アメリカ合衆国国際連合大使

アメリカ合衆国国際連合大使(アメリカがっしゅうこくこくさいれんごうたいし、英語: United States Ambassador to the United Nations)は、国際連合においてアメリカ合衆国政府代表部を代表する国連大使

アメリカ合衆国国際連合
大使
アメリカ合衆国国務省
現職者
リンダ・トマス=グリーンフィールド

就任日 2021年2月25日
指名ジョー・バイデン
初代就任エドワード・ステティニアス
特命全権大使
創設1945年
ウェブサイト国連アメリカ代表部ホームページ

正式には「国際連合アメリカ合衆国政府代表部代表特命全権大使及び国際連合安全保障理事会アメリカ合衆国代表」であり、略してアメリカ国連代表とも呼ばれる。

アメリカ国連代表は国際連合安全保障理事会でアメリカ合衆国を代表する権限を持ち、国際連合総会に出席するが、より高位の代表者(アメリカ合衆国国務長官アメリカ合衆国大統領)が出席した場合はその限りではない。また他のアメリカ合衆国大使と同様にアメリカ国連大使に就任する際も、大統領の指名を受けた上で上院の承認を得なければならない。

またヘンリー・カボット・ロッジ・ジュニアアドレー・スティーブンソンジョージ・H・W・ブッシュダニエル・パトリック・モイニハンアンドリュー・ヤング英語版ジーン・カークパトリックリチャード・ホルブルックマデレーン・オルブライトビル・リチャードソンジョン・ダンフォースらアメリカの著名な政治家や外交官が当職を歴任している。

閣僚としての扱い

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アメリカ国連大使は内閣の一員ではないが、閣僚級の扱いを受けることがある。フォード、カーター、レーガン大統領の時代に国連大使は閣僚級の扱いを受けたが、自身も国連大使を務めたジョージ・H・W・ブッシュ大統領は国連大使を閣僚級とはしなかった。その後クリントン政権下では再度閣僚として扱われるようになったが、ジョージ・W・ブッシュ大統領の時(2001年1月20日から2009年1月20日まで)は閣僚級とせず[1][2]、オバマ政権になって再度閣僚級の扱いとなった。25代目アメリカ合衆国国際連合大使ジョン・ボルトンは閣僚級と認めることに反対し、公に次の様に理由を述べている。「第一に、(国連大使を閣僚級とすることは)アメリカの外交における国連の役割と重要度の過大評価に他ならず、第二に、同じ部署(国務省)に2人の長官はいらないからだ。」

公邸

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国際連合本部ビルニューヨークに建設され始めた1947年に同じニューヨークの最高級ホテルであるウォルドルフ=アストリアの42階のスイートルームが国連大使の公邸として借り上げられた[3][4]。ジョージ・H・W・ブッシュなど歴代国連大使の自邸でもあった[5][6][7][8][9]

1960年に新しい公邸としてニューヨークマンハッタン区サットンプレイス3番地にあるタウンハウス(3サットン・プレイス)が所有者によってアメリカ政府に寄贈されるも当時のアドレー・スティーブンソン国連大使は拒否したため、1972年に3サットン・プレイスは国際連合に寄贈されて国際連合事務総長の公邸となった[6][10][11][12]

2014年10月に中華人民共和国保険会社鄧小平一族と繋がりを持つ政商呉小暉英語版が経営する安邦保険集団英語版にウォルドルフ=アストリアが買収されたため、アメリカ合衆国国務省2015年以降は防諜を理由に利用しないことを発表した[13]2016年3月時点でも公邸だったが[14]2017年1月に国連大使となったニッキー・ヘイリーがニューヨークの50 United Nations Plaza英語版を借り上げたことが報じられた[15][16]

歴代国連大使

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歴代のアメリカ国連大使(代行を含む)・国際連合事務総長と1945年以降のアメリカ合衆国大統領は以下の通り。

画像 米国国連大使 在任期間 国連事務総長 米国大統領
1   エドワード・ステティニアス 1945年–1946年 グラッドウィン・ジェブ ハリー・S・トルーマン
1946年 トリグブ・リー
  ハーシェル・ジョンソン英語版(代行) 1946年–1947年
2   ウォーレン・オースティン英語版 1947年–1952年
1953年 ダグ・ハマーショルド
3   ヘンリー・カボット・ロッジ・ジュニア 1953年–1960年 ドワイト・D・アイゼンハワー
4   ジェームズ・ワズワース英語版 1960年–1961年
5   アドレー・スティーブンソン 1961年 ジョン・F・ケネディ
1961年-1963年 ウ・タント
1963年-1965年 リンドン・ジョンソン
6   アーサー・ゴールドバーグ英語版 1965年–1968年
7   ジョージ・ボール英語版 1968年
8   ジェームズ・ラッセル・ウィギンズ英語版 1968年–1969年
9   チャールズ・ヨスト英語版 1969年–1971年 リチャード・ニクソン
10   ジョージ・H・W・ブッシュ 1971年
1972年-1973年 クルト・ヴァルトハイム
11   ジョン・A・スカリー英語版 1973年–1974年
1974年-1975年 ジェラルド・R・フォード
12   ダニエル・パトリック・モイニハン 1975年–1976年
13   ウィリアム・スクラントン英語版 1976年–1977年
14   アンドリュー・ヤング英語版 1977年–1979年 ジミー・カーター
15   ドナルド・マクヘンリー英語版 1979年–1981年
16   ジーン・カークパトリック 1981年 ロナルド・レーガン
1982年-1985年 ハビエル・ペレス・デ・クエヤル
17   バーノン・ウォルターズ英語版 1985年–1989年
18   トーマス・ピカリング英語版 1989年–1991年 ジョージ・H・W・ブッシュ
1992年 ブトロス・ブトロス=ガーリ
19   エドワード・パーキンス英語版 1992年–1993年
20   マデレーン・オルブライト 1993年–1996年 ビル・クリントン
1997年 コフィー・アナン
21   ビル・リチャードソン 1997年–1998年
  ピーター・バーレイ英語版(代行) 1998年–1999年
22   リチャード・ホルブルック 1999年–2001年
  ジェームズ・カニンガム英語版(代行) 2001年 ジョージ・W・ブッシュ
23   ジョン・ネグロポンテ 2001年–2004年
24   ジョン・ダンフォース 2004年–2005年
  アン・パターソン英語版(代行) 2005年
25   ジョン・ボルトン 2005年–2006年
  アレハンドロ・ダニエル・ウルフ英語版(代行) 2006年
2007年 潘基文
26   ザルメイ・ハリルザド 2007年–2009年
27   スーザン・ライス 2009年–2013年 バラク・オバマ
  ローズマリー・ディカルロ英語版(代行) 2013年
28   サマンサ・パワー 2013年–2016年
2017年 アントニオ・グテーレス
  ミシェル・J・シソン英語版(代行) 2017年 ドナルド・トランプ
29   ニッキー・ヘイリー 2017年–2019年
  ジョナサン・コーエン英語版(代行) 2019年
30   ケリー・クラフト英語版 2019年-2021年
  リチャード・M・ミルズ・ジュニア英語版(代行) 2021年 ジョー・バイデン
31   リンダ・トマス=グリーンフィールド 2021年-現職

脚注

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出典

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  1. ^ Kelemen, Michele (December 1, 2008). “U.N. Envoy Nominee Rice Known As Smart, Tough”. National Public Radio. January 21, 2009閲覧。 “ワシントンに本部を置く国連の外郭団体・国連財団理事長は、ライス新国連大使と、同職をクリントン政権時代と同じく再度閣僚級のポストとしたオバマ大統領の決断を歓迎する声明を発表した。”
  2. ^ Cooper, Helene (2008年11月20日). “Clinton Decision Holding Up Other Obama Choices”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2008/11/21/us/politics/20Cooperweb.html 2009年2月9日閲覧. "ライスは合衆国国連大使に就任したがこれはクリントン大統領時代の様に閣僚級のポストである。ブッシュ大統領は就任時このポストを格下げし閣僚級とはしていなかった。" 
  3. ^ Richardson, Bruce (2006). The Great Tea Rooms of America. Benjamin Press. p. 113. ISBN 0966347862
  4. ^ Wiedman, Reeves (October 2, 2015). "Midtown Shuffle". The New Yorker.
  5. ^ The Bush Family's New York City Hangouts”. New York Magazine (2004年8月24日). 2019年10月16日閲覧。
  6. ^ a b Knoller, Mark (June 5, 2013). "New U.N. ambassador's perk: A NYC penthouse". CBS News.
  7. ^ "UN Ambassador Forgoes Waldorf Suite". Victoria Advocate. August 29, 1999.
  8. ^ Kettle, Martin (August 29, 1999). "Suite at the Waldorf for Holbrooke aide". The Guardian.
  9. ^ "George Bush Ran All the Way". Life. November 5, 1971.
  10. ^ Lynch, Colum (December 8, 2006). "U.N. to Renovate Secretary General's Residence". Washington Post.
  11. ^ Spark, Penny (2005). Elsie De Wolfe: The Birth of Modern Interior Decoration. Acanthus Press. pp. 346–348. ISBN 0926494279.
  12. ^ Flippin, Alexis Lipsitz (January 25, 2011). Frommer's New York City with Kids. John Wiley & Sons. ISBN 978-1-118-01949-8 – via Google Books.
  13. ^ "US Diplomats leave the New York Waldorf-Astoria". Hospitality Business News. June 18, 2015.
  14. ^ "Anbang ups bid for Starwood, making Marriott merger less likely". Baltimore Sun. March 28, 2016.
  15. ^ "Luxury Sales Spike as Buyers Rush to Avoid Higher Mansion Taxes". NY Times. July 8, 2019.
  16. ^ "New York Deed". New York City Department of Finance. May 27, 2019.

関連項目

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外部リンク

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