キャスティング・ボート (比喩)
議会における議決が可否同数の場合、その可否を議長の職権で決めること、およびその議長の可否判断
比喩的な意味でのキャスティング・ボート(英語: casting vote)は、議会などで2大勢力が拮抗しいずれも過半数を制することができない場合において、第三の勢力が事実上の決定権を行使できる立場になることをさす。これは、議事において可否同数の場合、議長の職権で可否を決めること(議長決裁)を指す本来の意味から転じた用法である[1]。
このようなキャスティング・ボートを握る政党は拮抗する両勢力に対し非常に強い立場に立ち、しばしば二大勢力から様々な有利な取引の持ちかけが行われる。
日本の事例
編集日本では、国会において二大政党の勢力が拮抗している時の少数政党や、政党(主に自民党)内における二大派閥(勢力)以外の派閥(勢力)が、いずれかの陣営に付くことで政局の動向を左右できる場合に「キャスティング・ボートを握っている」という風に使われる言葉である。
海外の事例
編集・旧西ドイツでは、自由民主党(FDP)がキャスティング・ボートを握り、保革の二大政党であるキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)、ドイツ社会民主党(SPD)のどちらかと連立政権を組んで、戦後のほとんどの期間政権に参加し続けていた。特にFDPのキャスティング・ボートが顕著に現れたのが1982年にSPD・FDP連立のシュミット内閣が倒された時である。この時FDPはSPDと連立を解消し、CDU/CSUと連立を組むことによって連邦議会内の勢力を逆転させ、コール政権を誕生させている。
・アメリカ合衆国最高裁判所主席判事のジョン・ロバーツは同裁判所内で最も穏健な保守派の判事である。2020年以降、連邦最高裁判所が下した判決と同じ判断を下した回数が9名の判事(保守派6名・革新派3名)の中でトップであることから同裁判所のキャスティングボードとされる。
脚注
編集- ^ “キャスティング・ボート(きゃすてぃんぐぼーと)とは?意味や使い方”. コトバンク. 2024年1月28日閲覧。