1991年フランスグランプリ

1991年フランスグランプリは、1991年F1世界選手権の第7戦として、1991年7月7日にマニクール・サーキットで開催された。

フランスの旗 1991年フランスグランプリ
レース詳細
日程 1991年シーズン第7戦
決勝開催日 7月7日
開催地 マニクール・サーキット
フランス マニクール
コース長 4.250km
レース距離 72周(306.000km)
決勝日天候 曇り
ポールポジション
ドライバー
タイム 1'14.559[1]
ファステストラップ
ドライバー イギリスの旗 ナイジェル・マンセル
タイム 1'19.168(Lap 49[2]
決勝順位
優勝
2位
3位

概要 編集

前年までポール・リカール・サーキットでの開催だったフランスグランプリがこの年初めてマニクールで行われた。リジェのファクトリーが直近にあり、数年前よりジャン=マリー・バレストルに開催地変更を働きかけていたギ・リジェミッテラン大統領との個人的友好などもあり政治的背景が濃い開催地変更とも言われた。

決勝日にはリジェのピットにミッテランの姿があるなど注目をあびる中でモデファイされたリジェ・JS35Bは日曜朝のウォームアップセッションでティエリー・ブーツェン4位、エリック・コマスが5位を占め、ミッテランを喜ばせた。ただし決勝用セッティング確認よりも軽いタンクでタイムを出しに行った結果だったため、決勝はコマスが2周遅れの11位、ブーツェンが3周遅れの12位で終えた[3]

もう一つの話題はここまで未勝利と開幕前の下馬評からすると困難なシーズンとなっているフェラーリが新車643を完成させ、このフランスGPに持ち込んだことであった[4]。643でアラン・プロストは予選2位とフロントロウを獲得。ポールポジションは予選2日目にウィリアムズ・ルノーリカルド・パトレーゼが巻き返して3戦連続PPと好調を持続している。予選初日はトップタイムを記録したマクラーレン・ホンダアイルトン・セナだったが、土曜日のタイムは伸びず予選3番手となった。ルーキーのミカ・ハッキネンは、パワーサーキットであるマニクールでロータス・ジャッドのローパワーのため苦しい予選となり、0.2秒足りず27位でシーズン唯一の予選落ちを味わった。

決勝レースではパトレーゼがギア不調によりスタートに失敗、プロストが1周目からトップを走行し、中盤に予選4位スタートから決勝用セッティングに自信を持っていたウィリアムズ・ルノーのナイジェル・マンセルがすぐ後ろで追う展開となった。この2台の速さに他のマシンはついて行けずマッチレースとなる中、周回遅れが出始めるとマンセルがプロストを抜きトップに立った。

その後マンセルがピットイン、しかしタイヤ交換に時間が掛かったためプロストに再びトップを奪われる。ここから二人のファステストラップを出し合う応酬がはじまるが、ウィリアムズ・FW14の仕上がりの良さが勝り、マンセルがプロストに5秒差をつけて優勝。マンセルは1991年シーズン初勝利を挙げた。2人から大きく離された3位にセナが入ったが、前戦に続いてウィリアムズ・ルノーの速さに対してマクラーレン・ホンダの精彩が欠ける戦いとなった。フェラーリ643のジャン・アレジが4位、スタートの出遅れからパトレーゼがポイントをもぎ取る5位に入り、6位は7upジョーダンアンドレア・デ・チェザリスが最後のポイントを獲得。デ・チェザリスはこれで3戦連続のポイント獲得となり、ジョーダンの新チームらしからぬ速さと信頼性が結果で示された。7位のマウリシオ・グージェルミンレイトンハウス)までがグッドイヤータイヤ勢で占められ、ピレリタイヤを使用するチームは総じて不振に終わり、ベネトンネルソン・ピケが2周遅れの8位で完走したのが最高位であった。

結果 編集

予備予選 編集

順位 No ドライバー コンストラクター タイム
1 33   アンドレア・デ・チェザリス ジョーダンフォード 1'19.729
2 22   J.J.レート ダラーラジャッド 1'20.172 +0.443
3 14   オリビエ・グルイヤール フォンドメタルフォード 1'20.227 +0.498
4 32   ベルトラン・ガショー ジョーダンフォード 1'20.309 +0.580
DNPQ 21   エマニュエル・ピロ ダラーラジャッド 1'20.539 +0.810
DNPQ 34   ニコラ・ラリーニ ランボランボルギーニ 1'20.628 +0.899
DNPQ 35   エリック・ヴァン・デ・ポール ランボランボルギーニ 1'21.304 +1.575
8 31   ペドロ・チャベス コローニフォード 1'22.229 +2.500

予選 編集

順位 No ドライバー チーム タイム
1 6   リカルド・パトレーゼ ウィリアムズルノー 1'14.559 -
2 27   アラン・プロスト フェラーリ 1'14.789 +0.230
3 1   アイルトン・セナ マクラーレンホンダ 1'14.857 +0.298
4 5   ナイジェル・マンセル ウィリアムズルノー 1'14.895 +0.336
5 2   ゲルハルト・ベルガー マクラーレンホンダ 1'15.376 +0.817
6 28   ジャン・アレジ フェラーリ 1'15.877 +1.318
7 20   ネルソン・ピケ ベネトンフォード 1'16.816 +2.257
8 19   ロベルト・モレノ ベネトンフォード 1'16.961 +2.402
9 15   マウリシオ・グージェルミン レイトンハウスイルモア 1'17.015 +2.456
10 24   ジャンニ・モルビデリ ミナルディフェラーリ 1'17.020 +2.461
11 4   ステファノ・モデナ ティレルホンダ 1'17.114 +2.555
12 23   ピエルルイジ・マルティニ ミナルディフェラーリ 1'17.149 +2.590
13 33   アンドレア・デ・チェザリス ジョーダンフォード 1'17.163 +2.604
14 26   エリック・コマス リジェランボルギーニ 1'17.504 +2.945
15 16   イヴァン・カペリ レイトンハウスイルモア 1'17.533 +2.974
16 25   ティエリー・ブーツェン リジェランボルギーニ 1'17.775 +3.216
17 8   マーク・ブランデル ブラバムヤマハ 1'17.836 +3.277
18 3   中嶋悟 ティレルホンダ 1'18.144 +3.585
19 32   ベルトラン・ガショー ジョーダンフォード 1'18.150 +3.591
20 12   ジョニー・ハーバート ロータスジャッド 1'18.185 +3.626
21 14   オリビエ・グルイヤール フォンドメタルフォード 1'18.210 +3.651
22 30   鈴木亜久里 ローラフォード 1'18.224 +3.665
23 29   エリック・ベルナール ローラフォード 1'18.540 +3.981
24 7   マーティン・ブランドル ブラバムヤマハ 1'18.826 +4.267
25 9   ミケーレ・アルボレート フットワークフォード 1'18.846 +4.287
26 22   J.J.レート ダラーラジャッド 1'19.267 +4.708
DNQ 11   ミカ・ハッキネン ロータスジャッド 1'19.491 +4.932
DNQ 18   ファブリツィオ・バルバッツァ AGSフォード 1'20.110 +5.551
DNQ 17   ガブリエル・タルキーニ AGSフォード 1'20.262 +5.703
DNQ 10   ステファン・ヨハンソン フットワークフォード 1'21.000 +6.441

決勝 編集

順位 No ドライバー チーム 周回 タイム/リタイア グリッド ポイント
1 5   ナイジェル・マンセル ウィリアムズルノー 72 1:38'00.056 4 10
2 27   アラン・プロスト フェラーリ 72 +5.003 2 6
3 1   アイルトン・セナ マクラーレンホンダ 72 +34.934 3 4
4 28   ジャン・アレジ フェラーリ 72 +35.920 6 3
5 6   リカルド・パトレーゼ ウィリアムズルノー 71 +1 Lap 1 2
6 33   アンドレア・デ・チェザリス ジョーダンフォード 71 +1 Lap 13 1
7 15   マウリシオ・グージェルミン レイトンハウスイルモア 70 +2 Laps 9
8 20   ネルソン・ピケ ベネトンフォード 70 +2 Laps 7
9 23   ピエルルイジ・マルティニ ミナルディフェラーリ 70 +2 Laps 12
10 12   ジョニー・ハーバート ロータスジャッド 70 +2 Laps 20
11 26   エリック・コマス リジェランボルギーニ 70 +2 Laps 14
12 25   ティエリー・ブーツェン リジェランボルギーニ 69 +3 Laps 16
Ret 19   ロベルト・モレノ ベネトンフォード 63 体調不良 8
Ret 4   ステファノ・モデナ ティレルホンダ 57 ギヤボックス 11
Ret 14   オリビエ・グルイヤール フォンドメタルフォード 47 オイル漏れ 21
Ret 29   エリック・ベルナール ローラフォード 43 トランスミッション 23
Ret 22   J.J.レート ダラーラジャッド 39 タイヤ 26
Ret 8   マーク・ブランデル ブラバムヤマハ 36 スピン 17
Ret 30   鈴木亜久里 ローラフォード 32 トランスミッション 22
Ret 9   ミケーレ・アルボレート フットワークフォード 31 ギヤボックス 25
Ret 7   マーティン・ブランドル ブラバムヤマハ 21 ギヤボックス 24
Ret 3   中嶋悟 ティレルホンダ 12 スピン 18
Ret 24   ジャンニ・モルビデリ ミナルディフェラーリ 8 接触 10
Ret 16   イヴァン・カペリ レイトンハウスイルモア 7 スピン 15
Ret 2   ゲルハルト・ベルガー マクラーレンホンダ 6 エンジン 5
Ret 32   ベルトラン・ガショー ジョーダンフォード 0 スピン 19
出典:[5]

脚注 編集

  1. ^ Henry, Alan (1991). AUTOCOURSE 1991-92. Hazleton Publishing. p. 162. ISBN 0-905138-87-2 
  2. ^ Henry, Alan (1991). AUTOCOURSE 1991-92. Hazleton Publishing. p. 163. ISBN 0-905138-87-2 
  3. ^ RACE REPORT フランスGP Racing On No.103 8-9頁 1991年9月1日発行
  4. ^ 『AS+F』'91年フランスGP特集号「ベールを脱いだ“最終兵器”フェラーリ643登場!!」(三栄書房
  5. ^ 1991 French Grand Prix”. formula1.com. 2014年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月23日閲覧。
前戦
1991年メキシコグランプリ
FIA F1世界選手権
1991年シーズン
次戦
1991年イギリスグランプリ
前回開催
1990年フランスグランプリ
  フランスグランプリ 次回開催
1992年フランスグランプリ