タワマン文学
タワマン文学[2][3][4](タワマンぶんがく)とは、日本の小説分類の一つ。Twitterの投稿を起源とし、タワーマンション(タワマン)などを舞台に、都市で暮らす人々の格差や嫉妬心を描くジャンルである[5][6]。また、タワーマンション住民の間の中学受験ブームも題材となっている[7]。Twitter上から人気が広がり、2020年代においては単行本も出版されている[8]。
定義
編集渡辺祐真によると、「時に成功者の証として持ちあげられ、時に資本主義の権化として槍玉に挙げられるタワーマンションを舞台に、現代日本の格差や嫉妬、生きづらさを描く作品群」と定義される[8]。
起源
編集高層ビル内の格差を題材とした早い例として、J・G・バラードの小説『ハイ・ライズ』(1975年)がある[5]。日本では、桐野夏生の『ハピネス』(2013年)[9]などがタワーマンション内の人間関係を題材としていたが、「タワマン文学」と呼称されるジャンル自体は、窓際三等兵(外山薫)が2021年頃からTwitterに投稿した創作ツイート群が先駆けとされている[8][10]。
評価
編集ジャーナリストの川口穣によると、Twitter上ではタワマン文学で多用される露悪的表現を「不快[11]」だとする声もある。その一方で、「幸せについて考えさせられた」と評価する読者もいるという[6]。タワマン文学作家の窓際三等兵は、自作も含めたタワマン文学作品について「Twitterのバズりに特化した量産品であり、書いてる方も文学性なんて求めてない」と評している[12]。
「タワマン文学」に分類される作家・作品
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “タワマンマウントの事例と対処法を徹底調査【100人に聞きました】”. リップポップ(Lip Pop). Lippop (2020年4月29日). 2023年9月14日閲覧。
- ^ “「タワマン文学」の先駆者、窓際三等兵による初の長編小説!『息が詰まるようなこの場所で』外山 薫 試し読み”. カドブン (2023年1月27日). 2023年4月16日閲覧。
- ^ “twitterで話題の赤裸々小説「タワマン文学」の先駆者・窓際三等兵による書き下ろし新作2023年1月発売決定!”. prtimes.jp. PR TIMES. 2023年4月16日閲覧。
- ^ “「タワマン文学 鼻で笑える大人になって」 作家・外山薫さん独占インタビュー 慶大に当たりが強い理由とは”. www.jukushin.com. 慶應塾生新聞. 2023年4月16日閲覧。
- ^ a b “タワマン文学。人はいかに高所とエレベーターを克服したか(前編) – 集英社新書プラス”. shinsho-plus.shueisha.co.jp. 集英社 (2023年2月24日). 2023年4月14日閲覧。
- ^ a b “湾岸タワマンの「中の人」から見たタワマン文学とは――。『息が詰まるようなこの場所で』著者・外山薫×湾岸タワマン専門家・のらえもん対談”. ddnavi.com. 朝日新聞社 (2023年5月24日). 2023年6月22日閲覧。
- ^ “タワマン住民の格差や焦燥を描く「タワマン文学」 「笑いもの」とされる中流層にも刺さる理由(1/2)〈AERA〉”. ddnavi.com. ダ・ヴィンチWeb (2023年2月25日). 2023年4月14日閲覧。
- ^ a b c d e 格差、嫉妬、劣等感――国に出せない負の感情 胸ざわつく「タワマン文学」 価値観や幸せ 考える一助に『毎日新聞』夕刊2023年5月29日2面(同日閲覧)
- ^ a b c “"勝ち組"の生活の悲哀を描く、「タワマン小説」の世界”. 小説丸. 小学館 (2022年10月19日). 2023年6月22日閲覧。
- ^ “タワマン文学の先駆者・窓際三等兵改め外山薫氏にインタビュー!「湾岸タワマン」を取り巻く人たちのリアル事情を聞いた”. diamond-fudosan.jp. ダイヤモンド社 (2023年3月3日). 2023年4月14日閲覧。
- ^ AERA dot (2023年5月24日). “タワマン住民の格差や焦燥を描く「タワマン文学」 「笑いもの」とされる中流層にも刺さる理由”. topics.smt.docomo.ne.jp. dmenu ニュース. 2023年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月6日閲覧。
- ^ “nekogal21”. twitter.com. 2023年6月22日閲覧。
- ^ 海老沢類 (2024年4月17日). “「SNSは本当に罪深い」「タワマン文学」覆面作家・麻布競馬場さんが描く令和の幸福論”. www.sankei.com. 産経新聞. 2024年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月17日閲覧。
- ^ https://dot.asahi.com/articles/-/194553?page=2