クロトウヒレン

キク科の種

クロトウヒレン(黒塔飛廉、学名:Saussurea sessiliflora)は、キク科トウヒレン属多年草[3][4][5]北アルプス白山の代表的な高山植物のひとつ[3]

クロトウヒレン
群馬県谷川岳 2019年8月中旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : アザミ亜科 Carduoideae
: トウヒレン属 Saussurea
: クロトウヒレン
S. sessiliflora
学名
Saussurea sessiliflora (Koidz.) Kitam.[1]
シノニム
  • Saussurea nikoensis Franch. et Sav. var. sessiliflora (Koidz.) Kitam.[2]
  • Saussurea tanakae Franch. et Sav. ex Maxim. var. sessiliflora Koidz.[3]
和名
クロトウヒレン(黒塔飛廉)[4][5]

特徴 編集

は直立し、高さは15-70cmになる。茎に葉柄から流れた明瞭な翼があり、上部には茶褐色の縮れた毛が密生する。ふつう花時には根出葉が生存しない。茎の下部につく葉の葉身は三角状卵形から卵形になり、長さ5-15cm、幅4-12cm、先は鋭頭、基部は心形になり、縁は歯牙状になる。葉柄は長さ10-15cmになり、上半部に翼がある[3][4][5]

花期は7-9月。頭状花序は塊状に2-6個が密集してつく。花柄は無いことが多いが、あっても長さ5-15mmになり、頭花の径は1.5cmになる。総苞は長さ10-15mm、径12-20mmになる球状鐘形から鐘形で、暗紫色から淡赤褐色になる。総苞片は8列あり、外片は卵形で先は鋭頭、基部の幅は3-4mmと広く、先端はやや反曲するか斜上する。頭花は筒状花のみからなる。果実は長さ4.5-5.5mmになる痩果となる[3][4][5]

分布と生育環境 編集

日本固有種[6]。本州の越後山脈頸城山塊戸隠山北アルプス白山乗鞍岳御嶽山中央アルプスに分布し、亜高山から高山の灌木林の林縁や開けた草地に生育する[3]

名前の由来 編集

和名クロトウヒレンは、「黒塔飛廉」の意[4][5]

種小名(種形容語)sessiliflora は、「無柄花の」の意味[7]

分類 編集

福島県の吾妻山磐梯山などでクロトウヒレンとされてきたもの[8]は、2009年に門田裕一によって、新種フボウトウヒレン Saussurea fuboensis Kadota とされた[9]

ギャラリー 編集

脚注 編集

  1. ^ クロトウヒレン 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ クロトウヒレン(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物 5』p.267
  4. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑8 高山に咲く花』p.60
  5. ^ a b c d e 『東北のアザミとその仲間たち』p.98
  6. ^ 『日本の固有植物』p.148
  7. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1513
  8. ^ 『福島県植物誌』p.369
  9. ^ 門田裕一:アジア産トウヒレン属(キク科)の分類学的研究III.東北地方南部からの1新種,フボウトウヒレン, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』Vol.84, No.3, p.183, (2009).

参考文献 編集