スズキ・GSV-R(ジーエスブイ - アール)は、スズキロードレース世界選手権のMotoGPクラスに参戦するために開発した、4ストロークV型4気筒エンジンを持つ競技専用オートバイのシリーズである。

スズキ・GSV-R
2006年型GSV-R (XR-E4)
基本情報
エンジン 4ストローク
内径×行程 / 圧縮比 __ × __ / __
      詳細情報
製造国
製造期間 2002年-2009年
タイプ
設計統括
デザイン
フレーム アルミ製ツインフレーム
全長×全幅×全高
ホイールベース
最低地上高
シート高
燃料供給装置
始動方式
潤滑方式
駆動方式
変速機 6段カセットタイプ
サスペンション
キャスター / トレール
ブレーキ
タイヤサイズ
最高速度
乗車定員
燃料タンク容量
燃費
カラーバリエーション
本体価格
備考
先代 スズキ・RGV-Γ500
後継 スズキ・GSX-RR
姉妹車 / OEM
同クラスの車 ドゥカティ・デスモセディチ
ホンダ・RC212V
ヤマハ・YZR-M1
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概要 編集

2000年4月、二輪モータースポーツを統括するFIMは、2002年シーズンよりロードレース世界選手権(世界グランプリ)の最高峰クラスを、それまでの排気量上限を500ccから、4ストロークに限って排気量上限を990ccとするMotoGPクラスへ移行することを発表した。この決定を受け、500ccクラスに参戦していた日本の3メーカー、ホンダヤマハ、スズキは一斉に4ストロークエンジンの新型マシンの開発をスタートした。

スズキは4ストロークエンジンを新開発するにあたってGSX-Rなどで実績のある並列4気筒ではなく、エンジンの幅を小さくできるV型4気筒を選択した。このエンジンを、それまで500ccクラスに参戦していた2ストロークRGV-Γをベースにしたシャーシに搭載することで開発期間の短縮を図った。新型マシンはGSV-Rと命名され、テストでは2ストロークマシンのタイムを上回ったこともあり、スズキは2003年から予定していた参戦計画を前倒しして[要出典]2002年開幕戦にデビューさせた。

雨となった開幕戦の日本GPではワイルドカード参戦の梁明が中盤までトップを走り、最終的にホンダのバレンティーノ・ロッシに逆転されるものの2位を獲得する活躍を見せた。しかし、それ以降の成績は振るわず、コンストラクターズランキングでホンダ、ヤマハに大きく水をあけられて3位に終わった。その後もエンジンのVアングルの変更や不等間隔爆発の採用など、シーズン毎に仕様の変更を繰り返したがMotoGPでの勝利を得ることができずに低迷が続いた。

2005年末、FIMは年々伸び続けるマシンのスピードを抑えるため、2007年からMotoGPクラスの排気量上限を800ccとすることを決定した。スズキは2006年型のマシンから排気量変更に向けた開発を行い、ニューマチックバルブスプリングなどの新技術を1年間かけて熟成させた。そして2007年にデビューした800ccの新型GSV-Rは、第5戦フランスGPで初優勝を挙げた。

2008年も表彰台に3回上るほど好調であったが、2009年以降はライダーの不調も重なり苦戦を強いられることになり、2011年には1台体制で挑んだものの結果を残せず、スズキの参戦一時休止を受けてGSV-Rの開発はストップすることになった。

後継車として、2015年より投入されたGSX-RRがある。

主要諸元 編集

GSV-R
XR-E0
(2002)
GSV-R
XR-E1
(2003)
GSV-R
XR-E2
(2004)
GSV-R
XR-E3
(2005)
GSV-R
XR-E4
(2006)
GSV-R
XR-G0
(2007)
GSV-R
XR-G1
(2008)
GSV-R
XR-G2
(2009)
エンジン形式 4ストローク水冷V型4気筒
排気量 990cc 800cc
最高出力 210馬力以上 210馬力以上 220馬力以上 240馬力以上 240馬力以上 220馬力以上 225馬力以上
バルブ DOHC 4バルブ ニューマチックバルブ式
DOHC 4バルブ
燃料供給装置 電子制御式燃料噴射装置
潤滑方式 ウェットサンプ方式
クラッチ 乾式多板バックトルクリミッター装備)
変速機 常時噛合い式6段
駆動方式 チェーン駆動
フレーム形式 アルミ合金製ツインスパーフレーム
サスペンション 前:倒立型テレスコピック
後:リンク式
前:倒立型テレスコピック(オーリンズ製)
後:リンク式(オーリンズ製)
タイヤ D

M

M B
ホイール 前:16.5インチ
後:16.5インチ
前:17インチ
後:16.5インチ
前:16.5インチ
後:16.5インチ
ブレーキ 前:カーボン製ダブルディスク
後:鉄またはカーボン製シングルディスク
前:カーボン製ダブルディスク(ブレンボ製)
後:鉄製シングルディスク(ブレンボ製)
全長 2030mm 未公表 2060mm 2080mm
全幅 未公表 未公表 660mm
全高 1150mm 未公表 1150mm
ホイールベース 1420mm 未公表 1450mm
乾燥重量 145kg 148kg 未公表 150kg
ガソリンタンク容量 24L 22L 21L

レース戦績 編集

  • 2002年 - コンストラクターズランキング3位。最上位は梁明の2位(第1戦日本GP)。
  • 2003年 - コンストラクターズランキング5位。最上位はジョン・ホプキンスの7位(第3戦スペインGP)。
  • 2004年 - コンストラクターズランキング5位。最上位はジョン・ホプキンスの6位(第11戦ポルトガルGP)。
  • 2005年 - コンストラクターズランキング5位。最上位はケニー・ロバーツJr.の2位(第9戦イギリスGP)。
  • 2006年 - コンストラクターズランキング4位。最上位はクリス・バーミューレンの2位(第14戦オーストラリアGP)。
  • 2007年 - コンストラクターズランキング4位。第5戦フランスGPにてクリス・バーミューレンがGSV-Rの初優勝を記録。
  • 2008年 - コンストラクターズランキング4位。3位表彰台を3回記録(クリス・バーミューレンが2回、ロリス・カピロッシが1回)。
  • 2009年 - コンストラクターズランキング4位。5位を5回記録(ロリス・カピロッシが4回、クリス・バーミューレンが1回)。
  • 2010年 - コンストラクターズランキング4位。最上位はアルバロ・バウティスタの5位(第7戦カタルーニャGP)。
  • 2011年 - コンストラクターズランキング4位。最上位はアルバロ・バウティスタの5位(第6戦イギリスGP)。

関連項目 編集

外部リンク 編集

  • [1] Motorcycle racers"2011 GSV-R #19 Alvaro Bautista アルバロ・バウティスタ"
  • [2] Motorcycle racers "2009 GSV-R(XRG2)#65 Loris Capirossi ロリス・カピロッシ"