NYYA-1は、海上自衛隊が最初に導入した戦術情報処理装置アメリカ合衆国リング・テムコ・ボート(LTV)社がアメリカ沿岸警備隊向けのTACNAVシステム(Tactical Navigation System)として開発したもので[1]昭和45年度の「たかつき」(38DDA)の第1回特別修理の際に搭載された[2]

概要編集

本機は、基本的には従来の戦闘指揮所(CIC)にあった対空作図盤および水上作図盤を代替する状況表示装置であった。プロジェクタによって、垂直スクリーン上に水上・空中・水中目標の位置・航跡等の情報をシンボル化して表示するものであり、目標データの入力は、AN/SPA-34レーダーリピータおよびNC-2プロッターに取り付けられた入力装置を使用する。またシステムの中核となる情報処理装置としては、UNIVAC-1218電子計算機(CP-789)が採用された[3]。64の近接した目標と、96の遠距離の目標を扱うことができるとされていたが[4]、現実的にはこのような多数の目標情報を同時に処理する機会はなかった[3]。また戦術データ・リンクおよび武器管制機能のいずれとも連接されなかった[2]

しかし、もともと個艦用に設計され、CICオペレーションの合理化・能率化を主目的としたもので、海上自衛隊の求めるものとは異なっており、またスクリーン上のシンボルを個々に動かすのではなくスクリーン全体の情報を一気に更新しなければならないなどの制約もあった[1]。このこともあり、当初は「たかつき」に続いて同型艦「きくづき」(39DDA)への搭載も予定されていたものの、これは行われず、「たちかぜ」(46DDG)に搭載された目標指示装置 (WES) を端緒として、アメリカ海軍海軍戦術情報システム(NTDS)をベースとしたOYQシリーズへと移行していくことになった[3]

なお本機について、アメリカの著名な海軍史家であるノーマン・フリードマンは、「CP-642Bコンピュータ1基とOA-7979/UYA-4コンソール4基、水平型で大型のOJ-195/UYA-4コンソール1基より構成されており、アメリカ海軍がガーシア級フリゲートのうち2隻(FF-10471049)に搭載したNTDSの対潜版試作型(ASWSC&CS, ASW Ship Command and Control System)に近いものであった」としているが[4]、この情報について、堤明夫海将補(退役)は「残念ながら、全く違う、というか全くの誤りです」と述べている[5]

脚注編集

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出典編集

  1. ^ a b 小滝 2014.
  2. ^ a b 香田 2015, p. 89.
  3. ^ a b c 塚原 2014.
  4. ^ a b Friedman 1997, p. 90.
  5. ^ 堤明夫 (2020年7月7日). “NYYA-1 とは ?”. 2020年11月24日閲覧。

参考文献編集

  • Friedman, Norman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 9781557502681 
  • 香田, 洋二「国産護衛艦建造の歩み」『世界の艦船』第827号、海人社、2015年12月、 NAID 40020655404
  • 小滝, 國雄「海上自衛隊指揮統制システム事始め-NYYA-1導入の経緯-」 『第5巻 船務・航海』 第1分冊、水交会〈海上自衛隊 苦心の足跡〉、2014年、62-65頁。 
  • 塚原, 武夫「個艦戦術情報処理装置NYYA-1導入の試み」 『第5巻 船務・航海』 第1分冊、水交会〈海上自衛隊 苦心の足跡〉、2014年、65-70頁。