フェデリコ・モンポウ

スペインの作曲家 (1893 - 1987)

フレデリク(フェデリコ)・モンポウカタルーニャ語: Frederic Mompou i Dencausseスペイン語: Federico Mompou, 1893年4月16日 バルセロナ - 1987年6月30日 バルセロナ)はスペインカタルーニャ作曲家

フェデリコ・モンポウ
Federico Mompou
1980年撮影
基本情報
生誕 1893年4月16日
スペインの旗 スペイン王国バルセロナ
死没 (1987-06-30) 1987年6月30日(94歳没)
スペインの旗 スペインバルセロナ
職業 作曲家

略歴

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父親はカタルーニャ人造り職人で、母親はフランス人だった。おばからピアノの手解きを受ける。15歳のとき初めてピアノの公開演奏を行い、1909年にはガブリエル・フォーレが開いた演奏会に接したことから、作曲家になることを決心する。

地元バルセロナのリセウ音楽院ピアノを学んだ後、1911年エンリケ・グラナドスのフォーレ宛の紹介状を携えてパリに行き、パリ音楽院への留学を志すも断念。結局その地でイシドール・フィリップやフェルディナン・モット=ラクロワにピアノを師事する。同年、クロード・ドビュッシーエリック・サティに強烈に影響された最初のピアノ曲集の第1部を書き上げる。極端に内気な性格だったため、演奏家として立つことを断念し、代わりに作曲に身を捧げることにした。1914年第一次世界大戦を避けてバルセロナに戻り、最初の重要なピアノ曲集《内なる印象(Impresiones intimas)》や《魔法の歌(Cants Màgics)》、《子供の情景(Escenas de niños)》を書き上げる。

1921年(もしくは1920年)に再びパリを訪れる。1924年ケーキ屋を開くが間もなく倒産する。1937年まで神経衰弱のため何も作曲しなかった。また1937年には兄弟の一人が結核に倒れ、父親も同じ病で他界した(母親は1938年に再婚する)。

1941年ナチス軍によるパリ占領を避けてバルセロナに帰郷。同年、国際コンクールの会場でピアニストのカルメン・ブラーボと知り合う。長年にわたって友情を培った末の1957年に二人は結婚した[1]。この頃から創作活動の第2期に入った。

カタルーニャ帰国後はサン・ジョルディ王立音楽院英語版の教員に就くことができた。そのほかには目立った公職に就かぬまま、94歳で没するまでカタルーニャで静かな生活を送り、創作活動を続けた。

モンポウはプーランクのほかに、ダリウス・ミヨーエイトル・ヴィラ=ロボスアルトゥール・ルービンシュタインらと親交があった。

作風と評価

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モンポウは小品作家としてとりわけ名高く、「繊細」「内省的」「静謐」と評される、短い即興的な作品を作曲した。フランス近代音楽、とりわけ印象主義音楽に影響された作風を採り、最低限に抑え込まれた楽曲の展開、非常に小さな形式を枠組みとした表現、近代的な和声法といった音楽語法が見られる。オスティナート音型やの模倣、ある種の魔術的・瞑想的な響きに対するモンポウの好みについて、音楽評論家のライオネル・ソルターは、「十字架のヨハネにも似た(中略)しじまの声」と呼んだ[1]。作品には小節線のないものも多く、エリック・サティの書法と表面上の類似が見られる。

個別の楽曲が小品である一方で、小品集が連作的な曲集へと成長し、最後の曲集が成立するまで長期間を経ることが間々あった。またひとつの曲集でも、着想から発表までにしばしば時間を費やした。

モンポウの《子供の情景(Scènes d'enfants)》は、フランス音楽評論家エミール・ヴュイエルモーズをして、「クロード・ドビュッシーの後継者」と言わしめ、歌曲集《夢のたたかい》の第1曲「君の上には花ばかり」を初めて聞いた作曲家のフランシス・プーランクは、感動のあまり3度続けて演奏を求めたという。

作品一覧

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作品の多くはピアノ曲であるが、声楽曲にも優れたものが見られる。彼は、演奏会ピアニストとしての経歴を断念したが、ピアノ作品の作曲は続けていた。

1974年には自作のピアノ曲全集の録音を発表しており、これは現在、ブリリアント・クラシックスレーベルによって復刻された。歌と踊り第14番は「カタルーニャ現代ピアノ曲アンソロジー」のための単発書き下ろし作品のため、この曲だけ作曲者は録音をのこすことはできなかった。

ひそやかな音楽》や《歌と踊り》は、モンポウの代表作としてだけでなく、スペイン国民楽派亡き後の近代スペイン楽壇の重要なピアノ曲として、再評価が進められている。

ピアノ曲

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  • 内なる印象(Impresiones intimas - Planys)1911年~1914年
  • 子どもの情景(Scènes d'enfants)1915年~1918年
  • 山(舞曲)(Muntanya(Dansa)) 1915年
  • 街はずれ(Suburbis)全5曲 1916年~1917年
  • 魔法の歌(Cants màgics)全5曲 1919年
  • 遠くの祭り(Fêtes lointaines - six pièces pour piano)1920年
  • 魅惑(Charmes)1920年~1921年
  • 3つの変奏曲(Trois variations)1921年
  • 対話(Dialogues)1923年
  • パリ万博の思い出(Souvenirs de l'Exposition)1937年
  • ショパンの主題による変奏曲Variations sur un thème de Chopin)1938年~1957年
  • 風景(Paisajes)1942年~1960年
  • 前奏曲集(Préludes)全12曲 1927年~1960年
  • 橋(El pont)1946年
  • ひそやかな音楽Música callada
    • 第1集 Primer cuaderno - 1959年
    • 第2集 Segundo cuaderno - 1962年
    • 第3集 Tercer cuaderno - 1965年
    • 第4集 Cuarto cuaderno - 1967年
  • 歌と踊りCançons i danses)全15曲 1921年~1979年(下記のように第13曲のみギター独奏曲、第15曲のみオルガン曲)
  • 揺りかごの歌(Canción de cuna)1951年

ギター曲

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  • コンポステーラ組曲(Suite Compostelana)1962年
  • 歌と踊り 第13曲 1986年
  • 歌と踊り 第10曲(ピアノ独奏曲からの編曲)

管弦楽曲

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室内楽曲

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  • 橋(El pont)1977年 - チェロとピアノのための小品[2]

ピアノ伴奏歌曲

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  • 灰色の時刻(L'hora grisa)1916年
  • 4つの旋律(Cuatro melodías)1925年
  • 子守唄(Comptines)1926年~1943年
  • 夢のたたかい(Combat del somni)1942年~1950年
  • 魂の歌(Cantar del alma)1951年
  • ベッケル歌曲集(Canciones becquerianas)1971年

音源

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参考文献

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  • Rosenmann, Mauricio: Lieder ohne Ton : Anmerkungen zu Federico Mompou, Ralf R. Ollertz, Carlos Saura und Frédéric Chopin. Saarbrücken 1995
  • Bastianelli, Jérôme: Federico Mompou, 1893 - 1987 : à la recherche d'une musique perdue. Lausanne 2003
  • Prevel, Roger: La musique et Federico Mompou (Vorwort von Vladimir Jankélévitch). Genève 1976
  • Jankélévitch, Vladimir: La présence lointaine - Albeniz, Séverac, Mompou. Paris 1983. ISBN 2020064510[3]
  • Zalkind, Ann: A Study of Catalan Composer Frederico Mompou's (1893-1987) Musica Callada (Studies in the History and Interpretation of Music). New York 2002. ISBN 0773472312
  • Paine, Richard: Hispanic Traditions in Twentieth-Century Catalan Music: With Particular Reference to Gerhard, Mompou, and Montsalvatge. New York 1989. ISBN 0824020197
  • Mellers, Wilfrid: Le Jardin Retrouv. The Music of Frederic Mompou. 2007 ISBN 1904331254

関連項目

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脚注

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  1. ^ 結婚前の時期に、ブラーボによるモンポウ小品集の録音がある。
  2. ^ パブロ・カザルスを記念してスペイン教育省がスペインの作曲家に委嘱した一連の作品の中のひとつ。1946年の同名の自作ピアノ曲の1部を再利用して作曲、1977年に出版された。
  3. ^ 邦訳版が出版されている。ウラディミール・ジャンケレヴィッチ著 「遥かなる現前、アルベニス、セヴラック、モンポウ」 春秋社、2002年、ISBN 4-393-93157-2

外部リンク

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