ダロン・アシモグル

カメール・ダロン・アシモグル(アセモグル)(Kamer Daron Acemoğlu、1967年9月3日 - )は、トルコアメリカに国籍を持つ経済学者。[1]マサチューセッツ工科大学エリザベス&ジェイムズ・キリアン記念経済学教授を務めている[2]。名字のトルコ語読みはアジェモール[3]

2009年のアシモグル

2021年現在、過去10年の間に世界で最も論文が引用された経済学者である[4]

経歴編集

アルメニア人の両親からイスタンブールで生を受ける。[要出典] 1986年にイスタンブールのガラタサライ高校を卒業、[5] 1989年にヨーク大学学士、1992年にロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)から数理経済学計量経済学博士号を得る。[6] 1992年から1993年まではロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)講師、1993年からはマサチューセッツ工科大学に在籍している。[7]

研究業績編集

2021年現在、過去10年の間に世界で最も論文が引用された経済学者である。[8] 経済学の従来の対象にとどまらず、政治、歴史、文化、テクノロジーといった、挑戦的かつ画期的な分野に取り組んでいる。[9] 具体的な研究分野は、政治経済学、開発経済学、人的資本論、経済成長論、経済格差、イノベーションの経済学、サーチ理論、ネットワーク理論など多岐にわたり、近年では特に、社会の発展の政治・経済・社会的な要因、各国の政治制度の発達メカニズム、テクノロジーが経済成長や分配に与える影響を重点的に研究している。[10] 

  • 民主主義
    • 民主主義体制が生まれる様子を考察している。既存の支配層である富裕階級に対して、労働者階級が革命可能であるほど力を持っている時であるとし、そのパワーバランスが既存の支配層に対する脅威となって、民主主義体制に移行してきたと説明している。[11]
    • 民主主義は経済成長をもたらすことを実証・理論的に明らかにしている。[12]
      • “Income and Democracy” with Simon Johnson and James A. Robinson, American Economic Review, 2008.
      • "Democracy Does Cause Growth" with Suresh Naidu, Pascual Restrepo, James A. Robinson, Journal of Political Economy, 2019
  • 経済成長
    • 高い技術を促進するような技術進歩がいかに生じたかを考察している。[独自研究?]
      • “Directed Technical Change,” Review of Economic Studies, 2002.
  • 自動化
    • 自動化が人間が旧来行ってきた仕事(タスク)をどのように変化させるかを研究しており、旧来の労働経済学の理論モデルでは正当化が難しかった、自動化による賃金と雇用の低下を理論化し、実証も行った。[13]
      • "The race between man and machine: Implications of technology for growth, factor shares, and employment" with Pascual Restrepo, American Economic Review, 2018
      • "Automation and New Tasks: How Technology Displaces and Reinstates Labor" with Pascual Restrepo, Journal of Economic Perspectives, 2019
      • "Robots and Jobs: Evidence from US Labor Markets" with Pascual Restrepo, Journal of Political Economy, 2020

著書編集

単著編集

共著編集

  • Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty, with James A. Robinson, Crown Publishers, 2012(『国家はなぜ衰退するのか:権力・繁栄・貧困の起源』、鬼澤忍 訳、稲葉振一郎 解説、早川書房、2013)
  • Economic Origins of Dictatorship and Democracy, with James A. Robinson, (Cambridge University Press, 2006).
  • 『世界は、考える』(ジョセフ・E・スティグリッツ黒田東彦らと共著、野中邦子 訳、土曜社、2013年)
  • Principles of Economics, with David Laibson and John List, (Pearson New York, 2014).
    • 『アセモグル/レイブソン/リスト マクロ経済学』、岩本千晴訳、東洋経済新報社、2019年
    • 『アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学』、岩本千晴訳、東洋経済新報社、2020年
    • 『アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学』、岩本千晴訳、東洋経済新報社、2020年
  • The Narrow Corridor: States, Societies, and the Fate of Liberty, with James A. Robinson. Penguin Press.
    • 『自由の命運──国家、社会、そして狭い回廊』、櫻井祐子訳、早川書房、2020年

編著編集

受賞歴編集

出典編集

  1. ^ Microsoft Word - CV June 4 2020.docx   (Microsoft Word.doc)”. MIT. 2019年5月31日閲覧。 “CURRICULUM VITAE DARON ACEMOGLU”
  2. ^ MITのHP”. MIT. 2019年5月31日閲覧。
  3. ^ 浅沼信爾小浜裕久(日本語) 『途上国の旅 開発政策のナラティブ』勁草書房、2021年4月http://www.keisoshobo.co.jp/book/b577012.html 
  4. ^ IDEAS RePEc”. IDEAS. 2021年9月30日閲覧。
  5. ^ IGC”. IGC. 2019年6月2日閲覧。
  6. ^ MITのHP”. MIT. 2019年5月31日閲覧。
  7. ^ MITのHP”. MIT. 2019年5月31日閲覧。
  8. ^ IDEAS RePEc”. IDEAS. 2021年9月30日閲覧。
  9. ^ Smith, Noah. “Five Economists Whose Work Is Worthy of a Nobel” (英語). BloombergQuint. https://www.bloombergquint.com/gadfly/five-economists-whose-work-is-worthy-of-a-nobel-prize 2021年9月30日閲覧。 
  10. ^ People, Daron Acemoglu”. MIT Initiative on the Digital Economy . 2019年6月2日閲覧。
  11. ^ Blattman, Christopher; Miguel, Edward (2010-03-01). “Civil War” (英語). Journal of Economic Literature 48 (1): 3–57. doi:10.1257/jel.48.1.3. ISSN 0022-0515. https://pubs.aeaweb.org/doi/10.1257/jel.48.1.3. 
  12. ^ Democracy fosters economic growth, study finds: Researchers find vast gains in productivity after countries democratize” (英語). ScienceDaily. 2021年9月30日閲覧。
  13. ^ Smith, Noah. “Five Economists Whose Work Is Worthy of a Nobel” (英語). BloombergQuint. 2021年10月1日閲覧。