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加藤桃子

日本の将棋棋士

加藤 桃子(かとう ももこ、1995年3月9日 - )は、日本将棋連盟所属の女流棋士[1]。女流棋士番号は67[2]安恵照剛八段門下[1]静岡県牧之原市出身[2]国士舘高等学校(通信制)卒業[3][注釈 1]

 加藤桃子 女流三段
名前 加藤桃子
生年月日 (1995-03-09) 1995年3月9日(24歳)
プロ入り年月日 2019年4月1日(24歳)
棋士番号 67
出身地 静岡県牧之原市
師匠 安恵照剛八段
段位 女流三段
戦績
タイトル獲得合計 8期
女王4期
女流王座4期
2019年3月27日現在
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棋歴

奨励会入りまで

加藤の父は、加藤と同じく安恵照剛八段門下で奨励会に在籍、のち大学に進学して教員免許を取得し、静岡県の藤枝明誠高校教諭を務め、かつ同校将棋部顧問として実績を挙げた加藤康次[5][注釈 2]。加藤の母は、高柳敏夫名誉九段[注釈 3]が開いていた将棋教室に通っていたアマ有段者で、「女流アマ名人戦」出場経験を有し、1990年頃には、プロ棋士や奨励会員も参加する「パソコン通信による将棋サークル」のメンバーであり、ある意味で、夫の加藤康次以上にプロ棋界とのつながりがあった[5]。将棋一家に生まれた加藤は、5歳で将棋を覚え[7]、小学1年生で大会に出るようになった[5]。静岡から、母の実家(東京)に行く折には、安恵照剛をはじめとする高柳一門のプロ棋士の指導を受けるようになった[5]

加藤が強くなると、必然的にプロ入り(女流棋士、あるいは奨励会)の話が出てきた[5]。高柳一門には、多くのプロ棋士・奨励会員のほかに清水市代(高柳敏夫名誉九段門下)という女流棋士の大成功者がいる[5]。女流棋士への道を勧める声もあったが、加藤とその両親の選択は「奨励会入り」であった[5]。加藤は、2006年9月18日に、11歳で関東奨励会に入会[4](6級)[8]。その直前に参加した第1回白瀧あゆみ杯争奪戦ではアマチュアの立場ながら貞升南を破っている。

奨励会員時代

2011年度

5月3日、奨励会2級のとき、里見香奈女流三冠の異例の奨励会1級編入試験3局の初戦の相手となり、里見に黒星をつける(里見は残る2局に勝ち、関西奨励会1級となる)[9]

9月18日の奨励会(関東)例会で3連勝し、7月17日の例会から数えて「9勝3敗」の規定で同日付で2級から1級に昇級[10]。同じく女性奨励会員である伊藤沙恵(加藤より2年早い2004年9月29日に、10歳で関東奨励会に入会(6級)[11])の1級昇級から約1か月遅れであった。

5月27日、日本将棋連盟が『奨励会と女流棋士の重籍に関する件』を発表[12]。「女性の奨励会員が女流棋戦にエントリーし、出場することは自由である」とした。これを受け、加藤は第5期マイナビ女子オープンと第1期女流王座戦に、女流棋士と同じ扱いで出場。両棋戦とも、予選を通過して本戦に進んだ。

うち、第1期女流王座戦では7月から始まった本戦(16名によるトーナメント)[注釈 4]を勝ち進み、準決勝では伊藤沙恵との奨励会1級同士の対決を制した。10月 - 12月に清水市代と決勝五番勝負を戦い[13]、○●○●のフルセットで迎えた12月12日の第5局に勝利して初代女流王座に輝いた[4]。16歳9か月での女流タイトル獲得は、史上第4位の若さであり、第3位の里見香奈(16歳8か月)[14]に1か月遅れるのみである[15][注釈 5]

第5期マイナビ女子オープンでは、第1期女流王座戦五番勝負の開幕に先立ち、10月6日の本戦第1回戦で島井咲緒里を下した。女流王座を獲得した3日後の12月15日、女流タイトル保持者となって初の公式対局となる本戦第2回戦(準々決勝)に臨んだが、当時、加藤と同じく奨励会1級であった里見香奈に敗れた。

2012年度

第6期マイナビ女子オープンでは、予選で古河彩子に敗れた。

自身のタイトル初防衛戦となる第2期女流王座戦五番勝負では、挑戦者決定戦で里見香奈を破りタイトル戦初登場となった本田小百合に3連勝し、連覇。

2013年度

3連覇をかけた第3期女流王座戦五番勝負では里見香奈を挑戦者に迎え、1勝の後3連敗で敗退し、無冠となった。一方、第7期マイナビ女子オープンで本戦トーナメントに進出し、準決勝で伊藤沙恵を、決勝で清水市代を破り、本棋戦自身初の挑戦を決めた。

2014年度

第7期マイナビ女子オープン五番勝負で里見香奈を3勝1敗で破り、女王を奪取(5月8日)。女性奨励会員が出場できる2つの女流棋戦(当時)をいずれも制した。

直後の5月10日、関東奨励会の例会にて12勝4敗の昇段規定を満たし、里見香奈、西山朋佳に続き、現行規定において3人目の女性の奨励会初段となった[16]

第4期女流王座戦では本戦決勝に進出したが、里見女流王座が休場によりタイトルを返上したため、同じく決勝進出した西山朋佳との決勝五番勝負を行い、西山に3連勝して女流王座に復位、女王と合わせ女流二冠となった。

2015年度

第8期マイナビ女子オープン五番勝負では上田初美を3勝1敗で退けて防衛。第5期女流王座戦五番勝負は、タイトル戦初登場の伊藤沙恵と戦い、第3局が持将棋となって女流タイトル戦史上初となる五番勝負の第6局にもつれ込む激戦を3勝2敗1持将棋で制して防衛[17]。女流二冠を維持した。

また、タイトル保持者として第37期女流王将戦の本戦に出場したが、準決勝で里見香奈に敗れた。

2016年度

第9期マイナビ女子オープン五番勝負では室谷由紀を3勝1敗で退けて防衛、3連覇。

11月20日、奨励会の降級規定により1級に降級。すでに「満21歳の誕生日」である初段昇段の年齢制限を過ぎているため、1級降級から半年以内に初段に復帰しないと奨励会退会となる。

第7期女流王座戦では里見香奈に0勝3敗で敗退し、女王のみの一冠に後退。また、通算5期獲得によるクイーン王座の獲得もならなかった。

2017年度

4月1日の奨励会例会で初段に復帰し、これにより年齢制限による退会を回避した。

第10期マイナビ女子オープン五番勝負では上田初美を3連勝で退けて防衛、4連覇。第8期女流王座戦五番勝負では、前年にタイトルを奪われた里見香奈女流王座に挑戦し、第1局・第2局で連勝して奪取まであと1勝とするも、そこから3連敗して2勝3敗で敗退。

2018年度

第68回NHK杯戦に女流棋士枠で出場し、本戦1回戦で及川拓馬を破った[18]

第11期マイナビ女子オープン五番勝負では、西山朋佳に1勝3敗で敗退して女王のタイトルを失い、無冠となった[19]。また、連続5期獲得による永世女王の獲得もならなかった[20]

第40期女流王将戦で挑戦権を獲得したが、三番勝負で里見香奈にストレートで敗退し、無冠返上ならず[21]

第12期マイナビ女子オープンでは、挑戦者決定戦で里見香奈に敗れ、挑戦権獲得を逸した[22]

2019年3月27日、加藤が奨励会を退会したこと、女流棋士への資格申請書を提出したこと、2019年4月1日付で東京所属の女流棋士三段となることが、日本将棋連盟から発表された[1]。奨励会を初段で退会した加藤は、本来であれば奨励会規定「奨励会2級以上で退会の場合は、退会時の段級位でそのまま女流棋士の資格を得る」により女流初段となる所であるが、タイトル8期(女王4期・女流王座4期)の実績を考慮され、女流三段としてデビューするもの[1]

女流棋士時代

棋風

「居飛車党の攻め将棋」[23]

「終盤の鋭さに定評がある」[24]

人物

  • 趣味は、バレエ・読書・カラオケ[1]
  • 愛称は「カトモモちゃん」[7]

昇段・昇級履歴

奨励会

  • 2006年9月18日 - 6級 = 関東奨励会入会
  • 2014年5月10日 - 初段
  • 2019年3月 - 退会

女流

昇段・昇級規定は、将棋の段級 を参照。

  • 2019年4月1日 - 女流三段 = 女流プロ入り

主な成績

獲得タイトル

将棋の女流タイトル在位者一覧も参照。

  • 女王 4期(第7期(2014年度) - 第10期)
  • 女流王座 4期(第1期(2011年度) - 第2期、第4期 - 第5期)

登場回数12回、獲得8期

女流非公式棋戦

将棋女流タイトル獲得記録
順位 獲得回数 女流棋士名
1位 43期 清水市代 *
2位 38期 里見香奈 *
3位 19期 中井広恵 *
4位 15期 林葉直子
5位 8期 加藤桃子 * 
*は現役女流棋士。

テレビ

エピソード

女流王座が下座に座る
2011年12月15日、第5期マイナビ女子オープン本戦準々決勝・里見(当時女流三冠)との対局の前、加藤が下座に座って待っており、後から入室した里見が、女流王座(女流棋界の最高峰)の加藤に、上座に移るよう促した[26]。譲り合いの末に、里見が上座に座ることになった[26]

脚注

注釈

  1. ^ 2011年度、国士舘高等学校通信制2年在学時に、第1期女流王座を獲得した[4]
  2. ^ 加藤の父の加藤康次は、藤枝明誠高校の将棋部顧問として、弱小だった同校将棋部を、女子団体で5回、男子団体で1回の全国優勝に導いた[5]
  3. ^ 加藤、その父である加藤康次の、双方の師匠である安恵照剛八段は、高柳敏夫名誉九段門下[6]
  4. ^ 第1期女流王座戦であるので、本戦トーナメント準決勝の勝者2名が五番勝負を戦い、その勝者が初代女流王座となった。
  5. ^ 女流タイトル獲得年少記録は、第1位が林葉直子(1968年1月24日生まれ、女流王将を1982年4月27日に獲得、14歳3か月)、第2位が中井広恵(1969年6月24日生まれ、女流名人を1986年1月20日に獲得、16歳6か月)、第3位が里見香奈(1992年3月2日生まれ、倉敷藤花を2008年11月23日に獲得、16歳8か月)[14]、第4位が加藤桃子(1995年3月9日生まれ、女流王座を2011年12月12日に獲得、16歳9か月)[15]。【2012年2月6日現在】

出典

  1. ^ a b c d e 加藤桃子奨励会初段が4月より女流三段に|将棋ニュース|日本将棋連盟” (日本語). 日本将棋連盟. 2019年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月27日閲覧。
  2. ^ a b 加藤桃子|棋士データベース” (日本語). 日本将棋連盟. 2019年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月2日閲覧。
  3. ^ 学校での将棋授業レポートNo.2|イベント|日本将棋連盟」『日本将棋連盟』、2016年3月1日。2018年11月26日閲覧。, オリジナルの2018-11-26時点によるアーカイブ。
  4. ^ a b c 加藤桃子奨励会1級が初の女流王座に!” (日本語). 日本将棋連盟. 2019年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月27日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h 「第1期リコー杯女流王座戦五番勝負第2局-清水の意地、桃子の挑戦」 『将棋世界』 2012年1月号、56-62頁
  6. ^ 日本将棋連盟 『棋士紹介 安恵 照剛(やすえ てるたか)八段』
  7. ^ a b 将棋の加藤桃子初段が奨励会退会 女流棋士三段に” (日本語). スポーツ報知 (2019年3月27日). 2019年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月27日閲覧。
  8. ^ 将棋世界』2006年10月号
  9. ^ 2011年5月21日 日本将棋連盟 『里見香奈女流名人・女流王将・倉敷藤花、奨励会1級編入試験に合格』
  10. ^ 日本将棋連盟HP 関東奨励会1級 【2011年4月 - 2011年9月】
  11. ^ 伊藤沙恵奨励会1級が10月より女流初段に”. 日本将棋連盟 (2014年9月30日). 2018年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月16日閲覧。
  12. ^ 2011年5月27日 日本将棋連盟 「『奨励会と女流棋士の重籍に関する件』について」
  13. ^ 第1期リコー杯女流王座戦五番勝負”. 日本将棋連盟. 2019年4月2日閲覧。
  14. ^ a b 16歳里見香奈が将棋初タイトル 清水下し倉敷藤花に”. 共同通信社 (2008年11月23日). 2008年12月1日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年3月28日閲覧。
  15. ^ a b 『将棋世界』 2012年2月号、258頁。
  16. ^ 加藤桃子奨励会1級、初段に昇段!」『日本将棋連盟』、2014年5月12日。2018年4月16日閲覧。, オリジナルの2018-4-16時点によるアーカイブ。
  17. ^ 里見女流王位VS伊藤女流二段。1戦目が大きなポイント。第28期女流王位戦五番勝負の展望は?|将棋コラム(ライター:相崎修司)」『日本将棋連盟』、2017年4月26日。2018年4月16日閲覧。, オリジナルの2018-4-17時点によるアーカイブ。
  18. ^ 前夜祭(1) | 第11期マイナビ女子オープン五番勝負第3局” (日本語). マイナビ女子オープン中継ブログ in 将棋情報局. マイナビ出版. 2018年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月18日閲覧。
  19. ^ 西山朋佳奨励会三段が加藤桃子女王を破り3勝1敗で初タイトルの女王獲得 第11期マイナビ女子オープン五番勝負第4局」『日本将棋連盟』、2018-5-24。2018年5月24日閲覧。, オリジナルの2018-5-24時点によるアーカイブ。
  20. ^ “【将棋】奨励会の西山朋佳が初タイトル マイナビ女子” (日本語). 産経新聞. (2018年5月24日). オリジナルの2018年5月24日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180524113634/https://www.sankei.com/life/news/180524/lif1805240022-n1.html 2018年5月24日閲覧。 
  21. ^ 里見女流王将が4連覇 4冠を堅持” (日本語). スポーツ報知 (2018年10月20日). 2019年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月14日閲覧。
  22. ^ 里見四冠 いざ五冠返り咲きの勝負へ! 第12期マイナビ女子オープン” (日本語). マイナビニュース (2019年3月11日). 2019年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月14日閲覧。
  23. ^ 2011年7月16日 マイナビ女子オープン中継ブログ 『第5期マイナビ女子オープン一斉予選』 勝利者インタビュー30/7ブロック 加藤奨励会2級 2011年7月16日に行われた、第5期マイナビ女子オープン一斉予選の7ブロック決勝で中倉宏美女流二段を破って本戦進出を決めた後の、この日2回目のインタビュー(動画)の中で、加藤が自己の棋風に言及。
  24. ^ 16歳奨励会員・加藤桃子さんが初代女流王座に” (日本語). スポーツ報知 (2011年12月13日). 2012年1月1日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年3月27日閲覧。
  25. ^ 『NHK 将棋講座』2019年10月号、NHK出版、2019年9月14日。ASIN B07WLBVXD8
  26. ^ a b 「第5期マイナビ女子オープン 本戦トーナメント2回戦 里見香奈女流三冠 X 加藤桃子女流王座 - 青春の覇気美しく」 『将棋世界』 2012年3月号、192頁-195頁。

関連項目

外部リンク