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アメリカ合衆国国土安全保障省

アメリカ合衆国連邦政府の行政機関

アメリカ合衆国国土安全保障省(アメリカがっしゅうこくこくどあんぜんほしょうしょう、: United States Department of Homeland Security、略称: DHS)は、アメリカ合衆国連邦政府の行政機関の一つで、公共の安寧の保持を所掌事務とする。概ね各国の内務省に相当する行政機関である[注 1]。その使命は、テロリズムの防止、国境の警備・管理、出入国管理税関業務、サイバーセキュリティ防災・災害対策である[4]

アメリカ合衆国国土安全保障省
United States Department of Homeland Security
Seal of the United States Department of Homeland Security.svg
紋章
Nebraska Avenue Complex 2017b.jpg
本部が入る合同庁舎
組織の概要
設立年月日 2002年11月25日
管轄 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
本部所在地 アメリカ合衆国ワシントンD.C.ネブラスカ通り3801番 合同庁舎
北緯38度56分17秒 西経77度4分56秒 / 北緯38.93806度 西経77.08222度 / 38.93806; -77.08222
人員 229,000人(2017年)[1]
年間予算 406億 米ドル(2017年)[2]
行政官
下位組織
ウェブサイト www.dhs.gov

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件を未然に防止することができなかった反省を踏まえて、テロリストの攻撃や自然災害等、あらゆる脅威から国土の安全を守るために、2002年11月に設置された、アメリカ合衆国連邦行政部の中で最も新しい省である。人員規模の点では、国防総省退役軍人省に次いで、3番目に大きな省である[5]

アメリカの国土安全保障英語版政策は、ホワイトハウスで開かれる国土安全保障会議英語版により調整される。このほかにアメリカの国土安全保障において特に重要な役割を担う行政機関としては、保健福祉省司法省エネルギー省がある。各州においては、国土安全保障省 (DHS) に相当する機関として、OHS(Office of Homeland Security、国土安全保障局)が設けられている。

目次

経緯編集

2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件では、多くの事前情報があったにもかかわらずテロ攻撃を許してしまった経験から、それまで国内の安全情報に関する情報機関が多数に分立していた事に問題点を見たアメリカ合衆国議会の主導によって提案された。ジョージ・W・ブッシュ第43代アメリカ合衆国大統領が署名し、2002年11月25日にこれら22の国内組織を統合し、総勢17-18万人(現在は20万人以上)の職員を有する巨大組織が設立された[6]

国家安全保障法以来の過去50年にない規模での省庁再編の結果、アメリカの行政機関の内、3番目に巨大な省として誕生した(1番目は国防総省・2番目は退役軍人省)。平時・戦時にかかわらず24時間体制で活動し、大統領の命令に直接的に従うものとされている。

Preserving our Freedoms, Protecting America”(我等の自由を保ち、アメリカを守る)がモットーであり、これは創設当時のブッシュ大統領の演説に因む[7]

沿革編集

  • 2001年9月11日 - アメリカ同時多発テロ事件が発生。
  • 2002年11月25日 - 国土安全保障省設立法にブッシュ大統領が署名し、正式な省となる。
  • 2003年1月24日 - 正式に業務開始。しかし、ロサンゼルス空港などでは係官1,000人以上を数か月で養成したため、日本人を含む外国人に対する誤認逮捕などが起こった。
  • 2009年以降 - オバマ政権に於いても、国家安全保障に関する強力な権限は維持されている。

2009年の新型インフルエンザの大流行の際も、メディアに頻繁に登場した。

組織編集

現在、DHSは主に以下の5つの部門から構成されている。

  • 連邦・地方連絡センター
  • 国土インフラ脅威・危険分析センター
  • 監視・警告
  • 国境及び化学・生物・放射能・核・強化高性能爆薬兵器の脅威分析
  • 国土環境脅威分析

内部組織は多岐にわたるため、上院議員100名全員がこれらの組織を監督する何らかの委員会や小委員会に属しているとされている[6]

2004年では、DHSは大きく4つの分野に分かれており、多くの政府機関の機能を統合運用する形となっている。

  • 国境警備および運輸保安
  • 緊急事態への準備・対応
  • 科学・テクノロジー
  • 情報分析および社会基盤(インフラ)の保護

カッコ内は基となった部署のある機関を示す。以下の部署名は暫定的な訳であり、日本語訳は定まっていない。

国境警備および運輸保安編集

  • 税関・国境警備局(CBP)
  • 市民権・移民局(USCIS):市民権、永住権、非移民ビザ・滞在・就労許可、難民、亡命申請の審査・裁定を行う、職員数は約19,000人
    • 移民・帰化局(司法省)
  • 移民・関税執行局(ICE):20,000人以上の職員を擁する大きな局
    • 関税局(財務省)
    • 移民・帰化局(司法省)
    • 連邦航空保安局(運輸省、連邦航空局、民間航空警備部?):航空保安官スカイマーシャル)関係
    • 連邦防護局(FPS)(一般調達局からの分離):中央地方を問わず連邦合同庁舎の保安
  • 動植物保健検査局(農務省)
  • 運輸保安庁 (TSA;Transportation Security Administration)(運輸省)
  • シークレットサービス - 秘密検察局(財務省)
  • 沿岸警備隊(USCG)(運輸省)
  • 国内対策室(ODP)(司法省)
  • 連邦法執行訓練センター(FLET)(財務省)

緊急事態への準備・対応編集

  • 連邦緊急事態管理庁(FEMA)
  • 国家災害医療システム(保健福祉省
  • 国内緊急事態支援チーム(司法省)
  • 国内準備対策局(FBI)
  • 原子力事故対応チーム(エネルギー省)

科学・テクノロジー編集

  • CBRN攻撃対策プログラム(エネルギー省
  • 環境計測研究所(エネルギー省)
  • 国立生物兵器防衛分析センター(国防総省)
  • プラムアイランド動物検疫センター(農務省)

情報分析および社会基盤(インフラ)の保護編集

  • エネルギー安全保障プログラム(エネルギー省)
  • 重要社会基盤保障局(商務省)
  • 国家社会基盤保護センター(FBI)
  • 連邦コンピュータ問題対応センター(一般調達局より分離)
    • コンピュータ緊急対応チーム(US-CERT)
  • 国家通信システム(NCS)(国防総省)

歴代長官編集

問題点編集

米議会が意図したCIAFBIの組織の統合は(フュージョンセンター)、CIAのカウンター・テロリズムセンターとFBIのテロリスト・スクリーニング・センターのように両者が従来の独自の権限を保有したまま別組織として行動・機能しているために、情報が集約されて分析されることはなく、組織統合が成功したとはいえない状況にある[6]

2003年3月に連邦緊急事態管理庁(FEMA)を、大統領直轄から国土安全保障省へ移管する組織改編が行われたが、2005年に相次いだハリケーン災害への対応を巡って、組織改編による指揮系統の混乱が災害対応の遅れに繋がったのではないかという批判が出た。これは、国土安全保障法の細部を定める実行法が統一されず、組織改編前と同様に各省庁に分散したままだったことが影響している。また、国土安全保障省では人事管理のマニュアルも出来ておらず、移籍した22の機関も実質的に分散したままであり、互いの意思疎通も出来ていなかった。

関連項目編集

脚注・出典編集

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脚注
  1. ^ アメリカ合衆国にも内務省が存在するが、同省は連邦政府の所有する公有地および天然資源の管理、先住民族関係の業務を扱う行政機関であり、他国の内務省とは性質が異なる。2008年のG8北海道洞爺湖サミットに関連して開催された司法・内務大臣会議に、アメリカから国土安全保障省副長官が“内務大臣”として参加している[3]ことからも、そのことが窺われる。
出典
  1. ^ Secretary of Homeland Security”. Homeland Security (2017年7月31日). 2018年2月9日閲覧。
  2. ^ Budget In Brief: Fiscal Year 2017 (PDF)”. Homeland Security. pp. 1, 2. 2017年3月23日閲覧。
  3. ^ 2008年G8司法・内務大臣会議(G8 Justice and Home Affairs Ministerial Meeting)”. 警察庁法務省. 2018年2月9日閲覧。
  4. ^ Our Mission”. Homeland Security (2016年5月11日). 2018年2月9日閲覧。
  5. ^ Archived copy”. 2010年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年5月31日閲覧。
  6. ^ a b c 小谷賢編 『世界のインテリジェンス』 PHP研究所 2007年12月10日第1版第1刷発行 ISBN 9784569696379
  7. ^ Bovard, James. "Moral high ground not won on battlefield", USA Today, October 08 2008. Retrieved on 2008-08-19.

外部リンク編集