シャタルモンゴル語: ᠮᠣᠩᠭᠣᠯ
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Monggol sitar-a〔モンゴルのシャトランジ〕、Монгол шатар)は、モンゴル将棋類であり、2人で行うボードゲームである。

フルンボイル民族博物館に展示されている象牙製のシャタルの駒

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チェスボードと同様に盤は8×8の64マスからなり、以前は単色、現在はチェスと同様に市松模様に塗られている。また駒の形状もチェスに類似している。

初期配置図 編集

 
シャタルの駒(デンマーク国立博物館)
↓車 ↓馬 ↓駱駝 ↓王 ↓虎 ↓駱駝 ↓馬 ↓車
↓兵 ↓兵 ↓兵 ↓兵 ↓兵 ↓兵 ↓兵 ↓兵
               
               
               
               
↑兵 ↑兵 ↑兵 ↑兵 ↑兵 ↑兵 ↑兵 ↑兵
↑車 ↑馬 ↑駱駝 ↑王 ↑獅 ↑駱駝 ↑馬 ↑車

駒の名称と動き 編集

駒の動きは地方によって異なる。以下は1997年にモンゴル体育運動委員会が策定した「モンゴル将棋競技規則[1]」に従う。

モンゴル語 意味 音訳 IPA モンゴル将棋大会規則 地域ルール 対応するチェスの駒
ᠨᠣᠶᠠᠨ 王爺 ノヨン nɔjɔn 縱、横、斜に1マス。 王で相手の王を詰ますことはできない。 キング
ᠪᠠᠷᠰ 獅/虎 ベルス bərs 縦横斜めに何マスでも動くことができる。 日本の将棋竜王と同じく縦横に何マスでも動け、斜めに1マス動ける。そのため、無力獅[2]、半能虎、目車と呼ばれる。 クイーン
ᠲᠡᠮᠡᠭᠡ 駱駝 テメエ Təməə 斜めに何マスでも動くことができる。 王を詰ますことはできない。さもなければ引き分けとなる。 ビショップ
ᠮᠣᠷᠢ メユル Məjr チェスのナイトと同じ動き(八方桂)。 王を詰ますことはできない。さもなければ引き分けとなる。 ナイト
ᠬᠠᠩᠭᠠᠢ 勒勒車 ハンガイ xangai 縦横に何マスでも動くことができる。 ルーク
ᠬᠦᠦ フウ xuu チェスのポーンに当たるが、アンパッサンはない。最後列に到達すると獅/虎に成ることができる。対局では初手は必ず、王の前の兵か虎の前の兵を2マス動かす。前者はチャハル式開局、後者はウジムチン式開局と呼ばれる。先手に対して後手は必ず向かい側の兵を2マス動かす(王の前の兵に対しては王の前の兵)。以後は兵は1マスしか動くことはできない[3] 再後列に到達するとすぐに成ることはできず、斜め後ろに下がる必要がある。3回斜め後ろに下がると虎に成ることができる。もしくは1回斜め後ろに下がると無力獅/半能虎/目車に成ることができる。 ポーン

脚注 編集

  1. ^ 彭楚克林青 (2006-12) (簡體中文). 《蒙古象棋》. 中國: 鄂爾多斯學研究會 
  2. ^ 蒙古象棋的玩法
  3. ^ 蒙古族传统体育---蒙古象棋

参考資料 編集

  • Giada Ricci. Mongolie-Mongolie. Traditions de la steppe. P.44-47, Le jeu d’echecs mongol, 1983. Musee de l’Homme, Paris.
  • С. Кондратьев. Шахматная игра у монголов. "Шахматы в СССР", 1931, №13, p. 216-218, №14, с.232-234.
  • ШАХМАТЫ. Энциклопедический словарь. М., "Советская Энциклопедия", p. 258, Монголия. 1999.
  • Б.Б. Цыденов, Л.А. Гармаева, Н.Б. Галданов. Шахматы в Бурятии. Улан-Удэ, 1976.
  • 中国大百科全书《体育》卷. Peking-Shanghai. P.206, 蒙古象棋. 1982.
  • 岡野伸『世界の主な将棋』, p. 40-46, chapter V. 1999.

関連項目 編集

  • ヒャーシャタル - シャタルの拡大版であり、10×10の100マスからなる盤を用いる。ヒャーという強力な駒が追加される。

外部リンク 編集