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画像提供依頼:燃料改質器、固体高分子形燃料電池スタック、インバータ、熱回収装置、貯湯槽、バックアップ熱源が写っている画像の画像提供をお願いします。2011年3月

エネファーム(ENE・FARM) とは、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの愛称である。2008年6月25日燃料電池実用化推進協議会 (FCCJ) が家庭用燃料電池の認知向上を推進する取り組みとして、企業などに関係なく統一名称を決定した。発電ではなくあくまでも、家庭を中心とした節電を目的として開発された[1] 旧名(モニター試験名)ライフエル (Lifeall)

目次

概要編集

都市ガスLPガス灯油などから、改質器を用いて燃料となる水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電するシステムで、発電時の排熱を給湯に利用する。なお、発電の際には水素を用いるため二酸化炭素が発生しないが、改質で水素を取り出す過程では二酸化炭素が排出される。

出力は発電出力750 - 1000W程度、排熱出力1000 - 1300W程度。固体高分子形燃料電池(PEFC)と固体酸化物形燃料電池(SOFC)の2種類がある(長府製作所等ではSOFC型を「エネファームtype S」と呼称)。

メリットとデメリット編集

メリット編集

  • 発電で発生した排熱を直接利用できるため、排熱を利用しないタイプの火力発電原子力発電と比べて発電時のエネルギー利用効率が高い[2]コージェネレーションも参照のこと。
  • 自宅で発電をするため、送電ロスがほぼない。
  • ガス会社によっては、専用料金メニューを用意しており、ガス料金の割引を受けられる。
  • 給湯時の発電により家庭で使用する4 - 6割程度の電力量をまかなえるため、電気料金が安くなる。
  • 補助熱源機を組み合わせて使用するため、湯切れの心配がない。
  • 補助金制度がある。

デメリット編集

  • 発電時の排熱で貯湯タンク内のお湯を温めるシステムであるため、貯湯タンクを設置するためのスペースが必要になる。また、かなりの重量があり、設置には頑丈な基礎が必要である
  • ガス給湯器エコウィルと比べると、補助金制度はあるものの初期費用が高い。1機あたり300万円前後(前者の2つは80万円以下)。
  • 売電契約をしている場合を除き、貯湯タンクのお湯が沸ききると発電を止める仕組み(PEFC)のため、発電量がお湯の使用量に左右される。
    • SOFCの燃料電池スタックは頻繁な温度の上下変化に耐えられないため、SOFCを利用する製品は24時間連続運転するよう設計されている。売電契約をしていれば、余剰電力はガス会社に売れる。
  • 停電時には発電できない製品がある(#コストと将来見通しにて後述。2011年以前発売の全製品は停電時の発電機能を備えていなかった)。又、精密機器であるため、地震等による停電の時は、エラーが出て発電ができなかったり一般的な給湯器よりも復旧に時間がかかることもある。
  • 長時間にわたって低周波音を発生し、近隣住民とトラブルになるケースが報告されており、設置場所の検討は近隣への特段の配慮が必要とされる。(後述)
  • 発電所からのロスがないため、火力発電などより効率は高いが、エコキュートやエコジョーズと比べると熱効率は低い。ガスから水素へ改質する際に二酸化炭素やNOxなどを排出する。
  • 2016年4月からの電力自由化により余剰電力の売電が可能となったが、買取価格が太陽光発電のように10年間固定ではなく、ガス会社の原料調達価格に左右される。
  • エネファームに変えると契約年数に縛りがあり、数年は他社のガス料金プランに乗り換えられない。
  • 10年または発電時間が40,000時間たつと、強制的に運転停止となる。メーカーの点検を受けると運転再開できるが、以降も一年ごとの有償点検が必要となる。

仕組み編集

エネファームは大きく分けて下記のような6つの装置から構成される[3]

改質器
燃料(都市ガス・LPガス・灯油など)を水蒸気改質し、水素ガスを得る
固体高分子形燃料電池スタック
改質器からの水素と空気中の酸素を反応させ、直流電力を発生させる(同時に熱も発生する)
インバータ
直流から交流への変換、系統連系に関する諸機能を司る
熱回収装置
改質器と燃料電池スタックから熱を回収し、温水を作る
貯湯槽
温水を貯めておく
バックアップ熱源
貯湯槽の温水が不足になった場合に温水を供給する

これにより、電力と熱の両方を得る。燃料の持つエネルギーの70 - 80%を利用可能とされる[4]

コストと将来見通し編集

2009年1月発表の機器価格は約350万円であり、140万円の補助金を差し引いても建て主の負担は200万円強となっていた[3]が、2015年4月に発売されたモデルでは160万円台となっており、当初から半値となった。

使用できる期間は10年[5]

東京ガスでは、2016年度のユーザー負担額(機器費に加え、工事費、諸経費、補助金を含めたもの)の目標を70万円としており[5]、さらなるコストパフォーマンスの向上が期待されている[3]

当初、エネファームは機構上も電力会社との系統連携契約上も停電時には使用できなかったが、停電時も運転を続けられる新製品を大阪ガスは2012年7月17日から[6][7]、また東京ガスとパナソニックは停電時発電機能を備えたオプション品を開発し2014年4月・10月に発売[8]し、2015年4月からは機能を標準搭載したモデルを発売している。[9]

マンション向けモデルも登場している。

普及の動き編集

  • 2008年にモニター試験が行われた。この際はライフエル (lifuel) 呼ばれた[10]
  • 2009年よりエネファームの名称にて販売が開始された[3]。住宅メーカーなどで太陽光発電などとセットで採用される例もみられる[11]。民生用燃料電池導入支援補助金制度が開始される予定であり、燃料電池普及促進協会により2009年5月22日からの受付開始が予定されている[12]。制度開始時の補助金額は上限140万円であるが、年々減少方向にある[要出典]。たとえば2011年度は105万円までである。
  • 2009年5月25日に荏原製作所が燃料電池事業から撤退と同時にカナダバラード・パワー・システムズとの合弁会社「荏原バラード」も解散となった。エネファームが本格的に始動してから初の事業撤退会社となった[13]
  • 東京ガス東邦ガスなどではパナソニックから、また大阪ガスなどでは、東芝燃料電池システムENEOSセルテックから製品の供給を受けている(いずれも長府製作所からのOEM)。
  • 2011年10月、JX日鉱日石エネルギー(現・JXTGエネルギー)が市販機としては世界で初めてSOFC型エネファームを発売(長府とダイニチ工業との共同開発品)[14]
  • 2012年7月、大阪ガスは東芝燃料電池システム、長府製作所と共同で開発した自立運転機能付きのエネファームを発売した。
  • 2013年4月から、東京ガスはパナソニックと共同開発したエネファームの新製品を、希望小売価格199万5,000円で発売する[15]
  • 2014年10月 JX日鉱日石エネルギー(現・JXTGエネルギー)がSOFC型エネファームの販売を2015年3月末で生産・受注を終了することを発表[16]

キャッチコピー編集

東京ガスでは、「エネルギーをつかう家からつくる家へ」というキャッチコピーを使っている[17]。 実際には、無からエネルギーを生産するわけではなく、化学エネルギーから電気や熱を生み出すエネルギー変換である。

低周波騒音問題編集

エネファームに限らず多くの家庭用コジェネレーションシステム、及びヒートポンプ給湯装置は、運転時にファンを駆動させるため低周波音が発生する。2017年12月、消費者庁の事故調査委員会から、エネファームの発する運転音と健康被害の関連を指摘する報告があった。主な健康被害は、頭痛、不眠、胸の圧迫感である。被害の個人差が大きく、エネファームから20メートル離れた寝室でも、運転音が伝わり不眠を訴えるという報告もあった。[18]

低周波音自体はエアコンの室外機や自動車のエンジンからも発生するものではあるが、エネファームの場合他の発生源に比べ音量が大きく、その作動原理上長時間かつ夜間にも発生するため問題となる。設置場所に対する構造上の制限が少ないことから、所有者の寝室よりも隣家の寝室の近くに設置される事態も起こり得、隣家が不眠を訴えても所有者は被害が実感できず、トラブルになる場合がある。前述の通り発症の個人差が大きいため、被害を訴えるのが一人だけであり、他の家族や所有者は聞こえない、感じないというケースもあり、被害の深刻さが理解されにくい面もある。

解決策として、機器の移設、ANC装置、マスキング音、防音エンクロージャー[18]が考えられ、一定の効果が見られる場合もある。大阪ガスが株式会社ササクラと協力してANC(Active Noise Control)装置「スポットサイレンサー」をエネファーム向けに開発した。費用は70万円であるが、2018年2月現在、使用実績がないため確実な効果があるかは不明。

製造メーカー編集

かつて製造していたメーカー編集

脚注編集

  1. ^ 燃料電池、停電時使えず…太陽光も発電量不足
  2. ^ 省エネ・環境性|ホームエネルギー|JX日鉱日石エネルギー
  3. ^ a b c d エネファームの補助金は上限140万円、ケンプラッツ、2009年4月8日
  4. ^ エネファームについて
  5. ^ a b エネファームの現状と普及拡大に向けた課題2014年2月20日付
  6. ^ 笹田仁,スマートジャパン (2012年6月27日). “停電時も運転が可能なエネファーム、発電に必要な電力を自力でまかなう”. アイティメディア. http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1206/27/news020.html 2013年1月18日閲覧。 
  7. ^ 家庭用燃料電池エネファーム(自立運転機能付き)の発売について
  8. ^ 「家庭用燃料電池「エネファーム」向け停電時に自立起動して発電可能な「停電時発電機能」オプション品の開発について」、両社プレスリリース、2014年8月7日付。
  9. ^ 家庭用燃料電池「エネファーム」の戸建向け新製品発売について
  10. ^ 東京ガスによる家庭用燃料電池モニターの募集(2008年)
  11. ^ 積水ハウス、環境配慮型住宅「グリーンファースト」を販売開始、日経BP、2009年3月30日
  12. ^ 補助金制度について
  13. ^ 荏原製作所による燃料電池事業からの撤退及び子会社の解散に関するお知らせ
  14. ^ 家庭用燃料電池「エネファーム」のラインアップ拡充について
  15. ^ [1]
  16. ^ 家庭用燃料電池事業体制の見直しについて
  17. ^ エネファーム〜エネルギーをつかう家からつくる家へ〜 東京ガス
  18. ^ a b 家庭用コージェネレーションシステムから生じる運転音により不眠等の症状が発生したとされる事案(消費者庁)

関連項目編集

外部リンク編集