ディニクティス (哺乳類)

ディニクティス (Dinictis ) またはディニクチス食肉目ネコ亜目の絶滅科であるニムラブス科("false saber-toothed cats"「偽剣歯虎」として知られる)に属する絶滅哺乳類。ニムラブス亜科に分類され、始新世後期から中新世前期まで(37.2—20.4 Ma)のおよそ1680万年にわたって北アメリカ大陸に生息していた[1]

ディニクティス
ディニクティス
ディニクティス骨格
サウスダコタ産。ロイヤルオンタリオ博物館の展示。
地質時代
始新世後期 - 中新世前期
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: ネコ目 Carnivora
亜目 : ネコ亜目 Feliformia
: ニムラブス科 Nimravidae
亜科 : ニムラブス亜科 Nimravinae
: ディニクティス属 Dinictis
学名
Dinictis
Leidy1854

分類

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ディニクティスはアメリカの古生物学者ジョゼフ・ライディによって1854年に命名された。模式種Dinictis felina である。Gill (1872) ではネコ科に分類されており[2]、Flynn and Galiano (1982) や Bryant (1991) and Martin (1998) においてニムラブス亜科に分類されている[3][4]

形態

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すらりとした体に短い四肢で、体長1.1m、体高0.6m、不完全にしか引き込めない爪、強力な顎、長い尾をもっていた。近縁であるホプロフォネウス (Hoplophoneus) によく似ていた。頭蓋骨の形状はマカイロドゥス亜科の小型版というよりは真のネコ類の物を思わせるものである。より新しい剣歯虎類に比べてその上顎犬歯は比較的小さいが、それでも明白に口から飛び出していた。犬歯下端より下にまで下顎が平たく広がっていた。 ディニクティスは現世のネコ科動物とは異なり蹠行性であった。小型のヒョウのような姿で、生活様式もおそらく似たものであっただろう。食事に関して、歯列の減少が初期段階にあったこと、顎関節が剪断に特化していなかったことから、彼らの子孫ほど食性が限定されていなかったと思われる。それでもなお、その環境の中で彼らは強力な捕食者であっただろうと考えられている。

生態

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北アメリカ大陸の平原部に生息しており、カナダサスカチュワン州アメリカコロラド州モンタナ州ネブラスカ州サウスダコタ州ノースダコタ州ワイオミング州オレゴン州などで化石が発見されている。ディニクティスは暁新世に生息していた初期のミアキス型祖先から進化したと考えられている。

画像

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出典

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  1. ^ PaleoBiology Database: Dinictis, basic info
  2. ^ Arrangement of the Families of Mammals”. 2016年5月1日閲覧。
  3. ^ J. J. Flynn and H. Galiano. 1982. Phylogeny of early Tertiary Carnivora, with a description of a new species of Protictis from the middle Eocene of northwestern Wyoming. American Museum Novitates
  4. ^ H. N. Bryant. 1991. Phylogenetic relationships and systematics of the Nimravidae (Carnivora). Journal of Mammalogy.

Benes, Josef. Prehistoric Animals and Plants. Pg. 204. Prague: Artua, 1979.