NHK BS8K

日本放送協会の高画質BSテレビ放送

NHK BS8K(エヌエイチケイ ビーエスはちケイ)は、2018年12月1日から日本放送協会(NHK)が放送を開始した、日本向け放送衛星による衛星基幹放送(BSデジタルテレビジョン放送チャンネルのひとつである。キャッチコピーは、『こっちすごいよ。

NHK BS8K
こっちすごいよ。
基本情報
運営(番組供給)事業者 日本放送協会
放送(配信)開始 2018年12月1日
衛星基幹放送(BSデジタル放送)
放送事業者 日本放送協会
チャンネル番号 Ch.8K 102(8K)
リモコンキーID 2
物理チャンネル BS-14ch
放送開始 2018年12月1日
公式サイト
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概要

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NHKが『スーパーハイビジョン』の名で技術開発を行い実現させた、世界初・国内唯一の 8K UHDTV によるテレビチャンネルである[1]

従前の日本におけるデジタルテレビジョン放送と異なる「ISDB-S3」方式により、1つの物理チャンネルを120のスロットに分け、その全部を利用し「横7680画素×縦4320画素[2]」(約3,300万画素、100Mbps[3])と、ハイビジョン放送比16倍の画素数により更に高画質な放送を実施するもので、同時に始められた「NHK BS4K」(BS4K 101ch)とともに放送法の規定により超高精細度テレビジョン放送を普及させる役割を担わされた[4]

放送時間は10時開始、22時前後終了を基本の編成とし、基本的に8Kで制作したコンテンツを中心にリピート放送している。コンテンツによっては深夜に臨時放送を行うこともある。実際に開局直後『第69回NHK紅白歌合戦』を放送した平成最後の年越しでは、日跨ぎ編成を行った[注 1]

リモコンキーIDEテレやかつてのBS2及びBS1BSのサブチャンネルと同じ「2」。3桁の論理チャンネル番号としては「BS8K 102ch」が指定されているが、4K8K放送では超高画質を売りにすることから従前の2K放送のようなマルチチャンネル編成は行わないため、一般的には他局同様リモコンキーID表示を基本とする。

NHKは2023年12月1日に衛星波チャンネルの再編を実施したが、BS8Kについては変更は無く、引き続きNHK衛星放送の「フラッグシップチャンネル」として位置付けられることになっている。

日本国内で8K画質の番組を放送できる唯一のチャンネルであるため、民放局が8K画質で制作した番組の放送も行っている[注 2][5]。一部の番組は4K解像度に変換の上、BS4K→BSプレミアム4Kにて放送する時間を一部時間帯に設けている[注 3]

2022年1月24日中国中国中央電視台(CCTV)が当局に続けて世界で2番目の8K本放送[注 4]CCTV-8K中国語版」を開始した[7]

受信時の注意

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地上波放送と中間周波数の分布

このチャンネルは従前のNHK衛星放送と異なり、偏波面の円旋回が“右回り”ではなく“左回り”(放送業界用語では「左旋」という)であり、なおかつBS-IF周波数が従前よりも高くなっている。この為、視聴するには家庭内のアンテナ配線を、総務省が定めた新たな技術基準に対応するものへと全面的に取り変える必要がある[8]

視聴には8K放送対応のチューナーを搭載した受信機が必要で、従来のテレビではもちろん4Kテレビでも視聴することはできない[9]。対応機器はシャープソニーLGエレクトロニクスが生産している。

対応機器

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  • アクオスシャープ
    • AX1ライン (8T-C80AX1/C70AX1/C60AX1)[10]
    • CX1ライン (8T-C70CX1/C60CX1)[11]
    • DW1ライン (8T-C70DW1/C60DW1)[12]
    • DX1ライン (8T-C85DX1/C75DX1/C65DX1)[13]
    • 8Kチューナー 8S-C00AW1[14](LC-70X500と併せて使用[15]
  • ブラビアソニー
  • LGエレクトロニクス
    • ZXシリーズ (OLED88ZXPJA/OLED77ZXPJA)[17]
    • Z1シリーズ (OLED88Z1PJA/OLED77Z1PJA)[18]
    • Z2シリーズ (OLED88Z2PJA)[19]
    • Z3シリーズ (OLED88Z3PJA)[20]
    • NANO99シリーズ (75NANO99JNA/65NANO99JNA)[21]
    • NANO95シリーズ (55NANO95JNA)[22]
    • NANO96シリーズ (65NANO96JPA/55NANO96JPA)[23]
    • QNED99シリーズ (86QNED99JPA)[24]

この他、ピクセラが放送業界向けに8K放送受信機「PIX-ZH003-ZN1」を開発している[25]

降雨対応放送実施時は1080pでも放送されるため[26]、8K放送に非対応の機器でも視聴できる場合がある。

沿革

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2018年から2020年3月まで使用された初代旧ロゴ

2016年8月1日地デジ難視対策衛星放送[注 5]を行っていたBS-17chでNHKが単独でスーパーハイビジョン試験放送を開始[27]。4Kと8Kの混合編成で、NHKは全国各地の放送局などに受信設備を設け一般公開していた。専用機器のない一般家庭では視聴できないため、放送時間は基本的に日中に限られていた。この試験放送に対応した専用受信機としてシャープが8Kチューナー「TU-SH1000[28]」を開発した[29]

2016年12月1日以降はA-PAB(放送サービス高度化推進協会)も試験実施主体に加わり、両者のコンテンツを交互に編成して放送していた[30]

2017年3月21日より一般家庭でも、J:COMなどの一部のケーブルテレビ局での再送信を専用のセットトップボックスで視聴できるようになった[31]

この試験放送は本放送移行準備のため2018年7月23日に終了[32]。その後は本放送開始に向け準備を進め、BS-17chはNHK(BS4KBSプレミアム4K)と地上波民放系BS2社(BS-TBSBSフジ)の4K放送用に割り当てられた。そしてBS8Kには、新たに左旋円偏波を使うBS-14chが丸々割り当てられた。

BSデジタル放送開始18周年・地上波デジタル放送開始15周年にあたる2018年12月1日の10時より、東経110度CSを利用する会社も含めた民間事業者と共に本放送を始めた[33]

2019年1月11日より、EPGでの8Kマークの表示を開始[34][注 6]。同年12月より、BS8Kでも設置確認メッセージの表示を開始[35]

2020年3月30日、NHK全体でチャンネルロゴ表示・チャンネルアイコンがリニューアルされ、BS8Kのロゴも変更された[36]放送休止中の画面では引き続き従来のロゴが使用されている。

2024年12月29日、BS8KとBSプレミアム4Kのデータ放送での動画サービスを終了。

2025年以降、1日の放送時間が順次拡大され[注 7]、8Kマークの付かないドラマアニメ特撮などの集中放送が行われるようになったが、8K制作番組の放送は減少した。

脚注

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注釈

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  1. ^ 2018年度の年越しで終夜放送を実施したわけではなく、2019年元日の未明・早朝には通常よりやや短いながら休止時間帯が設定された。
  2. ^ NHKではBS8Kのみで放送。地上波での放送は制作局で実施。
  3. ^ 開局からしばらくは「8Kベストウインドー」という番組で表記。
  4. ^ 試験放送2021年2月1日より開始[6]
  5. ^ 2015年3月31日終了。
  6. ^ BS8Kで放送される4K制作番組には4Kマークは付かない。
  7. ^ 開始時刻は、2025年1月16日より9時から、2月15日より7時20分から。終了時刻(土日を除く)は、2月3日より23時台まで、2月11日2月10日深夜)より翌4時台まで拡大。

出典

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  1. ^ “NHK to Bring World’s First 8K Broadcasting Service” (英語). ABU. https://www.abu.org.my/Latest_News-@-NHK_to_Bring_Worlds_First_8K_Broadcasting_Service.aspx?doing_wp_cron=1586941239.6015200614929199218750 2018年12月1日閲覧。 
  2. ^ 4K8Kの魅力|BS放送 - NHK
  3. ^ “調査研究ノート 8K×AI 新たな防災報道に向けて”. 放送研究と調査 (NHK放送文化研究所) 2019年9月号. (2019). ISSN 02880008. https://www.nhk.or.jp/bunken/research/domestic/20190901_4.html. 
  4. ^ 放送法第15条及び関連する第20条第1項第二号の規定
  5. ^ “NHKで民放制作のテレビ番組が放送へ。BS8Kで - PHILE WEB”. 音元出版. (2020年12月9日). https://www.phileweb.com/news/d-av/202012/09/51731.html 2021年7月22日閲覧。 
  6. ^ “放送界の動き(アジア・中東・アフリカ)”. 放送研究と調査 (NHK放送文化研究所) 2021年4月号. (2021). ISSN 02880008. https://www.nhk.or.jp/bunken/book/monthly/asia/202104.html. 
  7. ^ “放送界の動き(アジア・中東・アフリカ)”. 放送研究と調査 (NHK放送文化研究所) 2022年3月号. (2022). ISSN 02880008. https://www.nhk.or.jp/bunken/book/monthly/asia/202203.html. 
  8. ^ 4K放送・8K放送 情報サイト|受信の際の注意点 - 総務省
  9. ^ BS8K視聴方法|BS放送 - NHK
  10. ^ 8Kテレビ時代の幕開け、シャープAQUOS 8K 11月発売。70型100万円、80型200万円”. AV Watch. 2018年10月15日閲覧。
  11. ^ シャープ、AQUOS 8Kフラッグシップ「CX1」。新パネル、8Kチューナ内蔵&録画対応”. AV Watch. 2020年4月6日閲覧。
  12. ^ シャープ、YouTubeの8K動画再生に対応したAQUOS 8K「DW1」”. AV Watch. 2021年4月22日閲覧。
  13. ^ シャープ、mini LED採用の新世代8Kテレビ「AQUOS XLED」発表”. AV Watch. 2021年10月26日閲覧。
  14. ^ 「AQUOS 8Kチューナー」約25万円で発売。HDMI×4接続”. AV Watch. 2018年10月15日閲覧。
  15. ^ シャープ、世界初「8Kチューナー」11月下旬発売。HDMI×4で「AQUOS 8K」と接続”. AV Watch. 2018年9月12日閲覧。
  16. ^ ソニー初の8Kチューナ搭載テレビ「Z9H」。技術結集で“史上最高ブラビア””. AV Watch. 2020年2月7日閲覧。
  17. ^ LG、世界最大88型で8Kチューナ内蔵「ZXシリーズ」。8K TV初の77型も”. AV Watch. 2020年4月28日閲覧。
  18. ^ LG、HDMI2.1対応の8K有機ELテレビ「Z1」。受注生産で77型280万円から”. AV Watch. 2021年8月18日閲覧。
  19. ^ LG、88型8K有機ELテレビ受注開始。8Kチューナ内蔵で約383万円”. AV Watch. 2022年7月29日閲覧。
  20. ^ 高輝度evoパネルになった8K有機ELテレビ。88型約396万円”. AV Watch. 2023年6月7日閲覧。
  21. ^ LG初のBS8Kチューナ搭載液晶テレビ「NANO99」。65型で63万円から”. AV Watch. 2020年4月28日閲覧。
  22. ^ LG、約30万円で最小55型「手の届く8Kテレビ」”. AV Watch. 2020年11月26日閲覧。
  23. ^ 55型8Kで約32万円、“手の届く”LG液晶「NANO96」。65型約39万円”. AV Watch. 2021年8月18日閲覧。
  24. ^ LG、ミニLED×量子ドット搭載のフラッグシップ液晶「QNED99/90」”. AV Watch. 2021年5月17日閲覧。
  25. ^ 22.2チャンネルの音声出力に対応した、業界初の8K放送受信機[PIX-ZH003-ZN1]の開発に成功!”. ピクセラグループ. 2020年9月30日閲覧。
  26. ^ 斎藤恭一「[特別講演]4K・8K衛星放送伝送方式ISDB-S3の運用規定」『映像情報メディア学会技術報告』第40.45巻、映像情報メディア学会、2016年12月8日、47-52頁、doi:10.11485/itetr.40.45.0_47ISSN 134268932021年3月18日閲覧 
  27. ^ 4K/8KのBS試験放送はNHKが8月、NexTV-Fが12月開始。BS 17chで”. AV Watch. 2016年2月17日閲覧。
  28. ^ 世界初、8K(スーパーハイビジョン)放送対応受信機を開発|ニュースリリース”. シャープ. 2016年5月25日閲覧。
  29. ^ 世界初45型4Kでトップシェアを狙うシャープAQUOS。超リアル8K女子高生CG「saya」も”. AV Watch. 2016年9月20日閲覧。
  30. ^ 民放局ら参加のA-PAB、BSによる4K・8K試験放送を12月1日スタート”. AV Watch. 2016年12月1日閲覧。
  31. ^ 4K・8K試験放送がJ:COMで視聴可能に”. 株式会社ジュピターテレコム(2017年3月15日作成). 2020年3月7日閲覧。
  32. ^ A-PABの4K8K BS試験放送終了 〜 12月1日に向けて周知広報本格化”. A-PAB. 2018年7月23日閲覧。
  33. ^ 4K・8K放送はじまる - NHK放送史
  34. ^ FAQ|BS放送 - NHK
  35. ^ NHK BS4K/8K放送の画面にも「設置確認メッセージ」表示。受信料公平負担へ”. AV Watch. 2019年10月31日閲覧。
  36. ^ NHK、番組表ロゴとウォーターマーク変更。デザインやサイズ統一”. AV Watch. 2020年3月30日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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