清麗戦
大成建設杯清麗戦(たいせいけんせつはいせいれいせん)は、大成建設と日本将棋連盟が主催する将棋の棋戦(女流タイトル戦)。五番勝負の勝者は清麗のタイトル称号を得る[1]。2019年度から開催されている[1]。
清麗戦 | |
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棋戦の分類 | 女流タイトル戦 |
正式名称 | 大成建設杯清麗戦 |
開催概要 | |
開催時期 |
予選:1月 - 7月 タイトル戦:8月 - 9月 |
初回開催 | 2019年度 |
持ち時間 |
予選:2時間 本戦:3時間 タイトル戦:4時間 |
番勝負 | 五番勝負 |
優勝賞金 | 700万円 |
主催 | 大成建設・日本将棋連盟 |
記録 | |
現清麗 | 里見香奈(第2期) |
最多優勝 | 里見香奈(2期) |
最長連覇 | 里見香奈(2連覇) |
概要編集
2018年12月、日本将棋連盟は新たな女流棋戦『ヒューリック杯清麗戦』の開催を発表した[2]。優勝賞金は700万円と従来の最高額であったマイナビ女子オープン・リコー杯女流王座戦の500万円を抜いて最高額となり[2]、清麗戦の女流タイトル戦としての序列は単独1位となった[3]。女流タイトル戦の新設は2011年度に創設された女流王座戦以来、8年ぶりである[2]。
ヒューリックは2018年度より棋聖戦に特別協賛しているが、本棋戦の創設に伴う記者会見(2018年12月12日)において、ヒューリック会長の西浦三郎は、本棋戦を創設した理由について「タイトル戦は男性棋戦が8つ、女流棋戦が6つ。女流棋戦を活性化させていく必要がある」と述べた[4]。
本棋戦の名称について、同じく本棋戦の創設に伴う記者会見において、日本将棋連盟常務理事(女流六段)の清水市代は「清く麗しい、という女性らしい華やかさが現れた棋戦名を選んで頂いた」という旨を述べた[3]。
2020年10月6日にヒューリックが新たな女流棋戦白玲戦・女流順位戦の設立を発表。それに伴い本棋戦の主催者を第3期から大成建設に移行し、棋戦名も『大成建設杯清麗戦』に変更される。また白玲戦の優勝賞金が1500万円になるため、序列も2位になる予定である[5]。
方式編集
予選・本戦トーナメントを行い、挑戦者を決定する。清麗と挑戦者が五番勝負を行い、勝者が新たな清麗となる。
本棋戦への参加資格は女流棋士のみにあり、女性奨励会員[注釈 1]やアマチュアには参加資格がない[3]。
予選編集
清麗保持者以外の全参加者が出場。
予選トーナメントと、その敗者が出場する再挑戦トーナメントがあり、予選トーナメント優勝者と、再挑戦トーナメントを勝ち抜いた3名の計4名が本戦出場となる。合わせて6勝(一部は7勝)すれば予選通過する仕組みになっている。持ち時間は2時間(チェスクロック方式)[6]。
従来、女流棋戦の予選は1敗すれば終わりの勝ち抜きトーナメントが多かったが、本棋戦は1敗してもまだチャンスがあり[2]、日本将棋連盟会長の佐藤康光も「対局機会を増やすまたとないチャンス」と位置づけている[2]。
予選トーナメント編集
倉敷藤花戦同様に全出場者が少なくとも2回戦から出場。敗者は再挑戦トーナメントに回る。優勝者は本戦出場。
再挑戦トーナメント編集
予選トーナメント1-2回戦敗者(第2期は33名)、3回戦敗者(16名)、4回戦敗者(8名)、準々決勝敗者(4名)、準決勝敗者(2名)ごとにそれぞれ分かれてトーナメントを行う。各ブロック優勝者と予選トーナメント決勝敗者の計6名が抽選で3組に分かれ対局し、それぞれの勝者(計3名)が本戦出場となる。
本戦編集
予選を勝ち抜いた4人で本戦を行い、優勝者が挑戦者となる。持ち時間は3時間(チェスクロック方式)。
五番勝負編集
清麗と挑戦者が五番勝負を行う。持ち時間は4時間(チェスクロック方式)。
過去の方式編集
第1期編集
予選・本戦トーナメントで清麗を争う。本戦の決勝進出者2名で五番勝負を行い、勝者が第1期清麗となった(里見香奈が第1期清麗)。
予選編集
予選は女流棋士全員が参加するダブルイリミネーショントーナメント方式[3]。成績が同じ勝敗数同士の者が対戦することを繰り返し、2敗した者から敗退していき、通算で6勝した者が通過する[2]。第2期とは「6勝で通過・2敗で敗退」のダブルイリミネーショントーナメントであることは共通であるが、組み合わせの表現方法が異なる[7]。(便宜的に下表は同じ勝敗の者を1つの枠で表しているが、実際には2回戦から6回戦まで、対戦前の星取りが全く同じ者同士(全勝同士、1敗の同回戦敗者同士)が対戦するので、実質的に第2期以降と同じである。)
総数62名 ⇒ A 32名[30名+不戦2名]/B 30名 | ||||||||
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1回戦 | (A)1勝0敗 : 32名 ⇒ C/D 各16名 | (B)0勝1敗 : 30名 ⇒ D 16名[14名+不戦2名]/敗退 14名 | ||||||
2回戦 | (C)2勝0敗 : 16名 ⇒ E/F 各8名 | (D)1勝1敗 : 32名 ⇒ F 16名/敗退 16名 |
0勝2敗
14名 敗退 | |||||
3回戦 | (E)3勝0敗 : 8名 ⇒ G/H 各4名 | (F)2勝1敗 : 24名 ⇒ H 12名/敗退 12名 |
1勝2敗
16名 敗退 |
- | ||||
4回戦 | (G)4勝0敗 : 4名 ⇒ I/J 各2名 | (H)3勝1敗 : 16名 ⇒ J 8名/敗退 8名 |
2勝2敗
12名 敗退 |
- | ||||
5回戦 | (I)5勝0敗 : 2名 ⇒ K/L 各1名 | (J)4勝1敗 : 10名 ⇒ L 5名/敗退 5名 |
3勝2敗
8名 敗退 |
- | ||||
6回戦 | (K)6勝0敗
1名 本戦へ |
(L)5勝1敗 : 6名 ⇒ M 3名/敗退 3名 |
4勝2敗
5名 敗退 |
- | ||||
7回戦 | - | (M)6勝1敗
3名 本戦へ |
5勝2敗
3名 敗退 |
- | ||||
- | 本選出場(6勝) | 敗退(2敗) |
出場女流棋士62名に1-64の番号が割り与えられ(32、64は空き番)、勝敗とその番号に基づいて各回戦の組み合わせが決められる。
1回戦から5回戦は、若い番号から順にそれぞれグループ分けされる。グループ分けは、1回戦では2名ずつ、2回戦では4名ずつ、3回戦では8名ずつ、4回戦では16名ずつ、5回戦では32名ずつとなる(空き番の32番、64番も1名としてカウント)。各回戦の各グループにおいては全勝同士、1敗の同回戦敗者同士でそれぞれ対局が組まれる。1回戦、2回戦では、対局相手が空き番(32、64)になる者は不戦勝として1勝がカウントされる(1回戦では第1シードとして当時のタイトル保持者である渡部愛(31番)と里見香奈(63番)が該当)。6回戦はグループ分けをせずに同様に対局が組まれる。7回戦は5勝1敗の6名が3組に分かれて対局する(組み合わせ確定方法は不明)。
本戦編集
予選を勝ち抜いた4人が出場。2組に分かれ対局し、それぞれの勝者が五番勝負に進出[2]。持ち時間は3時間(チェスクロック方式)[1]。
五番勝負編集
クイーン清麗編集
歴代結果編集
期 | 開催年 | 清麗戦五番勝負 | 本戦 | ||||
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決勝進出者 | 勝敗 | 決勝進出者 | - | ベスト4 | |||
1 | 2019 | 里見香奈 | ○○○ | 甲斐智美 | - | 頼本 | 中村真◎ |
期 | 開催年 | 清麗 | 勝敗 | 挑戦者 | 挑決敗者 | ベスト4 | |
2 | 2020 | 里見香奈 | ○○●●○ | 上田初美 | 伊藤沙◎ | 岩根 | 石本 |
脚注編集
注釈編集
出典編集
- ^ a b c d “女流新棋戦「ヒューリック杯清麗戦」が誕生” (日本語). 日本将棋連盟 (2018年12月12日). 2018年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “7個目の女流棋戦を新設、過去最高の賞金700万円” (日本語). 日刊スポーツ (2018年12月12日). 2018年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月13日閲覧。
- ^ a b c d “女流将棋界に新タイトル戦「清麗戦」誕生 7大タイトル戦に” (日本語). スポーツ報知 (2018年12月12日). 2018年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月13日閲覧。
- ^ a b 『産経新聞』(東京本社)2018年12月13日付朝刊、14版、24面「社会」。
- ^ 女流新棋戦創設と主催者交代について https://www.shogi.or.jp/news/2020/10/post_1954.html
- ^ “第2期ヒューリック杯清麗戦(予選)”. 日本将棋連盟. 2019年10月5日閲覧。
- ^ “第1期ヒューリック杯清麗戦(予選)”. 日本将棋連盟. 2020年11月6日閲覧。