ギンラン(銀蘭、学名Cephalanthera erecta )は、ラン科キンラン属の地生の多年草[2][3][4][5]

ギンラン
福島県磐梯山 2015年6月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
: キンラン属 Cephalanthera
: ギンラン C. erecta
学名
Cephalanthera erecta (Thunb.) Blume var. erecta[1]
和名
ギンラン(銀蘭)[2]

特徴 編集

地下に軟骨質の細根が束生する。は直立してやせ細り、高さは10-30cmになり、茎に毛はない。は3-6個が互生し、葉身は狭長楕円形で、長さ3-8cm、幅1-3cmになり、葉先は鋭くとがり、基部は茎を抱く。葉に毛はない[2][3][4]

花期は5-6月。茎先に数個の白色のをつける。全体にキンランより小さい。は狭3角形で長さ1-3mmになるが、下位の1-2個はそれより長くなる。萼片は披針形で先端はややとがり、長さは7-9mmになる。側花弁は広披針形で先端は鈍頭で、長さは萼片よりやや短く、あまり開かない。唇弁の基部は筒状になって短い距となり、先は3裂し、2個の側裂片は3角状、中裂片は舌状になり5個の淡黄褐色の隆起線がある[2][3][4]

似た種に、同属のササバギンランがある。

分布と生育環境 編集

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、明るい林内に生育する[5]。国外では、中国大陸、台湾、朝鮮半島に分布する[6]

名前の由来 編集

和名のギンランは、銀蘭の意で、黄色の花を咲かせるキンラン(金蘭)に対して、白色の花を咲かせることによる[4]学名の属名、Cephalanthera は、ギリシア語で、kephalos「頭」+anthera「葯」で、蕊柱の頭部にある大型の葯の形からきており、種小名の erecta は、「直立した」の意味[4]

ギャラリー 編集

変種 編集

  • ユウシュンラン Cephalanthera erecta (Thunb.) Blume var. subaphylla (Miyabe et Kudô) Ohwi[7] - 茎の高さは10-15cm。上部の1個の葉は長さ1-2cmになり、その他は鞘状に退化する。花は茎先に2-3個つき、白色で半開状につく。ややまれに、北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島に分布する[2][3][8]。環境省の絶滅危惧II類(VU)-2012年レッドデータ[9]Cephalanthera subaphylla Miyabe et Kudô として、独立種とする見解もある[8]

脚注 編集

  1. ^ ギンラン「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.113
  3. ^ a b c d 『日本の野生植物 草本I 単子葉類』pp.207-208
  4. ^ a b c d e 『新牧野日本植物圖鑑』p.1071, p.1287, p.1326
  5. ^ a b 『日本ラン科植物図譜』pp.157-159, p.343
  6. ^ Cephalanthera erecta – eMonocot
  7. ^ ユウシュンラン「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  8. ^ a b 『改訂新版 日本の野生植物1』p.189
  9. ^ ユウシュンラン、日本のレッドデータ検索システム

参考文献 編集