Wikipedia:百科事典向け写真撮影のガイド/構図

説明写真を撮る上で、「構図」というのはとても大切なものです(いや、それは説明写真に限りませんが)。構図のよしあしで、説明写真としての評価が大きく変わってしまいます。下手をすると、説明写真としては全く役に立たないような写真になってしまうかもしれません。

基本的には、「何の説明写真を撮りたいのかを自覚する」「その自覚に基づいて構図を考える」、そして写真を撮影する、という手順を踏むだけで、それまでの写真とは全く異なる次元の写真を撮影できるようになるでしょう。ほんの少し移動するだけ、あるいはカメラの向きやズームをほんのちょっと動かすだけでも、全然違う写真になるものです。それは、けっこう気持ちのいいことでもあります。

なお、この項目で扱うことは、説明写真のためにどういう工夫をすればいいかということとも大きな関係があります。「説明写真のための工夫」の項目もあわせてご覧ください。

では、いくつかの事例をご覧にいれましょう。

その写真で何の説明ができるのだろうか編集

漫然と撮るだけでは何の説明もできない写真になってしまう
踏切で待っていたら列車が来たので写真を撮ってみました、という状態を想定しての作例です。ただ、何かの説明写真に使えるのかと考えると、疑問があります。
とりあえず、列車の説明写真に使うことを考えて、トリミング(一部の切り出し)をしてみました。しかし、やっぱりこの写真は、どう工夫しても、列車の説明写真として使うのは無理のようでした。車体がちゃんと写っていませんし、横に止まっている車が視線をひっぱってしまいます(ま、元の写真は踏切の説明写真としてならば使えなくはないかもしれませんが。その場合も、脈絡無く違法駐車をしている車がかなり邪魔です)。
別の場所で撮影した列車の写真です。これならば説明写真として使っても問題ないでしょう。ちなみに、流鉄の「なの花」号です。
その写真が説明として適切かどうか
何の説明写真を撮りたいのかによって扱いが変わる例です。「可動式ホーム柵」の説明写真としては、これは良い写真でしょう。しかし「つくばエクスプレスの電車 - TX1000系かTX2000系」の説明写真としては、確かにちょっと写ってはいますけれども、全く使い物になりません。「つくばエクスプレス・南流山駅の写真」としても、駅名標の写り込みも無く、明確に説明できていません。「何の説明のための写真を撮るつもりなのか」を先に考えるということは重要です。

説明対象のものをはっきり見せる編集

邪魔なものが写りこまないように (1)
これは、道路から通り過ぎる列車を撮影した写真です。たまたま今自分が立っている場所から漫然と撮影したという写真は多いのですが、そういう作例として撮影しました。手前の柵が邪魔になっていて、被写体がよく見えません。
上の写真から道路の端に寄って、柵が列車にかからないように工夫した例です。ほんの数メートル移動するだけで、全く違った構図の写真を撮ることができるようになります。説明写真として、上の写真より格段に良いものであるのは、明らかでしょう。
邪魔なものが写りこまないように (2)
これもまた、しばしば見かけるタイプの写真です。いわゆる「駅撮り」というやつですね。車輌の下半分がホームに隠れており、またホームの柱が車体にかかってしまっています。手軽に撮影できる種類の写真ではありますが、説明写真としての品質という意味では、かなり問題があるでしょう。
これも駅撮り写真です。ただ、ホームの端まで歩き、列車が進入してくるところを撮っています(一般にホーム中央での列車進入撮影はマナー違反)。停車中の列車を漫然と撮るよりは、だいぶマシになったのではないかと思います(「良い写真」までにはまだだいぶ間がありますが)。「数十メートル歩く」「タイミングを狙う」という2点を念頭に置くだけで、これだけの違いが出ます。ちなみに、総武流山電鉄の「青空」号です。

全体をちゃんと見せる編集

全体をちゃんと見せるために (1)
建築物などによく見られる事例です。説明写真としては、やはり全体の状況が把握できたほうがいいでしょう。この構図だと、左右が切れており、全体の様子がわかりません。
そこで、道路を渡って4メートルほど後ろに下がって撮影してみました。それで左右がかなり広がり、全体像が見えるようになりました。ほんの4メートルほどの撮影ポイントの違いで、これだけ広がりが異なって見えます。建築物の写真なんかの場合、カメラを構える位置が数十センチ違うだけで「建物全体がはいるか、それとも切れてしまう部分が出るか」の差につながることがあります。ほんとうにその場所で撮影するのがいいのかを、シャッターを切る前にちょっと考え、もっといい場所がないか周囲を見渡してみましょう。
全体をちゃんと見せるために (2)
また、建物のようなものの撮影の場合、光のあたりぐあいも重要な要素となります。この写真は逆光で撮影したものです。建物にはほとんど色が感じられず、また建物の明るいところが空に溶け込んでいってしまっています。
上の写真から数十メートル歩いて、順光になる場所を探してみました。建物の色がはっきりと出ているのがわかります(こんな色の建物だっただなんて、上の写真からは想像も出来ないでしょう?)。「いまどこに太陽がいるか」を考え、より適切な場所を探して動いてみるというのは、良い写真を撮るためには大事なことです。また、建物の説明写真を撮影する場合、「陽のまわり」なんて言いますが、建物の向き・適切な撮影場所・季節・時刻のことなども計算に入れて撮影する必要も出てくることがあります。

ほんの少しの気遣い編集

反射避け
ガラス越しに「鉄道の日」のプレートを撮影した事例です。ガラスに風景が反射して写りこんでしまっており、目的の被写体がよく見えません。
そこで、風景の反射がなるべく少なくなる場所を探して撮影してみました。上の写真の撮影位置とは、3メートルほど離れています。反射がなくなっているわけではありませんが、建物や電柱の映り込みがなくなるだけでも、だいぶ見やすくなりました(なお、反射を避けるために、「偏光フィルター」を使うひともいます。写真を撮るのが面白くなり、いろいろ道具を買い揃えることが苦にならなくなったら、そういった小道具に手を出してみるのもいいかもしれません)。
光のあたり(照明)
危険物を置かれないように中身が見えるごみ箱を撮影してみました。上面に自動販売機の映り込みがあり、また写真上で大きな面積を占める手前の面が暗く落ちてしまっています
そこで撮影ポジションを探してみました。3歩ほど(ほんの3歩ほどです)動いたところ、だいぶマシな場所がみつかりました。上面にはきれいに照明があたっており、無駄な写りこみもなく、手前の窓もよく見えます。「危険物対策ごみ箱」の説明写真として、上の写真と下の写真を見比べてみれば、どちらがより望ましいものであるかは、一目瞭然ではないでしょうか。