ナガミノツルケマン(長実の蔓華鬘、学名:Corydalis raddeana )はキケマン属一年草または二年草。別名、ナガミノツルキケマン(長実の蔓黄華鬘)[2][3]

ナガミノツルケマン
福島県会津地方 2013年9月
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: ケシ科 Papaveraceae
: キケマン属 Corydalis
: ナガミノツルケマン C. raddeana
学名
Corydalis raddeana Regel[1]
シノニム
  • 本文記載

特徴 編集

地下に根茎はない。は直立せず、四方八方にはってよく分枝して、他の草に寄りかかって広がり、先の枝や花序は斜めに立つ。全草に毛がなく、やわらかく、茎の稜が目立ち、長さは1-2mになる。は互生し、葉柄をもち、3角形から卵形になり、2-3回3出複葉になる。小葉は多くは3深裂する[2][3][4][5][6]

花期は8-10月。葉腋から総状花序をだし、をやや密につける。花に小花柄がある。花は4個の花弁で構成されており、色は濃黄色で、一方が2唇状に開き、その反対側が長い距となり、その先端は細くなり、すこし湾曲する。距は同属他種のものと比べ長い。小花柄の基部に小型の苞があり、幅2-5mmの卵形または披針形になる。雄蕊は6個あり、3個が2組になる2体雄蕊となる。
果実は細い蒴果で、長さ約1.5cm、幅2-2.5mmになる線状倒披針形で、種子が数個入り、1列に並ぶ。果実は完熟すると瞬間的にはじけ、種子を飛ばす[2][3][4][5][6]

分布と生育環境 編集

日本では、北海道、本州、九州に分布し、山地に生育する[2][3][4][5]。世界では、朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部に分布する[5]

シノニム 編集

  • Corydalis ochotensis Turcz. f. raddeana (Regel) Nakai
  • Corydalis ochotensis Turcz. var. pedunculata Nakai
  • Corydalis ochotensis Turcz. var. raddeana (Regel) Nakai

保全状況評価 編集

準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト

ギャラリー 編集

類似の種 編集

同属で似た種に、ツルケマン(蔓華鬘、学名:Corydalis ochotensis)、別名、ツルキケマン(蔓黄華鬘)がある。ツルケマンは、ナガミノツルケマンと比べると、花はまばらにつき、色は淡い黄色で、果実が扁平で、果実内の種子が2列に並ぶ[2][3][4][5]。ツルケマンよりナガミノツルケマンの方が普通に見られる[3]。また、日本に分布する種で、秋に咲くものには先の2種のほか、北海道に分布するチドリケマン(学名:Corydalis kushiroensis)がある[6]

脚注 編集

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Corydalis raddeana”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2014年10月31日閲覧。
  2. ^ a b c d e 『新日本植物誌顕花篇』p.752
  3. ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.198
  4. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.249
  5. ^ a b c d e 『日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類』p.125
  6. ^ a b c 『朝日百科-植物の世界8』p.8-198-201

参考文献 編集

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類』、1982年、平凡社
  • 大井次三郎著、北川政夫改訂『新日本植物誌顕花篇』、1983年、至文堂
  • 福原達人他著『朝日百科-植物の世界8』、1997年、朝日新聞社
  • 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
  • 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  • 生物多様性情報システム 環境省