カラミティガンダム

ガンダムシリーズの登場兵器

カラミティガンダム (CALAMITY GUNDAM) は、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED』に登場する、モビルスーツ (MS) に分類される架空の有人式人型ロボット兵器のひとつ。「地球連合軍」が生体CPUブーステッドマン」用に開発した3機の1機で、「オルガ・サブナック」の搭乗機として劇中後半より登場する。「バスターガンダム」を発展させた重砲撃機で、背中から伸びた2門の砲塔が外観上の特徴。「カラミティ」は英語で「災厄」、「疫病神」を意味する。メディアや関連商品では「カラミティガンダム」と公称されるが、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズやその関連作品群の作中内の設定においては、同作の他のガンダムタイプ同様に「カラミティ」と呼称される。

メカニックデザイン大河原邦男

本項では、関連作品に登場する派生機についても解説する。

製作エピソード 編集

デザインを担当した大河原邦男は提出したラフ画稿がそのまま決定稿となったものの、砲身の長さ等には改訂の余地があるといった旨のコメントを残している[1]

設定解説 編集

諸元
カラミティ
CALAMITY
型式番号 GAT-X131[2]
分類 X100系[3]
指揮・火力支援用MS[4]
全高 18.26m[2]
重量 81.48t[2]
装甲材質 トランスフェイズ装甲[2]
動力源 バッテリー[5]
武装
  • 337mmプラズマサボット・バズーカ砲 トーデスブロック
  • 125mm2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク
  • 580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ
  • 115mm2連装衝角砲 ケーファー・ツヴァイ
搭乗者 オルガ・サブナック

アズラエル財団傘下の国防連合企業体が[6]初期GAT-Xシリーズのデータを基に開発した後期GAT-Xシリーズの1機[5]

連合内での万能機開発計画である「リビルド1416プログラム」という兵装換装方式のベース機に選定されている[7][8]。これはX105ストライクのストライカーパックシステムをより細分化させ、ベトロニクスFCS、MSオペレーション・システムなど)、アーマー部位、携行・内蔵武装ら機体内外を改変しあらゆる環境に適応した機体を目指したものである[5]

リビルド1416の実証機としてまずはエール(飛行)、ソード(格闘)、ランチャー(砲撃)の3つが計画されたが、軍の要請に従い砲撃系が先行して開発され、本機GAT-X131カラミティとして完成した[9]。この他、エールカラミティ[10]ソードカラミティも誕生した[7][8]ものの、のちに連合内での万能機開発ベースは105ダガーをメインとした計画に移行する[7]

リビルド1416の内、砲撃系として開発[10]された本機は砲戦火力に重点を置き、バスターガンダムの後継機に当たる[5]トランスフェイズ装甲の採用に伴う省エネルギー化により充実した火力を持ち[5][注 1]、視野の広い後方からの火力支援を得意とする特性から指揮官機としての側面も有している[5]。ザフトに災厄を呼ぶ疫病神としてカラミティの開発コードが与えられた[6][注 2]

多数の火砲の搭載と同時に機動性の確保も考慮され、バックパック、肩部、脚部、サイドスカートといった各部位にスラスターを設置している[2]。同時に重武装機でありながら機体は軽量化されている[13]。単独での大気圏内飛行能力は有していないが[4]、地表や水上をホバー走行することができる[2]。高性能の代償としてその操縦には精神的・肉体的な負担が発生したため、ブーステッドマンの搭乗を前提としている[14]。前期GAT-Xの5機よりもさらに性能を特化させた機体となっているが、同シリーズのX252フォビドゥンガンダムやX370レイダーガンダムと連携することで機能を補う[15]

フォビドゥン、レイダーとは異なり、カラミティを起点とした新たな制式採用機や量産機は製造されていない。

機体構造 編集

頭部
正面のV字型アンテナのほか、側面にもサブアンテナを有する[2]。頭部のメインカメラ外周カバー(底面内側)にはイタリア数字で6を指す単語と共に「SEI X-131」の文字が彫られている[16]
コックピット
レイダー、フォビドゥンと同様にストライクダガーと共通のコックピットを採用。モニターが全天周型に近いものに改められ、死角が減っている[17]
OS
ブーステッドマン専用のものを採用している[5]。一方で、第2期GAT-Xにナチュラル用OSを搭載したとする資料も存在する[18]。『機動戦士ガンダムSEED』本放送時に発売された『1/144 カラミティガンダム』(2003年6月発売)のパッケージ側面の解説ではナチュラル用OSを搭載していると記述される。アニメ『機動戦士ガンダムSEED』PHASE-44(リマスター版42)ではキラの口頭から搭乗者がナチュラルではない可能性が言及され、小説版においてはオーブ戦の折に第2期GAT-Xの動作からナチュラル用OSの癖も感じられなければナチュラル用の機体と比較し反射神経も高く、コーディネイター用の機体と遜色のない戦闘力を発揮していることがキラの視点で言及されている[19]
バックパック
スラスターやシュラークの支持部を有する[5]。ここにもバッテリーが搭載されており、増強された各種火器を支えている[20]

武装 編集

337mmプラズマサボット・バズーカ砲 トーデスブロック
携行式の大型バズーカ砲。Sabot とはドイツ語で「装弾筒」、Todeselock [注 3]は「死刑台」「死の塊」の意。
その名の通り小型の弾頭をプラズマに包む装備[21]。プラズマに包んだ弾頭を高速射出するもので、着弾地点周辺に大きなダメージと衝撃を与えるとした資料もみられる[2][注 4]
マガジンは砲後部に存在し、取り外し可能[注 5]
125mm 2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク
背部の連装ビーム砲。Schlag とはドイツ語で「打撃」の意。
通常のビームライフルの2倍以上の口径と高い連射性・出力を併せ持ち[2]、この装備によってカラミティは移動砲台としても機能する[22]
580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ
胸部内蔵の大出力ビーム砲。イージスでその威力を立証され、カラミティガンダムの主砲として採用された[22]。攻撃範囲が広く、その装備配置上、発射までの隙が少ないために接近する敵機に対する牽制としても活用される[2][注 6]
115mm 2連装衝角砲 ケーファー・ツヴァイ
射角を変更できるビーム砲を搭載した攻盾システムの一種。Kaefer Zwei とはドイツ語で「甲虫」と「2」の意。
ローラシア級の装甲部材を参考にした高い耐弾性を有する対ビームシールド[22]で出来ており、剣先状になっている先端は近距離格闘戦時に衝角の代わりにもなる[22]

劇中での活躍 編集

地球連合軍のブーステッドマンオルガ・サブナックが搭乗し、オーブ解放作戦において初めて実戦投入される。以降はドミニオン艦載機としてボアズ攻略戦や、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で多数の敵機を撃破する。

第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦においてミーティアユニット装備のジャスティスガンダムの大型ビームソードにより、機体を背後から両断されて撃墜される。

店頭用PV『プラモーション』ではソードカラミティとともにストライクIWSPと交戦する。これは終戦後に公開されたシミュレーター映像であり、実戦映像ではない[7]

ソードカラミティ 編集

雑誌『月刊ホビージャパン』連載の模型連動企画『機動戦士ガンダムSEED MSV』において初登場した。地球連合軍側の機体をMSVとする企画から誕生し、ノーマルのカラミティガンダムが砲戦型であったため格闘戦用、カラーリングも青から赤系統へと対のアイデアとなっている[24]

諸元
ソードカラミティ[8][注 7]
SWORD CALAMITY[8][注 8]
型式番号 GAT-X133-01 (初号機)[注 9]
GAT-X133 (2号機、3号機)
全高 18.26m[5]
装甲材質 トランスフェイズ装甲[5][注 10]
動力源 バッテリー[5]
武装
  • 580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ
  • 対装甲コンバットナイフ・アーマーシュナイダー×2
  • ロケットアンカー パンツァーアイゼン×2
  • ビームブーメラン マイダスメッサー×2
  • 15.78m対艦刀 シュベルトゲベール×2
搭乗者 レナ・イメリア(初号機)
エドワード・ハレルソン(2号機)
フォー・ソキウス(3号機)

砲撃型のカラミティを「リビルド1416プログラム」にもとづき接近戦用に仕様変更した機体。ソードストライカーに搭載された各武装の改良型を装備し、機体内部FCSベトロニクスのパラメータ変更も行なっている[8]。重火器を撤廃したことで軽量化され、機動性と運動性が向上している[5]。搭載OSも一般のナチュラルパイロット用に調整されている[5]

X131と同時期に3機が製造されたが、初号機のみはX131(オルガ・サブナック機とは別の増産モデル)を改装する形で完成しており、改装部分以外のカラーがX131そのままとなっている。運用データ収集後は他の装備に再度改装される予定だったが、戦局の推移により連合内での万能機開発ベースが105ダガーへと移行したため、第一次連合・プラント大戦の時点ではそのままの装備でデトロイトの国防連合企業体工場に保管されることとなった[7]

武装(ソード) 編集

580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ
中距離以上の射撃にも対応するためにX131から唯一残されたが、エネルギー消費抑制のために最大出力は70%に抑えられている[8]
対装甲コンバットナイフ・アーマーシュナイダー
GAT-X105ストライクの持つフォールディングナイフ(折り畳み)式とは異なり、シースナイフと呼ばれる形状へと改良された同名の戦闘ナイフ。収納場所は本体脚部の脛付近に換装された開閉式ホルダー内で、グリップを露出させた形(内部はアーマーシュナイダーの形状と合致するハメ込み構造)で運用される。
ロケットアンカー パンツァーアイゼン
ソードストライカーの物とほぼ同様のロケットアンカー。形状は多少異なり、腕の裏側に位置どる向きで装備される[注 11]
使用時はストライク専用のものと異なり、シールドごと射出(腕部のハードポイントにワイヤーで繋がっている)される[26]
ビームブーメラン マイダスメッサー
X131の高機動スラスター[8](両肩部アーマー)を排除し、換装されたビームブーメラン。ソードストライカーの物と形状が異なるだけの同一装備。
15.78m対艦刀 シュベルトゲベール
X131の長射程ビーム砲シュラークに代わり装備された対艦刀。試作段階だったソードストライカーの物とは異なり、グリップエンドから中・近距離用のビームを放射できるのが最大の相違点で[8]、漫画版『SEED DESTINY ASTRAY』ではマウント状態からシュラークのように利用した[27]ほか、『SEED MSV戦記』では手に保持したまま発射している[28]。また、ツーハンデッドソードとして扱われた設計とも異なり、片手保持(二刀流)で使用されるが、威力に影響はなくZGMF-1017 ジンを3機まとめて一刀両断できる。エドワード・ハレルソンは、2刀を重ね合わせて両手持ちするという運用も行った。出力されるビーム刃の色は、ソードストライカーのピンクではなくグリーンになっている。

劇中での活躍(ソード) 編集

ソードカラミティ2号機にはエドワード・ハレルソンが搭乗。『SEED ASTRAY B』にてフォー・ソキウスが搭乗する3号機とともにビクトリア基地奪還作戦に投入され、戦果を挙げる[29]。その後、『SEED ASTRAY』のPVアニメにてブルーフレームセカンドLと交戦(PVアニメでは決着がつかないまま終了しているが、小説版『ASTRAY』ではブルーフレーム側がエネルギー切れ寸前であったことや、イライジャの活躍でソードカラミティ側が交戦後に母艦の指示で撤退した事が語られている[30])。『SEED MSV戦記』では、第二次ヤキン・ドゥーエ宙域戦に参加した[28]。その後、漫画版『SEED DESTINY ASTRAY』にて2号機は大戦終結後に連合から奪取され、レナ・イメリア搭乗の初号機と相打ちするまで南米独立戦争における抵抗軍の要として多くの局面を戦い抜いた。

3号機はビクトリア攻防後[注 12]、漫画版『SEED ASTRAY』にてフォー・ソキウスともどもロンド・ギナ・サハクに譲り渡される。小説版『SEED ASTRAY』では、サハクによるクサナギ襲撃の任を受けた機体が出撃し、エリカ・シモンズの依頼を受けたブルーフレームセカンドLと交戦した[31]

初号機は漫画版『SEED DESTINY ASTRAY』にて南アメリカ独立戦争の際にレナ・イメリアが搭乗し、エドワード・ハレルソン搭乗の2号機と死闘を繰り広げ、相討ちに近い形で撃破される。その後、フォトストーリー版『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY』において、作中の登場人物であるカイト・マディガンによって密かに回収・修復され、彼のコレクションに加えられる[32]

備考 編集

GAT-X131 カラミティの操縦者オルガ・サブナックのアフレコを担当した俳優・小田井涼平(旧 涼平)が大のガンダムファンかつ上級者モデラーでもあったことで、『電撃ホビーマガジン』誌上にて「オリジナル ガンダマイズ ミッション!」が連載(全7回)され、『SEED MSV』で兄弟機のフォビドゥンとレイダーをモチーフにした「海」と「空」のバリエーションが登場した事に着想を得て「陸」をコンセプトに定め、涼平自身も好きと述べたTMF/A-802 バクゥと組み合わせた可変機「ビーストカラミティ」を2004年3月号から射水宏、空山竜司とともに共作(涼平はウイング部を担当)。2004年5月号に掲載された。

『月刊ホビージャパン』が創刊35周年を迎えてB4大型本サイズにリニューアルされた折の2004年10月号には、『1/144 HG カラミティガンダム』[33]対応の「ソードカラミティ改造キット&How to Build SWORD CALAMITY [改造キット製作法DVD] セット」が特別付録として同梱された。

キャラホビ2004』では、上述の市販プラモデルの成形色をソードカラミティ色に変更し、非売品だった改造キットと組み合わせた『1/144 HG カラミティガンダム レッドバージョン』が限定販売された。

ブラウカラミティ 編集

雑誌『月刊ホビージャパン』の模型連動企画『機動戦士ガンダムSEED DESTINY R』にて登場。モデラーのセイラマスオが製作した作例をもとに設定が付加され、公式化した。

のちに刊行された書籍では町田能彦による画稿が掲載されている[34]

諸元
ブラウカラミティ
BLAU CALAMITY
型式番号 GAT-X131B[34]
全高 18.26m[34]
重量 162.96t[34]
装甲材質 トランスフェイズ装甲
動力源 バッテリー(パワーエクステンダー搭載[34]
武装
  • 125mm2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク×2
  • 580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ×2
  • 115mm2連装衝角砲 ケーファー・ツヴァイ×2
  • コンバインドシールド(30mm径6銃身ガトリング砲)×2

地球連合軍第81独立機動群「ファントムペイン」と、アクタイオン・インダストリー社主催の企業チームによるGAT-Xシリーズ強化再生計画「アクタイオン・プロジェクト」に基づき完成した機体。開発はアクタイオン社の技術者であるヴァレリオ・ヴァレリによって行われた。ベース機の各種武装が2倍に増強され、驚異的な砲撃力を獲得している。この改修によって自重も増大したため、フロントスカートとふくらはぎ外側にスラスターを増設することで機動性の低下を抑えている[34]

圧倒的な火力を誇る反面、製造には天文学的な費用が掛かっており、フォビドゥンとレイダーは原型機を再製造する予算がなかったため、量産型であるフォビドゥンヴォーテクスやレイダー制式仕様をベース機に転用している。しかし、それでもコストの増加を抑えることはできず、これら3機にかかった費用は年間予算の2.6倍という凄まじいものとなった[34]

のちに製作されたゲルプレイダーロートフォビドゥンとの運用を前提に設計されており、人工知能「80」を搭載したうえで無人化を行い、トリオシステムと呼称される連携システムも導入されている[35]。「ブラウ」はドイツ語の「青」を意味する。

武装(ブラウ) 編集

125mm 2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク
ベース機のバックパックを2基分つなぎ合わせることで、砲身を4連装化している。
580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ
襟元中央に1門を増設した縦列2門式の砲口を内蔵している。
115mm 2連装衝角砲 ケーファー・ツヴァイ
両肩に増設されたジョイントにシールドを直接接続する方式に変更。これによって両腕の自由度が増し、ジョイントを支点にシールドを旋回させることで広い射角と防御範囲を獲得している。
シールドガトリング
I.W.S.P.の装備であるコンバインドシールドから、ビームブーメラン基部を含めた上部を除外したもの。両腕に装備する。

エールカラミティ 編集

諸元
エールカラミティ
AILE CALAMITY
型式番号 GAT-X130[36]
全高 18.26m[10]
重量 82.04t[10]
装甲材質 トランスフェイズ装甲[10]
武装
  • 空戦用複合兵装「アドラー」×1
  • 57mm2連装ショルダーキャノン×2
  • 580mm複列位相エネルギー砲「スキュラ」×1
  • 120mm3連装ガトリングガン×2
  • 220mm4連装多目的ミサイルポッド×2
  • ビームガントレット×2
  • 125mm2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク×1
搭乗者 ジョエル・ジャンメール・ジロー

漫画『機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE』に登場する軍事組織「アンティファクティス」が所有するモビルスーツ。メカニックデザインは阿久津潤一[10]

「リビルド1416プログラム」の一環として開発された[10]。アニメに登場した砲撃系(GAT-X131)を優先して本体の設計が進められたため、これを飛行に適した機体へと変更することは困難を極め、エールカラミティは3種の中では最後に完成を見る事となった[10]

エールカラミティは開発に時間を要したものの、空戦性能は軍部から要求されたスペックを満たし、さらに余力さえもあった。そのため、本機をベースとして砲撃・格闘機能を加えたI.W.S.P.カラミティとも呼べるような機体も開発が検討されていたが、高い性能を有するものの非常に操縦が難しく、「機体はあるがパイロットがいない」状態が続き、エースパイロット向けも含めて量産は見送られる事となった。[10]

バックパックに2基の推進ユニットと一対の主翼を装着した制空戦闘仕様。機体色はグレーとネイビーブルーを基調とする[9]

武装(エール) 編集

空戦用複合兵装「アドラー」
ドイツ語の鷲を意味する名を持つ武器で、前大戦においてG兵器をザフトに奪取された連合が、流出したPS装甲に対抗するために開発した対PS装甲用兵器の一つ[37]
複数のモードに変形可能で、ウォーハンマーのような打撃形態を基本に、槌頭からビーム刃を発生する槍状のジャベリンモード、槌頭を上に回転させて肩掛けで使用するライフルモードA、槌頭を下に回転させて腰溜めで使用するライフルモードBの4つの形態を使い分ける[9]
特筆するべきは打撃形態において発生される【アドラーの毒】と呼称される現象である。打撃形態の頭部は高硬度高密度の高質量金属で構成されており、片側が錐状に形成されている。MS本体のパワーとアドラー本体に備えられたスラスターで発生したパワーは打撃時にアドラー先端の錐の一点に集約される[37]事で絶大な衝撃を発生させ、大抵のMSは装甲ごと一撃で破壊。相手がPS装甲である場合も、表面は物理破壊を免れるも、一点集中した一撃の衝撃波はPS装甲自体を伝播して表面から裏側まで貫通[37]し、機体内側を破壊する[注 13]。一見無傷でありながら、叩けば叩くほど相対する機体の内側が破壊されていくこの現象を指して、操縦者は【アドラーの毒】と呼称する。この現象の原理を詳しく説明すると、HESHなどにおいて発生するスポール破壊と呼ばれる現象に基づく[37]
武装の開発経緯は、開発者が前大戦が始まる前にある地で出会ったさる武術家[注 14]が見せた、『発勁』と呼ばれるCE以前の旧時代から続く武術(マーシャルアーツ)が発想の切っ掛けであり、その効果を再現しようとしたものであるといわれている[注 15][37]
当武装の開発終了は大戦終結には間に合わなかったが、当武装が間に合っていたら戦局はまた変わっていたかもしれない[37]
580mm複列位相エネルギー砲「スキュラ」
ほかの系列機と同型の装備[9]
57mm2連装ショルダーキャノン
両肩に装備された射撃武装。空戦における主武装となるビーム砲である。基部をスライドすることで砲台が回転する構造になっている[9]
120mm3連装ガトリングガン
実体弾を使用する、左右の主翼先端下部に懸架される旋回式の機関砲[9]
220mm4連装多目的ミサイルポッド
ショルダーキャノン下部に装着されており、キャノンと同じく基部が回転する[9]。作戦に併せてミサイルは変更が可能で、ネット、センサー撹乱等、攻撃以外にも活用出来る。
ビームガントレッド
中央パーツから2つのビーム刃を発生可能で、取り外してビームサーベルとしても使用可能な、両腕の小型シールド[9]
125mm 2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク
ベース機と同型の装備で、本機では推進ユニット側面に追加されるオプションとなっている[9]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 新型バッテリーにより火力を支えているとした資料もみられる[11]
  2. ^ 最終決戦に投入される機体として、フォビドゥンやレイダーとともにヨハネの黙示録に起因する機体名を冠されたとする資料もみられる[12]
  3. ^ アニメ本篇 「30.PHASE-32 約束の地に」 におけるサザーランドの端末画面。
  4. ^ 一方で、本装備を大口径ビーム兵器であると記述した資料も存在する[22][23]
  5. ^ 設定画稿を参照[5]。なお、このマガジンをバッテリーとした資料も存在する[23]
  6. ^ コロニー・メンデルでの戦闘では、ジャスティスのラミネート装甲シールドに防がれた上にビームを押し返され、発射口が損傷するという事態に陥った。
  7. ^ 「ソードカラミティガンダム」と記述した資料もみられる[25]
  8. ^ 「SWORD CALAMITY GUNDAM」と記述した資料もみられる[25]
  9. ^ 「SEED MSV extra.2 ソードカラミティ初号機」で新規に起された設定(番号)[7]。なお、英名表記は「GAT-X133-01 SWORD CALAMITY-01」[7]
  10. ^ 『月刊ホビージャパン』掲載当時の記事と『機動戦士ガンダムSEED MODELS Vol.3 SEED MSV編』[8]の双方においては「トランスフェーズ装甲」で表記されている。
  11. ^ 2008年4月に発売された『MG 1/100 ランチャー/ソードストライクガンダム』や、2012年2月に発売された『RG 1/144 スカイグラスパー』に付属するソードストライカーのように、後続のプラモデルキットではストライクガンダムにおいてもこの装備方法をとるものも存在する。
  12. ^ サハクがオーブ側としてビクトリア攻防戦に協力したことから、その礼としてパイロットごと譲渡された[30]
  13. ^ この衝撃波で破壊される"内側"には、機体の内部構造のみならず、操縦しているパイロットも含まれる。
  14. ^ 解説文の背景に記載されている、この上半身裸の武術家の外見画像は、後ろ向きで顔の目元こそ影がかかっているがバリー・ホーに似る[37]
  15. ^ なお、解説文上では最後に「真相は不明」と記載されているが、背景画像上では先述の通り発想の元となった武術家が絵として記載されている[37]

出典 編集

  1. ^ 『コミッカーズ』2003年秋号、美術出版社、36-39頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j 『機動戦士ガンダムSEED MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年7月1日初版発行、82-85頁。(ISBN 978-4-7580-1108-2)
  3. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月15日初版発行、6頁。(ISBN 978-4-7580-1126-6)
  4. ^ a b 『データコレクション18 機動戦士ガンダムSEED 下巻』メディアワークス、2004年11月15日初版発行、30-31頁。(ISBN 9784840228671)
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『機動戦士ガンダムSEED メカニック&ワールド』双葉社、2012年11月28日初版発行、28-31頁。(ISBN 978-4-575-46469-6)
  6. ^ a b 『機動戦士ガンダムSEEDモデルVOL.4 紅の炎編』ホビージャパン、2004年9月、42頁。(ISBN 4-89425-347-X)
  7. ^ a b c d e f g 『機動戦士ガンダムSEEDモデルVOL.4 紅の炎編』ホビージャパン、2004年10月12日初版発行、130頁。(ISBN 4-89425-347-X)
  8. ^ a b c d e f g h i 『機動戦士ガンダムSEEDモデルVol.3 SEED MSV編』ホビージャパン、2004年5月31日初版発行、75頁。(ISBN 4-89425-336-4)
  9. ^ a b c d e f g h i 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2022年1月、198-201頁。JAN 4910124010129
  10. ^ a b c d e f g h i 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2022年2月、234-237頁。JAN 4910124010228
  11. ^ 『パーフェクトアーカイブス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』竹書房、2006年5月、162-167頁。(ISBN 978-4812426876)
  12. ^ 『月刊ガンダムエース』2004年9月号、角川書店露、293-294頁。
  13. ^ 『機動戦士ガンダム MS大全集2006』メディアワークス、2006年5月、323頁。ISBN 978-4840234115
  14. ^ 『データコレクション18 機動戦士ガンダムSEED 下巻』メディアワークス、2004年11月15日初版発行、70-71頁。(ISBN 9784840228671)
  15. ^ 『グレートメカニック14』双葉社、2004年12月、80-81頁。ISBN 978-4575464245
  16. ^ 『機動戦士ガンダムSEED』第3OP映像を参照。
  17. ^ 『機動戦士ガンダムSEED メカニック&ワールド』双葉社、2012年11月28日初版発行、59頁。(ISBN 978-4-575-46469-6)
  18. ^ 『機動戦士ガンダム MS大全集2006』メディアワークス、2006年5月、324頁。ISBN 978-4840234115
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  21. ^ 『機動戦士ガンダムSEED OFFICIAL FILE メカ編vol.3』講談社 2003年9月9日第一版発行 8-9頁。(ISBN 4063347702)
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  23. ^ a b 『機動戦士ガンダムSEED 公式ガイドブック3 明日への扉』角川書店、2003年11月、86頁、ISBN 978-4048536882
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  28. ^ a b 『ホビージャパンMOOK 機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデルVol.2 DESTINY MSV編』ホビージャパン、2006年3月31日、172-177頁。ISBN 4-89425-415-8
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  30. ^ a b 千葉智宏『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 2』角川書店、2004年7月1日、148-157頁。ISBN 4-04-429703-7
  31. ^ 千葉智宏『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 2』角川書店、2004年7月1日、90-100頁。ISBN 4-04-429703-7
  32. ^ 千葉智宏『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY 下巻 絆を求める者』メディアワークス、2006年8月15日、160-161頁。ISBN 4-8402-3498-1
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  36. ^ ホビーオンラインショップ FULL MECHANICS 1/100 エールカラミティガンダム
  37. ^ a b c d e f g h 曽我篤士『機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE 2』角川書店2022年12月26日 第9話『アドラーの毒』 110-111頁 (ISBN 978-4-04-113245-6)

関連項目 編集

外部リンク 編集