ゲパルト級ミサイル艇ドイツ語: Schnellboot Gepard Klasse, : Gepard Class Fast Patrol Boat)または143A型高速艇(: Klasse 143A)は、西ドイツ海軍ならびに統一ドイツ海軍(以下ドイツ海軍)のミサイル艇。公称は高速艇(Sボート)である。

ゲパルト級ミサイル艇
ゲパルト(P6121/S71)
概観
艦種 ミサイル艇Sボート
就役期間 1982年 - 2016年
前級 アルバトロス級ミサイル艇
次級 ブラウンシュヴァイク級コルベット
要目
排水量 満載:391t
全長 57.6m
全幅 7.8m
吃水 2.6m
機関 ディーゼルエンジン(13.2Mw) 4基
スクリュープロペラ 4軸
速力 40ノット
航続距離 7,000海里(15ノット巡航時)
乗員 34人
武装 76mm単装速射砲 1基
RAM近SAM 21連装発射機 1基
エグゾセMM38 SSM 4発
機雷敷設装置
C4ISR 海軍戦術情報システムAGISリンク 11
WM-27低空警戒/射撃指揮レーダー
MSP-500 光学射撃指揮
電子戦
対抗手段
FL-1800S-II ESM装置
ホット・ドッグ チャフフレア発射機 2基

概要 編集

本級は基本的に、ドイツ海軍が先行して配備していたアルバトロス級ミサイル艇(143型)の改良型として開発された。主たる改良点は個艦防空能力の強化であり、魚雷発射管と後部の76mm砲を廃して、RAMの搭載と機雷搭載量の増大を行っている。

主機としては、アルバトロス級と同様に、MTUフリードリヒスハーフェン社のMTU-16V-956-TB91型ディーゼルエンジンを4基搭載している。このエンジンは、1,515rpmにおいて4,000馬力、1,575rpmにおいて4,500馬力を発揮できた。4軸推進方式で、スクリュー・プロペラは3翼、直径は1.30メートルであった。また、177馬力/135kVAのディーゼルエンジンを4基、発電機として搭載する。

本級は、AGIS戦術情報処理装置およびリンク 11による海軍戦術情報システムを備えている。1999年より、タレス・グループによって、戦術情報処理装置の強化改修が行なわれた。レーダー装備は比較的簡素で、低空警戒を兼用するWM-27/52 DU射撃指揮レーダーとSMA 3RM-20航海レーダーを搭載するのみである。

主兵装としてエグゾセMM38 艦対艦ミサイルを艇の中央部に4基搭載し、また対空・対水上の両用砲としてオート・メラーラ 76mmコンパクト砲を前甲板に1基搭載する。アルバトロス級では、艇尾側にももう1基の76ミリ砲が搭載されていたのに対し、本級ではこの代わりにRAM近接防空ミサイルの21連装発射機を搭載できるスペースを確保して就役したが、RAMシステムの開発遅延に伴って、実際への搭載開始は1993年にずれこみ、1997年までに全艇が搭載改修を受けた。

同型艇 編集

艦番号 艦名 就役 退役
P6121 ゲパルト
S71 Gepard
1982年12月7日 2014年12月12日
P6122 プーマ
S72 Puma
1983年2月24日 2015年12月14日
P6123 ヘルメリーン
S73 Hermelin
1983年4月28日 2016年11月16日
P6124 ネルツ
S74 Nerz
1983年7月14日 2012年3月31日
P6125 ツォーベル
S75 Zobel
1983年9月29日 2016年11月16日
P6126 フレットヒェン
S76 Frettchen
1983年12月16日 2016年11月16日
P6127 ダクス
S77 Dachs
1984年3月22日 2012年3月31日
P6128 オーツェロット
S78 Ozelot
1984年5月23日 2014年12月18日
P6129 ヴィーゼル
S79 Wiesel
1984年7月12日 2015年12月14日
P6130 ヒエーネ
S80 Hyäne
1984年11月13日 2016年11月16日

参考文献 編集

  • Eric Wertheim (2007). Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World: Their Ships, Aircraft, and Systems. Naval Institute Press. ISBN 9781591149552. https://books.google.co.jp/books?id=TJunjRvplU4C 

外部リンク 編集