で、作品に英語詞を付けるという試みが盛んに行なわれていた。多くは外国のシンガーによってデモが作られていたが、山下自身が仮歌を入れた「潮騒」の英語ヴァージョンが残っていたことから、収録された。
  12. 2000トンの雨 [カラオケ -Karaoke-] (未発表 -Previously Unreleased-)  – (3:06)[3]
    生演奏では再現できない曲のため、1978年暮れにアルバム発売記念ライブを行った際、ステージで歌うために作られたカラオケ
  13. 潮騒 [カラオケ -Karaoke-] (未発表 -Previously Unreleased-)  – (4:19)[3]
    本作収録のために英語ヴァージョンをリミックスした際、あわせて作られたカラオケ。音源が発見できなかったため、最後のウミネコのSEは収録されていない。

クレジット編集

スタッフ編集

Produced & Arranged by 山下達郎
Production Co-odinater: 小杉理宇造
 
Recording & Mixing Engineer: 吉田保
Recorded at ONKIO HAUS, MEDIA & RVC
Mixed at RVC using MCI 16 Track Recorder & API Mixing Console
   except Track 11 & 13 Mixed at PLANET KINGDOM in Sep. 2001
Assistant Engineer: 伊東俊郎 (ONKIO HAUS)
 
CD Mastering Engineer: 原田光晴 (On Air Azabu)
 
Original Art Direction & Illustration: 佐藤憲吉
Original Design: 佐藤憲吉 & 杉山明
Cover Photograph: 小暮徹
CD Design: 高原宏 & 上原加代
 
Originally Released in 1978/12/20 as RCA RVL-8037

脚注編集

注釈編集

  1. ^ a b IT'S A POPPIN' TIME』 1978年5月21日 (1978-05-21)発売 RCA ⁄ RVC 2LP:RVL-4701/2
  2. ^ GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA1982年7月21日発売 AIR ⁄ RVC LP:RAL-8803
  3. ^ OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜2012年9月26日発売 MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN 4CD:WPCL-11201/4【初回限定盤】, 3CD:WPCL-11205/7【通常盤】
  4. ^ 小杉は、過去に「春城伸彦」の芸名で、GSバンド『ブルー・シャルム』のドラマーとして活動した経験がある。
  5. ^ Dynastyヴォーカルと同姓同名だが、同一人物かは不明。
  6. ^ 街物語(まちものがたり)」 2010年6月2日 (2010-06-02)発売 MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN CD:WPCL-10788
  7. ^ MOONGLOW1979年10月21日発売 AIR ⁄ RVC LP:AIR-8001
  8. ^ 愛を描いて -LET'S KISS THE SUN-」 1979年4月5日 (1979-04-05)発売 RCA ⁄ RVC EP:RVS-548
  9. ^ 2000トンの雨 / フェニックス」 2003年6月11日 (2003-06-11)発売 MOON ⁄ WARNER MUSIC JAPAN CD:WPCL-70003
  10. ^ CIRCUS TOWN1976年12月25日発売 RCA ⁄ RVC LP:RVL-8004
  11. ^ FOR YOU1982年1月21日発売 AIR ⁄ RVC LP:RAL-8801

出典編集

  1. ^ a b c d Tatsu Yamashita - Go Ahead! at Discogs Discogs. 2018年8月25日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i (2002年) 山下達郎『GO AHEAD!』のアルバム・ノーツ [12cmCD]. RCA ⁄ BMG FUNHOUSE (BVCR-17015).
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 【CD】山下達郎/ゴー・アヘッド!” (日本語). TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード株式会社. 2018年8月19日閲覧。

外部リンク編集

SonyMusic

山下達郎 OFFICIAL SITE