サイドカーレース

モータースポーツ

サイドカーレース: sidecar race)は、モータースポーツ: motorsports)のうち、サイドカー: sidecar)を用いて行われるスピード競技。カテゴリーと呼ばれる競技ランクや競技種別の違いによって定められたルールやレギュレーションに従い「速さ」を競う。 レーシングニーラー(: racing kneeler)を用いるレースは、ニーラーレース(: kneeler race)とも呼ばれる。

概要 編集

サイドカーレースは、自動二輪車(オートバイ)の本車(ほんしゃ)に、側車(そくしゃ)または舟(ふね)などと呼ばれる助手席(: chair)または荷台を取り付けた三輪車による競技から始まる。

他のモータースポーツ同様に時代を追うにつれて様々な車両が生まれ、スピードを追求した一体型フレームのフォーミュラーマシンによるレースや、オフロードサイドカーによるモトクロスレース、古くからあるサイドカーによるクラシックレース、など様々なレースが開催されている。

クローズドサーキットではスーパーサイド世界選手権en:Sidecar World Championship)が、公道レース: road race)ではマン島TTレースが有名である。

操縦 編集

ドライバーとパッセンジャーの、二人一組のペアで乗車して走行する。

ドライバー 編集

本車に乗り、運転操作を行う。

パッセンジャー 編集

側車に乗り、走行状況に合わせて様々な姿勢を取る。自分の体重によって各タイヤにかかる荷重や、マシンの重心、重量配分などをコントロールする。

車両 編集

ハンドルのスロットルクラッチレバーや、ブレーキペダルシフトペダルなどの操作系統は自動二輪車に近いが、車体とタイヤの関係性(ホイール・アライメントサスペンションジオメトリー)は四輪自動車に近く、左右非対称な車体の影響と、パッセンジャーによる荷重移動の効果もあり、走行特性は非常に複雑で特殊である[1]

特に、ひざまづく(: kneel)姿勢で乗るタイプの車両は、レーシングニーラー(: racing kneeler)と呼ばれ、自作したフレームまたはクラフトマンが制作したフレームを購入し、市販オートバイのエンジンを搭載して出場する[2]

近年はLCR(LCR Louis Christen Racing)[3]製のフレームが有名である[4]

日本製では矢崎新一によるYZFフレーム[5]が有名である。

歴史 編集

1949年に世界選手権スタート。1996年までロードレース世界選手権(WGP)の一クラスとして行われていたが、翌1997年よりWGPを離れ、新たに「Sidecar World Cup」として単独のシリーズとして再スタートした[6]

カテゴリー 編集

フルスケールサイドカーのF1、F2クラスは富士スピードウェイ筑波サーキット岡山国際サーキットなどでJRSAシリーズが年間5~6戦行われている。

ミニサイドカーのF4クラスは、茂原ツインサーキット[7]本庄サーキット、富士宮白糸スピードランド[8]、榛名モータースポーツランド[9]、などで行われている。

茂原ツインサーキットでは、茂原MOTOWEST-GP[10]で「JRSA F4クラス」が年間5~6戦行われている。

本庄サーキットでは、本庄バイクライトチャレンジ[11]に「サイドカークラス」が設けられていて、F1、F2、F4など各クラスのタイムアタックが行われている。

F1 編集

世界選手権参戦マシンのレギュレーションに準じたトップカテゴリー。
ロングホイールベースのモノコックシャシーにリアミッドシップエンジンの、F1マシンで競われる。
エンジンは2サイクル500ccまで、または4サイクル1300ccまでの自然吸気形式で、主にリッターバイクのエンジンが搭載されている。
国際レース出場の場合は、FIMの規定[12]に従い4サイクル600cc。

F2 編集

軽量な車体と機動性でトリッキーなコースを得意とする。
ショートホイルベースのパイプフレームにフロントミッドシップエンジンの、F2マシンで競われる。
エンジンは2サイクル500ccまで、または4サイクル1300ccまでの自然吸気形式。
国際レース出場の場合は、FIM規定に従い4サイクル600ccで、主にスーパースポーツバイクのエンジンが搭載されている。
4輪のF3用のタイヤの金型を利用した、レーシングサイドカー用バイアスタイヤを履く。
車体のサイズは、全長3,300mm以下、全幅1,700mm以下、全高800mm以下とされる。

F4 編集

1995年ウエストレーシングカーズによって企画製作された小型レーシングニーラーTOMBOYによるワンメイクレースに端を発する、日本独自の規格「F4」マシンで競われる。
現在はTOMBOY以外にも、新作のマシンも複数出場している。
このクラスから入門し、F1、F2へのステップアップする選手も多い。
エンジンは2サイクル100ccまで、または4サイクル150ccまでの自然吸気形式で、主にモトクロスバイクのエンジンが搭載されている。
ホイール・タイヤはレーシングカート用を履く。
車体のサイズは、全長2,400mm以下、全幅1,300mm以下、全高550mm以下とされる。

サイドカークロス 編集

クラシック 編集

ノーマル 編集

チーム・選手 編集

F1 編集

F2 編集

F4 編集

レーシングサイドカー登場作品 編集

映画『爆走!サイドカーレーサー』(en:Sidecar Racers
1975年製作。1976年7月10日(土)日本公開。
熱風の虎
1976年1977年掲載。村上もとか著、週刊少年ジャンプ集英社
ああっ女神さまっ』chapter.110~113
1998年掲載。藤島康介著、月刊アフタヌーン講談社
自動車部のOG千尋がF4サイドカーTOMBOYを衝動買いし、螢一とベルダンディーがそれに搭乗して事件に立ち向かう。
劇場版『ああっ女神さまっ
2000年10月21日、松竹洋画系で公開。同時上映『エクスドライバー Clip』。
D-LIVE!!』Episode 34 グレート・レース
2005年掲載。皆川亮二著、週刊少年サンデー小学館
運転のスペシャリスト斑鳩悟は、ASEの任務としてマン島TTのサイドカーレースに出場する。
宇宙刑事ギャバン THE MOVIE
2012年10月20日に東映系で公開。
サイドカーレーサー十文字撃は、銀河連邦警察にスカウトされて宇宙刑事となる。
3 Wheeling』(en:3 Wheeling
2017年5月に、北アイルランド、ドイツ、マン島の劇場で限定公開。
2016年のマン島TTでのサイドカークラスを描いたドキュメンタリー映画。
つうかあ (アニメ)
2017年10月よりTOKYO MXほかにて放送。
三宅島を舞台に、女子高生たちがサイドカーレースで全国優勝を目指す。
三宅島には、劇中に登場したF2マシン「明日葉丸」の実車が展示されている[13]

脚注 編集

  1. ^ TeamOZEKI Racing Sidecar Team TeamOZEKI Racing Sidecar Team
  2. ^ 2003year Sep.15 Fuji international speedway FINALE Sidecar Infomation 2003/9/15 富士スピードウェイ FINALE サイドカーインフォメーション
  3. ^ LCR SIDECARLCR公式サイト
  4. ^ LCR F2-Kumano, Isle of Man 2007 Masahito Watanabe, Hideyuki YoshidaLCRフレームでマン島TTに出場した日本チームのマシン
  5. ^ The machine which made the history of the Japanese racing sidecar.日本レーシングサイドカーの歴史を創ったマシン
  6. ^ Inside MotoGP/History Inside MotoGP公式サイト History
  7. ^ 茂原ツインサーキット 茂原ツインサーキット公式サイト
  8. ^ 富士宮白糸スピードランド 富士宮白糸スピードランド公式サイト
  9. ^ 榛名モータースポーツランド 榛名モータースポーツランド公式サイト
  10. ^ 茂原MOTOWEST-GP 茂原ツインサーキット/茂原MOTOWEST-GP公式サイト
  11. ^ 本庄バイクライトチャレンジ 本庄サーキット/本庄バイクライトチャレンジ公式サイト
  12. ^ 2018_FIM_Sidecar_World_Championship_Regulations_final_01 2018年 FIMサイドカーワールドチャンピオンシップ レギュレーションのPDFファイル
  13. ^ フルスケール明日葉丸フルスケール明日葉丸の画像

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集