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くぼた のぞみ1950年1月4日[1] - )は、日本翻訳家詩人北海道新十津川出身。東京外国語大学卒業。

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人物編集

アフリカから発信される文学の翻訳者として知られる。1989年にブッカー賞受賞作『マイケル・K』の翻訳で、南アフリカ出身のノーベル文学賞作家、J・M・クッツェーを日本に紹介した。クッツェー作品の翻訳にはほかにも、自伝的三部作の第一部『少年時代』やアパルトヘイト末期に書かれた『鉄の時代』がある。『少年時代』は続編の『青年時代』と『サマータイム』とともに作者が1巻にまとめた原著を、『サマータイム、青年時代、少年時代──辺境からの三つの〈自伝〉』として翻訳、出版している。

また、アパルトヘイト体制下の抑圧の厳しい時代にボツワナへ出国した女性作家ベッシー・ヘッドの短編集『優しさと力の物語』や、南アフリカの先住民文学の皮切りであるとともにアパルトヘイト解放闘争の裏面史を描いたゾーイ・ウィカムの『デイヴィッドの物語』など、南アフリカと縁の深い文学を紹介しつづけている。

ほかにも、ナイジェリア出身の作家チママンダ・ンゴズィ・アディーチェを紹介するため日本独自版の短編集『アメリカにいる、きみ』を編集翻訳し、ビアフラ戦争を背景にした長編ラブストーリー『半分のぼった黄色い太陽』のヒットを生む。

メキシコ系アメリカ人作家サンドラ・シスネロスハイチ系アメリカ人作家エドウィージ・ダンティカフランスの海外県であるカリブ海のグアドループ出身の作家マリーズ・コンデなど、国境、言語、民族といった境界を越えて往還する「世界文学」の作家も手がける。

紹介する作品の同時代的コンテキストを重要視する姿勢が特徴。

2016年に発表された著書『鏡のなかのボードレール』では、19世紀フランスの大詩人、シャルル・ボードレールの終生の恋人だったジャンヌ・デュヴァルからボードレールを見るという斬新な視点を提示し、ヨーロッパや南アフリカという土地で18世紀から現在にいたるまで、褐色の肌の女性に対してどのような視線が言語によって形成されてきたかを探る。さらに日本におけるボードレール受容に光をあて、現存する書籍内から具体的に詩人や研究者のデュヴァルへの視線と評価をあらわす表現を引用しながら、日本が近代化のなかで受容し形成してきたヨーロッパとアフリカへの視線の原点に迫ろうとする。

著書編集

  • 『風のなかの記憶』私家版 1981年
  • 『山羊にひかれて』書肆山田 1984年
  • 『愛のスクラップブック 』ミッドナイト・プレス 1992年
  • 『記憶のゆきを踏んで 』インスクリプト 2014年
  • 『鏡のなかのボードレール 』共和国 2016年

翻訳編集

アフリカ発/系の文学編集

その他編集

  • アニー・ディラード『ティンカー・クリークのほとりで』(金坂留美子共訳) めるくまーる 1991年
  • エヴリン・アトラニ=ソワイエ,アンヌ・ヴィダル『頭とからだと心の3重奏 自分のリズムがわかる本』リブリオ出版 1993年
  • カトリーヌ・ドルト=トリッチ『いのちのための14か条 病気とけがのすべてがわかる本』リブリオ出版 1993年1月
  • シャンタル・アンリ=ビアボーほか『わたしたちの体』リブリオ出版 1993年4月
  • ナタリー・シモンドン,アンヌ・ヴィダル『まなぶためのはじめの1歩 学校へいくみんなの本』リブリオ出版 1993年4月
  • ピーター・リーライト『子どもを喰う世界』さくまゆみこ共訳 晶文社 1995年7月
  • ロジャー・ローゼンブラット『中絶-生命をどう考えるか』』晶文社 1996年6月
  • サンドラ・シスネロス『マンゴー通り、ときどきさよなら』晶文社 1996年10月、白水社Uブックス2018年5月
  • サンドラ・シスネロス『サンアントニオの青い月』晶文社 1996年11月
  • ギルバート・ヴァルトバウアー『昆虫の四季』長野敬共訳 青土社 1998年3月
  • イザベル・フォンセーカ『立ったまま埋めてくれ ジプシーの旅と暮らし』青土社 1998年11月 
  • エリオ・シャクター『キノコの不思議な世界』青土社 1999年11月
  • クリス・スチュアート『アンダルシアの農園ぐらし』DHC 2002年3月
  • アミラ・ハス『パレスチナから報告します 占領地の住民となって』筑摩書房 2005年5月 

脚注編集

  1. ^ 『文藝年鑑』2006年

外部リンク編集