ドナルド・E・グラハム

グレアム・ホールディングスのCEOおよび会長

ドナルド・エドワード・グラハム(Donald Edward Graham、1945年4月22日 - )は、グラハム・ホールディングスのオーナー兼会長である。1979年から2000年までは『ワシントン・ポスト』の発行者を務めた。また、2009年から2015年まで、Facebook社の主席独立取締役を務めた[1][2]

ドナルド・E・グラハム
Donald E. Graham
生誕 Donald Edward Graham
(1945-04-22) 1945年4月22日(79歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
教育 ハーバード大学ハーバード・カレッジ英語版
職業 グラハム・ホールディングス会長
配偶者
メアリー・ウィスラー英語版
(m. 1967; div. 2007)

子供 4人
フィル・グラハム
キャサリン・グラハム
テンプレートを表示

若年期 編集

母は後に『ワシントン・ポスト』の発行者となるキャサリン・グラハム(旧姓マイヤー)、父はフィル・グラハムである[3][4]。母方の祖父のユージン・マイヤーは、1933年半ばに連邦準備制度理事会(FRB)議長を退任した直後、倒産した『ワシントン・ポスト』を買収した[5]。母方の祖母はアグネス・E・メイヤーである[3][4]。母は、ユダヤ人の父とルーテル派の母を持ち、ルーテル派として洗礼を受けたが、米国聖公会の教会に通っていた[6]。父もルーテル派だった[7]

ワシントンD.C.のセント・オールバンズ・スクールを卒業後、ハーバード大学ハーバード・カレッジ英語版に入学した[8][9]。1965年には、ハーバード大学の日刊学生新聞『ハーバード・クリムゾン英語版』の代表に選出された[10]。1966年に大学を卒業した後、兵役に志願し、1967年から1968年にかけて、アメリカ陸軍第1騎兵師団の一員としてベトナム戦争に従軍した[8]。1969年1月から1970年6月まで、コロンビア特別区首都警察にパトロール隊員として勤務した[8]

ワシントン・ポスト 編集

グラハムの母方の祖父であるユージン・メイヤーは、1933年に競売で『ワシントン・ポスト』を買収した。グラハムの父は、1946年から1961年まで『ワシントン・ポスト』紙の発行人を務め、1947年から1963年に亡くなるまでワシントン・ポスト社の社長を務めた。グラハムの母、ユージンの娘であるキャサリンは、20年以上にわたって『ワシントン・ポスト』紙のトップを務め、その期間に、リチャード・ニクソン大統領の失脚につながったウォーターゲート事件の報道を監督した。キャサリンは、20世紀のアメリカで最もパワフルな女性の一人として広く知られている。

1971年、ドナルド・グラハムは記者としてワシントン・ポスト社に入社し、その後、2013年に同紙がジェフ・ベゾスに売却されるまで、ポスト紙と『ニューズウィーク』誌(2010年まではワシントン・ポスト社が所有していた)で様々な報道・ビジネス関連の役職を歴任した[11]

1974年9月に同社の取締役に選出され、1976年にはポスト紙のエグゼクティブ・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーとなった。グラハムは1979年にポスト紙の発行社となり、ポスト社の会長兼CEOとなった母親の後を継いだ。ポスト社は、新聞社のほか、教育サービスを提供するカプラン社、ポスト・ニューズウィーク・ステーションズ、ケーブル・ワン、『スレート英語版』誌、その他の中小の企業を所有している。ドナルド・グラハムは1991年にCEOに、1993年5月には会長に就任し、母キャサリンはポスト社の執行委員会委員長に就任した。

2000年9月、グラハムはポスト社の会長に選出され、発行者の地位をボーファレー・ジョーンズ・ジュニア英語版に譲った。

その他の役職 編集

2001年から2010年までピューリッツァー賞委員会委員を務めた。また、コロンビア特別区大学アクセスプログラムの理事、ワシントンD.C.の連邦都市評議会英語版の評議員を務めている。かつて、ワシントンのサミットファンドの理事でもあった。

また、ビルダーバーグ会議の招待者でもあり、2009年[12]と2010年[13]の会議に出席した。

栄誉 編集

1974年、ウィッティア大学英語版から名誉法学博士号を授与された[14]

2003年、アカデミー・オブ・アチーブメントのゴールデンプレート賞を授与された[15][16]

2004年にはアメリカ哲学協会の会員に選出された[17]

私生活 編集

1967年、グラハムはメアリー・ウィスラー英語版と結婚した。メアリーは、ジョージタウン大学ローセンター法務博士(J.D.)を、ラドクリフ・カレッジで学士号を取得し、2人はそこで出会った。メアリーは、ハーバード大学ケネディスクールのタウブマンセンターの研究員として、健康と安全の規制などの問題に取り組んでいる。2人の間には4人の子供がいる。娘のローラは、リビングソーシャルの元CEOで、現在はグラハム・ホールディングスの社長であるティム・オショーネシーと結婚した[18]

2007年、2人は別居を発表した[19]

2012年6月30日、アマンダ・ベネット英語版と結婚した。アマンダは、ボイス・オブ・アメリカのディレクター、ブルームバーグ・ニュース英語版の元エグゼクティブ・エディターで、世界各地の記者や編集者のチームを統括していた[20]

大衆文化において 編集

ポスト紙を舞台とした2017年の映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』では、スターク・サンズがグラハムの役を演じている。

脚注 編集

  1. ^ Donald E. Graham: Executive Profile & Biography, Bloomberg
  2. ^ Fact Sheet”. Newsroom. Facebook. 2012年9月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年4月10日閲覧。
  3. ^ a b Godfrey Hodgson, "Katharine Graham - Washington Post publisher who took over the family business after her husband's suicide and saw it through the Watergate scandal", The Guardian, July 18, 2001.
  4. ^ a b Richard Willing, "'Washington Post' icon Katharine Graham, 84, dies", USA Today, July 18, 2001.
  5. ^ Ava Fran Kahn (2002). Jewish Voices of the California Gold Rush: A Documentary History, 1849–1880. Wayne State University Press. pp. 138–. ISBN 978-0-8143-2859-0. https://books.google.com/books?id=fgDd6gpGJrcC&pg=PA138 2012年12月30日閲覧。 
  6. ^ Zweigenhaft, Richard L. and G. William Domhoff The New CEOs : Women, African American, Latino, and Asian American Leaders of Fortune 500 Companies Published: 2014-03-18 |Publisher: Rowman & Littlefield Publishers
  7. ^ Silbiger, Steve (May 25, 2000). The Jewish Phenomenon: Seven Keys to the Enduring Wealth of a People. Taylor Trade Publishing. pp. 190. ISBN 9781589794900. https://books.google.com/books?id=2CAGE9yJcm8C&q=Philip+Graham&pg=PA190 
  8. ^ a b c Hertzberg, Hendrik (2013年8月6日). “Young Don Graham” (英語). The New Yorker. https://www.newyorker.com/news/hendrik-hertzberg/young-don-graham 
  9. ^ O'Connell, Jonathan (2014年1月26日). “Former Washington Post CEO Don Graham to move Graham Holdings to Rosslyn” (英語). Washington Post. https://www.washingtonpost.com/news/capital-business/wp/2014/01/26/former-washington-post-ceo-don-graham-to-move-graham-holdings-to-rosslyn/ 
  10. ^ Yared, Leah S. (2016年5月23日). “From Crimson President to Post Publisher: Donald E. Graham '66”. The Harvard Crimson. https://www.thecrimson.com/article/2016/5/23/donald-graham-profile/ 
  11. ^ Paul Farhi, "Washington Post closes sale to Amazon founder Jeff Bezos," Washington Post, Oct. 1, 2013, https://www.washingtonpost.com/business/economy/washington-post-closes-sale-to-amazon-founder-jeff-bezos/2013/10/01/fca3b16a-2acf-11e3-97a3-ff2758228523_story.html
  12. ^ Bilderberg 2009 list of participants”. BilderbergMeetings.org. 2011年8月25日閲覧。
  13. ^ Bilderberg 2010 list of participants”. BilderbergMeetings.org. 2015年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月25日閲覧。
  14. ^ Honorary Degrees | Whittier College”. www.whittier.edu. 2020年2月26日閲覧。
  15. ^ Golden Plate Awardees of the American Academy of Achievement”. www.achievement.org. American Academy of Achievement. 2021年12月20日閲覧。
  16. ^ “2003 Summit Highlights Photo”. https://achievement.org/summit/2003/. "Academy Awards Council members and co-founders of America Online, Jim Kimsey and Steve Case, present the Golden Plate Award to Washington Post publisher Donald Graham at the 2003 International Achievement Summit." 
  17. ^ APS Member History”. search.amphilsoc.org. 2021年6月15日閲覧。
  18. ^ Overly, Steven (2014年10月1日). “Former LivingSocial CEO Tim O'Shaughnessy joins Graham Holdings as president”. The Washington Post. 2021年12月20日閲覧。
  19. ^ Frank Aherns, "Post Co.'s Graham and Wife to Separate", Washington Post, November 10, 2007.
  20. ^ "Post CEO Don Graham marries Amanda Bennett", Washington Post, June 20, 2012.

参考文献 編集

外部リンク 編集