キーウィ(Kiwi)は、後述するキーウィ目に分類されていた構成種Apteryx australisに対して用いられていた和名、もしくは鳥綱キーウィ目(Apterygiformes)に分類される構成種の総称である。この記事では後者について解説を行う。ニワトリほどの大きさのキーウィは、間違いなく最も小さな平胸類である(平胸類はダチョウエミューレアヒクイドリからも構成される)。

キーウィ目
Tokoeka.jpg
Apteryx australis
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: キーウィ目 Apterygiformes
: キーウィ科 Apterygidae
: キーウィ属 Apteryx
学名
Apterygiformes
Apterygidae
Apteryx Shaw 1813[1]
和名
キーウィ目[2]
キーウィ科[3]
キーウィ属[3]

DNA配列比較から、キーウィは同じくニュージーランドに隔離されていたモアよりもマダガスカル島にいたエピオルニス(どちらも絶滅種)とはるかに近縁であるという驚くべき結論が得られている[4]。キーウィには広く認められた5つのが存在し、そのうち4種は現在危急種、1種は近危急種に指定されている。全ての種は歴史上の森林破壊英語版の悪影響を受けてきたが、現在キーウィの森林生息地の残っている広大な土地は保護地と国立公園としてよく保護されている。現在のところ、キーウィの生存に対する最大の脅威は侵入したほ乳類捕食者による捕食である。

キーウィの卵は世界の鳥類の中で、体の大きさに対する割合では最も大きなものの一つである(雌の体重の最大20%).[5]。毛のような羽根や短くどっしりとした脚、見るよりも前に餌に気付くために長いくちばしの先端にある鼻孔を使う、といったその他の特有の適応から、キーウィは国際的によく知られるようになっている。

キーウィはニュージーランドの象徴英語版と認められており、その結び付きは、「キーウィ」という用語がニュージーランド住民に対する砕けた呼称として国際的に使われるほど強い[6]

分布編集

ニュージーランド固有種で国鳥である[7]

形態編集

飛翔するための胸筋が付着するための突起(竜骨突起)がない[2][3]。尾羽がない[2][3]

嗅覚は発達する[3]。嘴基部から生えた剛毛による触覚も発達している[3]

ニワトリくらいの大きさで、翼は近くから見ても外見上確認が難しいほどに退化しているため飛ぶことは出来ない。[要出典]骨の構造上は翼(前肢)は存在しているが、成熟した個体の羽毛をめくってみても、その長さはせいぜい5cmほどである[要出典]

分類編集

Clements Checklist (v2017) およびIOC World Bird List(v8.2) ではキーウィ目を構成する説を採用している[1][8]。一方で2017年現在Birdlife Internatinalではキーウィ科をダチョウ目に含める説を採用している[9]

以前はキーウィ(タテジマキーウィ)Apteryx australis・オオマダラキーウィ・コマダラキーウィの3種で構成されていた[2][3]A. australisの亜種のうち、亜種キタタテジマキーウィA. a. mantelliを独立種A. mantelliとして分割する説が有力とされる[1][8][9]。2003年にApteryx rowiが新種記載された[10]

 
キーウィ各種の分布。haast tokoeka

以下の分類はClements Checklist (v2017)およびIOC World Bird List(v8.2)に、和名は竹下(2000)に、英名はIOC World Bird List(v8.2)に従う[1][7][8]

分類学上はキーウィ属で、1属でキーウィ科を作る単型。キーウィ科は伝統的に1科でキーウィ目を作ってきたが、ダチョウ目やモア目に含める説もある。

生態編集

森林や藪地などに生息する[7]夜行性だが[3]、スチュワート島(Apteryx australisの亜種)では昼間でも活動する[2]。ペア間で鳴き声を交し合い縄張りを維持するが、嗅覚も互いの状況を確認するために役立っていると考えられている[2]。名前はマオリ族の呼称で、鳴き声に由来する[3]

昆虫の幼虫やクモ多足類ミミズ果実などを食べる[3]。地面や倒木などに、嘴を差し込んだりつついたりして食物を探す[3]。夕方以降、餌を求めて歩き回る。

繁殖様式は卵生。体重の4分の1ほどの卵を産む[2]。オスが抱卵するが、卵の上端しか暖めることができず、卵の上下で温度差が10℃近くになる[3]。これらの理由は祖先が大型の鳥で、体だけが小型化したものと考えられている[要出典]。雛は孵化してから数日で巣の外を歩き回るようになり、自力で食物を探し始める[2][3]

人間との関係編集

マオリ族の間では食用とされたり、羽毛が外套の原料として利用された[2][3]

農地開発や放牧による生息地の破壊、食用の狩猟、イヌネコオコジョなどの人為的に移入された動物による捕食などにより生息数が減少した[2][3]

かつては1000万羽ほどいたが、今では3万羽ほどまで減少して危機的な状況だという。天敵のいない環境に適応していることから、ネコやネズミ、オコジョなどの移入動物(人間が作為的に持ち込んだ動物)の影響で雛が食べられてしまい、個体数は減少している。理由は人間が食用に捕えていたこと、人間が持ち込んだネコなどの哺乳類に適応できず雛を捕食されてしまったからだという。人間を警戒しない。好奇心で人間の後をついていくこともある。[要出典]

日本では、1970年大阪万博の開催を記念してニュージーランド政府が、大阪の大阪市天王寺動物園にキーウィを寄贈した。その後も同園は日本の動物園で唯一、キーウィを飼育している[11]

キウイフルーツ」の名前は、ニュージーランドから輸出されるようになった際、販売戦略上不利な扱いをうけないために、ニュージーランドのシンボルであるキーウィにちなみ1959年に命名された。(詳細は当該記事を参照)[12]

ニュージーランドのシンボル編集

キーウィはニュージーランドの国を象徴する鳥(国鳥)。また、キーウィは、ニュージーランドのシンボルとして19世紀後半に連隊バッジに初めて登場した。その後、1886年にサウスカンタベリー大隊のバッジ、1887年にヘイスティングスライフルボランティアのバッジに登場し、多くの軍事バッジにキウイが登場した。 1906年に生まれた靴のケア用品「KIWI(キィウイ)英語版」がイギリスとアメリカで広く販売されるようになり、ニュージーランドのシンボルとして知られるようになった[13]

第一次世界大戦中、ニュージーランドの兵士を一般的に「Kiwi」と呼ぶようになり、巨大なキウイ(現在はブルフォードキウイ英語版として知られている)が、イギリスのスリングキャンプ英語版の上の白い丘に刻まれた。現在、ニュージーランド人は「Kiwi」と呼ばれ、ニュージーランド人自身も「Kiwi」を自称する[14]

キーウィはニュージーランドの最も有名な国民的シンボルになり、ニュージーランドの多くの都市、クラブ、組織の紋章やバッジに使われている。 ニュージーランド空軍、ニュージーランドラグビーリーグのロゴに使われており、ラグビーリーグニュージーランド代表は「Kiwis(キウイズ)」という愛称で知られる[15]

ニュージーランド・ドル(NZD)の1ドル硬貨の裏にはキウイがデザインされていて、外国為替市場などでNZDはしばしば「Kiwi」と呼ばれる[16]。キーウィはオスが巣作りや子育てをすることから、献身的に家事や子育てをする父親を「Kiwi husband(キウィの旦那)」と呼ぶ[17]

ニュージーランド航空は2017年より、オリジナルキャラクターとしてキーウィの「ピート」(声:サム・ニール)を、同社のキャンペーン動画に起用している。[18]

カンタベリー・オブ・ニュージーランド (Canterbury NZ)のロゴは、彩色した円をキーウィの形で抜き、"C" 型に残したものを3つ並べた意匠である(CCC; Canterbury Clothing Company)。

その他編集

写真編集

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d Ratites: Ostriches to Tinamous, Gill F & D Donsker (Eds). 2018. IOC World Bird List (v 8.1). doi:10.14344/IOC.ML.8.1 (Retrieved 18 June 2018)
  2. ^ a b c d e f g h i j Jolly 「キーウィ類」上田恵介訳『動物大百科 7 鳥I』黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編、平凡社、1986年、36頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 福田道雄 「臆病な森の生活者 キーウィ」『動物たちの地球 鳥類I 1 ダチョウ・アホウドリほか』長谷川博編著、朝日新聞社1992年、14-15頁。
  4. ^ Mitchell, K. J.; Llamas, B.; Soubrier, J.; Rawlence, N. J.; Worthy, T. H.; Wood, J.; Lee, M. S. Y.; Cooper, A. (2014-05-23). “Ancient DNA reveals elephant birds and kiwi are sister taxa and clarifies ratite bird evolution”. Science 344 (6186): 898–900. doi:10.1126/science.1251981. PMID 24855267. 
  5. ^ Birds: Kiwi”. San Diego Zoo. 2008年9月19日閲覧。
  6. ^ Kiwis/Kiwi - New Zealand Immigration Service (Summary of Terms)”. Glossary.immigration.govt.nz. 2012年9月13日閲覧。
  7. ^ a b c 竹下信雄 「タテジマキーウィ(キーウィ)」「オオマダラキーウィ」「コマダラキーウィ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社2001年、172-173頁。
  8. ^ a b c Clements, J. F., T. S. Schulenberg, M. J. Iliff, D. Roberson, T. A. Fredericks, B. L. Sullivan, and C. L. Wood. 2017. The eBird/Clements checklist of birds of the world: v2017. Downloaded from http://www.birds.cornell.edu/clementschecklist/download/. (Retrieved 11 July 2018).
  9. ^ a b BirdLife International. 2017. Apteryx mantelli. The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T45353580A119177586. doi:10.2305/IUCN.UK.2017-3.RLTS.T45353580A119177586.en. Downloaded on 14 July 2018.
  10. ^ Alan J. D. Tennyson, Ricardo L. Palma, Hugh A. Robertson, Trevor H. Worthy and B. J. Gill, "A new species of kiwi (Aves, Apterygiformes) from Okarito, New Zealand," Records of the Auckland Museum Volume 40, 2003, Pages 55-64.
  11. ^ キーウィの七不思議と天王寺動物園で起きた一つの奇跡”. 大阪市天王寺動物園協会 (2008年7月). 2020年4月7日閲覧。
  12. ^ https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000113558
  13. ^ Brooks, Miki (英語). Lessons From a Land Down Under: Devotions from New Zealand. Lulu. pp. 3–4. ISBN 9780557098842. https://books.google.co.uk/books?id=JI-NBQAAQBAJ&pg=PA3&lpg=PA3 
  14. ^ "A kiwi country", Te Ara
  15. ^ The Kiwi”. About New Zealand. NZ Search. 2009年1月16日閲覧。
  16. ^ “Kiwi falls after Wheeler talks down intervention, QE”. The National Business Review (NZ). (2012年10月27日). http://www.nbr.co.nz/article/nz-dollar-falls-after-rbnzs-wheeler-talks-down-intervention-quantitative-easing-bd-131312 2012年10月27日閲覧。 
  17. ^ 徹底究明!ニュージーランド人をKiwiと呼ぶ理由”. 日刊ニュージーランドライフ (2018年10月20日). 2019年8月7日閲覧。
  18. ^ 独特なクリエイティブに定評!ニュージーランド航空の最新作ビデオは、現地を象徴する国鳥が主役|AdGang”. AdGang produced by PR TIMES (2017年8月30日). 2020年4月7日閲覧。

関連項目編集