全天周映画(ぜんてんしゅうえいが)とは、ドーム状のスクリーンに映し出される巨大映画のこと。

概要 編集

全天周映画は、全天周映写機によりプラネタリウムなどのドームスクリーンに映し出される。その際のドームスクリーンは傾斜式で、座席が階段状に並んでいるものが一般的である。最も大きなものの場合、大きさが通常の映画館のスクリーンの10倍、高さは8階建てのビルと同じになり、ドーム専用の立体音響に加え、高画質の映像が視野いっぱいに広がり、映像の中にいるような感覚を味わうことができる。

フィルム式の投影装置が主流だった時代は魚眼レンズを撮影、投影に使用していたが、デジタル式の投影装置が普及してからはドーム内の投影エリアを分割してドームの周囲に設置された複数のデジタル式投影装置で投影するシステムが普及した。

特徴 編集

基本的に全天周映画には高画質が要求されるため、巨大なフィルムサイズが採用され、撮影用のカメラも魚眼レンズを使用する。一方、自由度の高いCGにより、幻想的な空間を演出することも可能であり、3Dアルゴリズムを利用した全天周立体映画も存在する。全天周映画は、巨大な背景を持つため、飛行感覚や自然界の様子を再現する映像において非常に秀でているが、その反面、シーンの切り替えが多い映像や、人物の表情のアップなどについては、効果的とは言い難い。またフィルムで撮影された作品の場合、フィルムマガジンのフィルムの長さの制約により、連続した長時間の撮影ができないため1シーンが短くなる。作品は、ドームスクリーンの都合上、プラネタリウム施設向けの宇宙科学番組が主であったが、2007年頃よりIMAX映画をドーム用に編集した自然ドキュメンタリーなどのコンテンツも増えている。

映画に用いられる大型映像投影機には、IMAX社のオムニマックス五藤光学研究所アストロビジョンなどがある。

上映施設 編集

主にプラネタリウムや科学館、博物館で教材としての作品が上映されている。全天周映画は、人物描写が不向きなうえに、その後のDVD展開、TV放映も困難であるため、映画としての興行は成り立ちにくい。しかし教材作品の場合は、20 - 30分間、自然景観やCG画像を上映し続けても問題無いうえ、上映作品の変更がプラネタリウムや科学館、博物館にとっては、展示入れ替えのような集客効果も望めるため、導入が相次いでる。

国内施設 編集

(全天周大型施設)

(デジタル館)