Wikipedia:チェックユーザーの方針

チェックユーザーから転送)

この文書ではチェックユーザー権限について解説するとともに、チェックユーザー権限の使用の目的、チェックユーザー権限保持者(以下チェックユーザー係)の選任について規定します。

この方針はm:CheckUser Policyを補完するものです。m:CheckUser Policyの内容を取り込むとともに、ウィキペディア日本語版ないし他の日本語プロジェクトに適応するための規定を付け加えています。両者に食い違いがある場合は、m:CheckUser Policyの規定が優越します。非公式な和訳(m:CheckUser policy/ja)を参照することができます。

チェックユーザー権限とは

m:CheckUser policy/jaより抜粋

チェックユーザーは権限 checkuser を持つ利用者のためのツール(インタフェース)です。あるウィキで チェックユーザー係の身分を持つ編集者は、ある利用者が他の利用者のソックパペット(靴下人形、別人を装った不適切な多重アカウント)であるかどうかを、そのウィキ内で(全ウィキではなく)調べることができます。このツールを使えば、以下のことがわかります:

  • あるアカウントがウィキメディアのウィキで編集、ログに記録されたアクション、パスワードのリセットに使用した接続元の IP アドレス
  • ある IP アドレスから行われた編集、ログに記録されたアクション、ログインの試み、パスワードのリセット(ログイン状態で行われたものを含む)
  • 調査対象となるアカウントがウィキメールを他の利用者に送信したかどうかとその日時を確認することが出来ます。相手先のメールアドレスとアカウントは見えません。

上記の情報は短期間(現在のところ90日間です)だけ保存されます。それより古い編集はチェックユーザーで見ることができません。また、誰がこのツールで何を調べたかが記録されます。checkuser-log 権限を持つ利用者であれば、チェックユーザーの記録を確認することができます:

5 sep 2006 17:29 UserX got IPs for UserY on zzwiki
5 sep 2006 17:29 UserX got edits for 127.0.0.1 on zzwiki

これは次のような意味です(UserX は チェックユーザー 権限を持つ利用者):

  • 2006年9月5日 17:29 に zzwiki で UserX は UserY が使用したIPアドレスを取得した
  • 2006年9月5日 17:29 に zzwiki で UserX は 127.0.0.1 から行われた編集を取得した

利用マニュアルは m:Help:CheckUser(英文)を参照してください。

プライバシーに関する方針とチェックユーザー権限の関係

ウィキメディアプロジェクトでは、プライバシー・ポリシーはとても重要だと考えられています。もし、ある人が(たとえばボットによる荒らしやスパム等の)方針違反をしていて、かつ、その人の情報を開示することが混乱をとめるために必要だというのでない限り、IPアドレスや接続場所やそのほかにその人を特定するのに足りる情報を公開することは、プライバシー・ポリシー違反となります(当該プロジェクト上で本人が開示済みの情報は除きます)。(m:CheckUser policy/jaより)

チェックユーザー権限は、財団の公式な方針であるプライバシーに関する方針に基いて使用されるべきです。詳しくは、プライバシー・ポリシーおよびm:CheckUser policy/jaをご覧ください。

情報の開示は次の場合にのみなされます。(以下m:CheckUser policy/jaより)

  1. 法的に有効な召喚状、または、法執行機関からその他の強制的な要求を受けた場合。
  2. その情報が帰着する利用者当人の許可を得た場合。
  3. 財団理事長、その弁護士、またはその指名する者に対する提供であって、不正使用の苦情の調査に必要な場合。
  4. スパイダーあるいはボットによって生成されたページビューに属する情報に関して、それを広めることが技術的問題の説明・解決に必要な場合。
  5. その利用者が項目を破壊しつづけているとき、または破壊的な行動をつづけているとき、IPブロックの対象の決定を助けるために、または関連インターネットサービスプロバイダへの苦情の作成を助けるために、データを提供する場合。
  6. ウィキメディア財団や利用者や公共の、権利、財産および安全を守るための合理的な必要性がある場合。

(以上m:CheckUser policy/jaより)

チェックユーザー権限による情報の開示は、少しでも妥当性に疑問のある場合には、するべきではありません。

情報の開示

情報の開示基準は次のとおりです。(以下m:CheckUser policy/jaより)

たとえ不正行為を働いている利用者であっても、できるだけ個人情報を公開 (reveal) しないことが望まれます。

  • 原則として IP アドレスは公開しません。同一ネットワークか否か、といったような情報だけを提供します。もしも詳細な情報を開示する場合は、その人が信頼できること、開示した情報を他に漏らさないことを確実にしてください。
  • ある利用者が自称している身元と、その IP が合致する場合、必要に応じて事実確認することは、個人情報漏洩に当たりません。
  • 少しでも疑問を感じるならば、情報を開示してはなりません。

(以上m:CheckUser policy/ja#情報の開示より)

日本語版でのチェックユーザー情報公開規定

以下は、日本語版プロジェクトにおける独自の規定です。

コミュニティは、個々の事例に関し、上記の場合に該当するかどうかを判断し、またチェックユーザーの使用を求めることができます。合意が形成されない場合には、その事例にはチェックユーザーは行われません。「その利用者が項目を破壊しつづけているとき、または破壊的な行動をつづけているとき、IPブロックの対象の決定を助けるため」また「ウィキメディア財団 (Wikimedia Foundation)・利用者および公共の、権利・財産・安全を守るため」の細目は、この文書で以下のように定めます。

  1. 著作権やプライバシー等の法的権利を侵害された人が、プロバイダ責任制限法に基づいて調査を依頼してきたとき。これはinfo-jaメーリングリストへの依頼を含む。
    • info-jaで依頼を受けた場合: info-jaチームが必要と判断した場合、チェックユーザーを行い、結果をチェックユーザー-jaML(仮称)で記録する。
    • IPアドレスの開示は以下の場合に行うものとする
      1. チェックを受けた本人の同意がある場合
      2. チェックを受けた本人の同意がない場合は、公的機関(裁判所・警察など)からの令状その他の法的強制力を伴う要求を受けた場合に限る。
      この場合IPアドレス開示先は公的機関(裁判所・警察など)に限る。
      (注)任意照会の場合に本人の同意無しにIP開示を行うと、法的責任を問われる可能性がある。
  2. 理事長を含む財団理事会メンバー、財団職員および財団の役職にあるもの (Wikimedia officers) から、調査への協力を求められたとき。
  3. いかなる投票であれ、投票進行役(投票を管理するユーザー)が必要と考えたとき。
    • 調査は投票進行役が申請する
    • 投票進行役がいない投票では、有資格投票参加者3人以上がチェックユーザーの使用による調査の実施を求めた場合、任意の投票参加者が申請する。
  4. ブロック依頼等で多重アカウントによる不正行為の疑いがあり、24時間以内に反対がない、またはほぼ賛成で合意が取れているとき(ほぼ賛成で合意が取れている、とは、有効票のうち有効賛成票が75%以上を占めている場合とする)。
  5. その他、特にコミュニティがチェックユーザーの必要があるとの合意に達したとき、かつ提案から24時間以内に反対がない、またはほぼ賛成で合意が取れているとき(ほぼ賛成で合意が取れている、とは、有効票のうち有効賛成票が75%以上を占めている場合とする)。

上記細目のほか、チェックユーザー係は m:CheckUser policy の範囲でツールを使い、得られた情報を wikimedia:Privacy policy の範囲で提供する場合があります。関連インターネットサービスプロバイダへの苦情作成等がこれに該当します。また、チェックユーザー係は、他の編集者と同様にボランティアであり、上記細目の依頼等に応ずる義務はありません。

チェックユーザーツールの使用

m:CheckUser policy/jaより。

このツールは、荒らしやスパム行為に対処するため、不正な多重アカウントかどうか調査するため、そしてプロジェクトの混乱を食い止めるために使います。チェックユーザーはウィキメディア・プロジェクトへの損害を防ぐ目的でのみ使用されるべきです。

このツールは政治的な統制のため、編集者たちに圧力をかけるため、あるいは編集内容について論争している相手を脅迫するために使うべきではありません。利用者を調べるためにチェックユーザーのツールを使用するには、正当な理由がなければなりません。なお、方針に違反しない限り(例えば二重投票や、特定の意見の支持者を増やすように見せかけるため)多重アカウントは禁止されないことに注意してください。

調査対象アカウントにこの権限を使用したことを通知することは許可されていますが、通知する義務はありません。同様に、コミュニティに通知する義務もありませんが、プライバシーポリシーに適う範囲であれば通知しても構いません。(ここまでm:CheckUser policy/jaによる)

チェックユーザーによる調査は、コミュニティから選出されたチェックユーザー権保持者が行います。コミュニティが選出したチェックユーザー権保持者が不在のときには、所定の方式に従い、スチュワードにm:Steward requests/CheckUserにて依頼します。

自分の無実を証明したい利用者がいて、自分のIPアドレスをチェックするよう依頼した場合、依頼通りチェックすることができます。ただし、チェックユーザー結果が傍証として役立つことはあっても、それだけで無実の証明になるわけではありません。また、そのようなチェックユーザー依頼は、撹乱を狙って出される場合もあるので注意が必要です。

チェックユーザー依頼の手順

チェックユーザーを依頼する場合はチェックユーザー依頼に節を作ってリストします。依頼することについて、投票のノート、ブロック依頼のノート、コメント依頼などで議論をお願いします。依頼すると合意に達してから依頼してください。

チェックユーザーの合意は通常よりも強い合意を必要とします。なぜならチェックユーザーはやり直しができない上にやってしまったチェックユーザーは取り消せないからです。ウィキペディアでは一定期間待って反論が無い場合に合意が形成されたとみなす慣例がありますが、チェックユーザーではその程度の賛意で合意を形成したと見なすべきではありません。複数人による明確な合意が文章として明示されることが必要です。

Wikipedia:チェックユーザー依頼では議論禁止とします。

例示

チェックユーザー依頼は以下のようなステップを踏みます。

  • ステップ1. Checkして貰いたい個々の対象利用者が行った個々の行為を審議します。
  • ステップ2. ステップ1での審議の結果を纏めてチェックユーザーを依頼するかどうか審議します。
  • ステップ3. チェックユーザー依頼します。

各ステップで行う手順は以下の通りです。

  • 手順a. ステップ1の審議は、Checkして貰いたい個々の対象利用者が行った行為の履歴を差分で示して行います。
  • 手順b. ステップ2の審議は、手順1で示した各審議へのリンクを示して、チェックユーザー依頼の賛否の合意を形成します。
  • 手順c. ステップ3の依頼は、チェックユーザー依頼の依頼記入例に従って、手順bで行った議論へのリンクと共に依頼します。

各手順を行う場所は以下の通りです。

  • 場所I. ステップ1: 手順aはブロック依頼で行います。
  • 場所II. ステップ2: 手順bはステップ1:手順aのブロック依頼のノートの一つに集約して行います。
  • 場所III. ステップ3: 手順cはチェックユーザー依頼のページで行います。

上記は模範的な一例です。チェックユーザー依頼以前に合意が形成されていることが分かれば手順の細部は必ずしもこれに沿う必要はありません。たとえば、合意を形成する場所はブロック依頼のノートである必要はありません。対象者の行動を示すために差分ではなくページの履歴がより有効なこともあるでしょう。

権限の取得

m:CheckUser policy/jaより一部を抜粋、改変

チェックユーザーの権限を申請する利用者は、非公開情報の秘密保持契約に署名しなければなりません。秘密保持契約は非公開情報へのアクセス方針に基づき、2015年12月に発効しました。

スチュワード、一部の財団スタッフ、オンブズ委員と、ごく少数の編集者だけが チェックユーザー権限を持つことを許可されます。オンブズ委員と財団スタッフ以外の編集者はチェックユーザー権限をローカルにのみ所持できます。

チェックユーザー係がいるプロジェクトでの調査は、通常、自プロジェクト内でまかなうべきです。ただし、緊急時、あるいは(複数プロジェクトを跨ぐ荒らし〈cross-wiki vandalism〉のために)プロジェクトを跨った調査が必要な場合は例外です。ローカルチェックユーザーがいるプロジェクトでもスチュワードが調査を行う場合があります。調査完了後、スチュワードはローカルチェックユーザー権限を外し、ローカルチェックユーザー係たち宛て、またはチェックユーザーメーリングリストにて報告すべきです。

どのウィキも、チェックユーザー係が二人以上いるか、または全くいないか、のどちらかでなければなりません。これは、互いの行動を牽制し確認し合うためです。あるウィキの チェックユーザー係が一人だけに(他の チェックユーザー係の辞任や解任のせいで)なったときは、コミュニティは直ちに新しい チェックユーザー係を任命(チェックユーザー係が二人以上いる状態を維持)せねばなりません。

ウィキペディア日本語版における信任審議の手続きは、Project:管理者への立候補を準用します。チェックユーザー権限保持者への立候補は、管理者信任と同様の仕方で、Project:管理者への立候補の所定の欄に提出します。候補者は、プライバシー・ポリシーをよく理解していなければなりません。コミュニティの編集者 25-30 人程度以上、かつ 賛否投票で70%-80% 程度以上の賛成でコンセンサスが得られれば、コミュニティの意思決定が示されたページへのリンクを添えて候補者名を m:Steward requests/Permissions に記載してください。

票数が足りず、二人(以上)の チェックユーザー係が選出されなければ、そのウィキには チェックユーザー係を一人も置かないことになります。その場合、スチュワードにチェックユーザー(UserX は UserY の sockpuppet かどうか)を依頼する必要があります。チェックユーザーを依頼するには m:Steward requests/CheckUser へ依頼を書いてください。調査対象の利用者を列挙し、調査が必要な理由を(できればリンクを添えて)説明してください。スチュワードは、両利用者が同じ IP か、同じ proxy か、同じネットワークか、同じ国か、あるいは全く無関係か、といった調査結果を回答します。 (以上m:CheckUser policy/ja#チェックユーザー権限を得る人々より一部を抜粋、改変)

信任基準

立候補するには、既に日本語版ウィキペディアで管理者として信任されていることが必要です。信任投票で75%かつ30人以上の賛成が得られた場合、チェックユーザー使用者として信任されたと認められます。

権限の剥奪

m:CheckUser policy/ja#権限の剥奪より転載

チェックユーザー権限を持つアカウントの活動が1年以上無い場合、 チェックユーザー権限ははずされます。

このツールが悪用された場合、スチュワードでもチェックユーザー係でも権限は即時剥奪されます。これは特に、正当で十分な理由がなくチェックユーザーが行われたときに起こりえます(不正な権限濫用については、証拠となるリンクなどが提供されているべきです)。

チェックユーザーの不正使用に関する問題についてはそれぞれのローカルwikiが議論すべきです。裁定委員会のあるwikiでは裁定委員会で権限の剥奪を決めることができます。裁定委員会のないwikiでは解任投票で権限の剥奪を決めることができます。

ウィキメディアプロジェクトにおけるチェックユーザーの濫用あるいはプライバシーポリシー違反についての苦情はオンブズ委員会でも受け付けています。

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